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プロローグ

初心者です、のんびり投稿します。

拙い文章ですが完結出来るように頑張りたいと思います。

よろしければ、いいねを押していただけると嬉しいです。

「はぁ……はぁ……これで、どうだ……っ!」


 僕は地面を這いずりながら、必死に短剣を突き出した。  相手はダンジョンの最弱モンスター、スライムだ。普通の冒険者なら鼻歌交じりで倒せる相手に、僕は泥だらけになりながら、命懸けの攻防を繰り広げていた。


「……消え、ろぉぉっ!」


 体重を乗せた一撃が、ようやく核を貫く。スライムが弾け飛び、魔石だけが残った。  全身から噴き出す嫌な汗。肺が焼き切れるように熱い。  ある事件の後遺症で爛れた肌が、包帯の下でじくじくと痛む。


「……こ、今度こそ……」


 震える手でポケットからステータスカードを取り出す。


 世界にダンジョンが現れて数年。人類はステータスという絶対的な指標で評価されるようになった。


 冒険者学校の入学条件はレベル10。僕はずっと、その壁の前で足踏みしている。


 祈るようにカードを見る。しかし――表示された数字は、無慈悲なままだった。


――――――――― 灰城碧(はいしろあおい) レベル9 ―――――――――


「……な、なんでだよ。あと1……たった1レベルなのに、なんで上がらないんだよぉ……ッ」


 涙が滲み、視界が歪む。その時だった。

 背後から、聞き慣れた、そして最も聞きたくない声が降ってきた。


「ギャハハ! おいおい灰城、また地べた這いつくばってんのか? お似合いだなぁ、ゴミクズには!」


「……玲次」


 振り返ると、そこには金髪の大柄な男――幼馴染の最上玲次(もがみれいじ)が立っていた。

 ピカピカの装備に身を包み、自信に満ち溢れた表情。ボロボロの僕とは対照的だ。

 玲次はニヤニヤと笑いながら近づいてくると、馴れ馴れしく僕の肩に腕を回してきた。


「ほら見せてみろよ。……ぷっ、まだレベル9かよ! ……才能ねぇんじゃねぇの? ギャハハ!」


(……まただ。こいつが触れると、妙に体が重くなる気がする)


 嫌悪感に身を捩るが、筋力差がありすぎて振りほどけない。玲次は僕のカードを覗き込み、わざとらしく嘲笑の声を上げた。


「しっかしまぁ、何度見ても笑える職業だぜ。『女騎士』だっけ? 男のくせに女の職に就くとか、どんな変態だよ? あ? そのチビで女みたいなナヨナヨした体にはお似合いかもしれねぇけどよぉ!」


「……うるさい、放せ!」


「威勢だけはいいなぁ。でもよ、現実見ろよ灰城」


 玲次は僕を突き飛ばすと、手にした長剣を構えた。


「俺様はレベル25の魔法剣士。選ばれた天才だ。――『スラッシュ』!!」


 閃光一閃。  轟音と共に、数メートル先の巨岩が真っ二つに両断された。

スキルすら発動できない僕には、一生かかっても到達できない威力。圧倒的な才能の差を見せつけられ、言葉を失う。


「お前に冒険者になる資格なんてねぇんだよ。諦めて一生、俺様の『荷物持ち』やってろ。それがお前の唯一の生きる価値だ。ギャハハハハ!」


 高笑いを残し、玲次は去っていった。  残されたのは、砂埃と、惨めな自分だけ。


「畜生……チックショォォォォォ!!」


 僕は拳を地面に叩きつける。


 悔しい。

 悔しい。

 悔しい。


 ――けれど、僕はこの時まだ知らなかったのだ。


 僕の経験値が彼に奪われていたことも。

 そして――この『女騎士』という職業が、僕を最強の冒険者へと変える鍵だったことにも。



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