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結菜と恋人になった後 3

「どうも皆さん初めまして~、結菜の母の獅子蕪木京子です。よろしくね~」


 結菜と辰則さんが京子さんと感動の再会を果たし、抱き合っている中、京子さんは僕たちに気づき、二人が京子さんの腰にしがみついたまま、僕たちの近くまでそのまま歩いてきた。見かけによらず、彼女はものすごい力だった。そして、ニコニコしながら自己紹介をしてくれた。


「どうも初めまして、結菜のお母さん。僕は灰城碧って言います。先程、結奈さんとお付き合いをすることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。」


 僕は京子さんに失礼のないように深々と頭を下げた。すると、京子さんは自分の頬に手を添えながら微笑んだ。


「あらっ、これはどうもご丁寧に。じゃあ、私のことは京子さんか、お義母さんって呼んでいいわよ。いや、寧ろお義母さんって呼んで欲しいな」


「わ、わかりました……京子お義母さん」


 久しぶりに「お母さん」と呼ぶ感覚が懐かしく、少し照れながらそう言うと、京子さんはさらに嬉しそうに目を輝かせた。


「ちょっと、結菜、あんた、離れて!」


「いたた、耳を引っ張らないでくれって……京子!」


「お袋!?」


 京子さんは腰にしがみついていた結菜と辰則さんの耳を軽く引っ張って二人を引き離すと、僕の顔に両手を添えて。


「か、可愛いぃぃぃ~!」


「うぐっ!? ん~~! ん~~!」


 僕は、黄色い声を上げた京子さんに顔を胸に押し付けられるように抱きしめられ、目の前が真っ暗になり、さらに呼吸ができなくなって、足元が宙に浮いてプラプラする。そんな僕の様子もお構いなしに、京子さんは僕の身体をしっかりと抱きしめ、左右に揺らしながら嬉しそうに話を続けていた。


「はい、あなたのお義母さんですよ。はぁ~……こんな可愛い息子が出来るなんて幸せ……あ!? 急に抱きしめちゃってごめんね」


 京子さんが僕が息が出来ない様子を見て、慌てて解放され息を切らしながらも本題に入る。


「はぁ~、はぁ~。いっ、いいですよ。あの、お義母さんに結奈のことでお話がありまして……」


「結奈のことで? 結菜が何かしでかしたの?」


 京子さんはきょとんと首を傾げ。


「正確には結菜ではなくて、辰則さんの方なんですが……」


 僕が京子さんに事情を説明していくと、次第に京子さんの眉がピクピクと痙攣し始め、話を聞き終えると、辰則さんの胸倉を片手で乱暴に掴んで持ち上げ、空いているもう片方の手を振り上げて……。


バチィィィン! バチィィィン! バチィィィン!


(うわ~、痛そう)


 怒った京子さんが、部屋中に響くほどの容赦ない往復ビンタを辰則さんに食らわせていた。その光景を目の当たりにした僕は、『結菜も怒ったらこんな風になるんじゃないか』と不安になり、息を呑んで見守っていた。僕の後ろで見ていた空ちゃんたちは、体を震わせながらルト、翼ちゃん、イクスの三人の目と耳を塞ぎ、びびりながらもその光景を見続けていた。


「あんた!!(バチィィィン!)結奈が!!(バチィィィン!)学校に!!(バチィィィン!)行くのに!!(バチィィィン!)ぶざけた!!(バチィィィン!)条件を!!(バチィィィン!)出すんじゃ!!(バチィィィン!)ないよ!!」


「ぎょ、ぎょうご!!(バチィィィン!)わっ、悪がっだ(バチィィィン!)ゆるじて(バチィィィン!)ぐれ!(バチィィィン!)」


 辰則さんの頬が真っ赤に腫れ上がりながら必死に謝罪するが、京子さんは手を緩めることなくビンタを次々に浴びせ続け、さすがにまずいと思った僕と梅花さんが慌てて京子さんを止めに入った。


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