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吸血毒ダニ事件の裏側で~堀崎根智子サイド~

 少し時間を巻き戻し、碧たちが獅子蕪木組へ訪問していたころ頃。


 ガシャャャーン!!


「吸血毒ダニちゃんの計画が失敗した!? あんた!? 私が指示した場所にちゃんと瓶を投げ入れたんでしょうね!!」


 東京のとある一室で、私は怒りを抑えず、机に置いて研究機材を乱暴に叩き落とし、パソコンの画面に映る碧と同じ学校の制服を着たビクビクとおびえた少女に向かって叫んだ。


『うっ、うう~……わっ、私は、しっ、指示された場所に、ちゃっ、ちゃんと投げ入れましたよ……』


 画面に映っている少女は、自分の服の胸元をまるで命綱を握りしめるかのようにぎゅっと握り締め、怯えながら必死に弁明したが、私は机を乱暴に叩いて彼女を黙らせ、そのまま怒鳴った。


「じゃあ何!? 私が立てた計画が悪いって言うの? ふーん……そんなこと言うあんたには、今月のこれはお預けだね」


 私は画面の少女に見えるように錠剤の入った瓶を振って見せつけると、少女は焦りながら声を震わせて答えた。


『まっ、待ってください!! 私はちゃんとあなたの指示に従ったじゃないですか!? ……その薬がないと体中が痛くて、満足に歩くこともできないのに、薬を止められたりしたら……』


 画面に映る少女がうろたえる様子を愉快に思った私は、ニヤニヤと含みのある笑みを浮かべながら、彼女を困らせるように煽った。


「くっくっくっ……じゃあ、次は確実に成功させないとね。わかってると思うけど、これは私にしか作れないオリジナルの薬よ。他のところに助けを求めても、この薬を作ることはできないから、だから私のために頑張って働きなさい。……もし次も失敗したら、ここで預かっているあんたの寝たきりの母親を使って、実験しちゃおうかしら」


(……まあ、あんたの母親は既に私の栄えある研究に協力してもらっているけどね)


『……次こそは成功させますから、母にだけは手を出さないでください』


 私がやっていることも知らずに、少女は頭を下げて懇願してきた。はぁ~……、なんて愉快なんでしょう。


「くっくっくっ……素直に言うことを聞いてくれる子は好きよ~。じゃあ、次の計画なんだけど、近いうちにクラス合同ダンジョン探索があるでしょ? その時に行動を起こしてもらおうかしらね。成功したら薬もあげるし、あんたの母親も無事よ~。じゃあね~」


 そう言って私は通話を切り、次は絶対に失敗させない――あの憎たらしい小娘の末路を想像するたび、胸の奥から湧き上がる愉悦が私の心を満たしていった。


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