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44--精霊物質、そしてスキルについて

フローレンスの登場により、新しい情報が飛び交い続けていた。初めて聞くことばかりだったが、わかっておかなければ置いていかれてしまう。罠だらけの通路を歩いている間中、俺とストレリチアはフローレンスとアンサイに挟まれ、話を聞いていた。

まずは精霊について。アンサイが最初にしてくれた説明によると、フリンジワイルドにいるすべての生物は精霊という話だった。大きな生命体だとして考えれば納得がいく。しかし、俺たちは今「道具の精霊」という存在がいることを知ってしまった──それらは必ずしも生物ではない。そういう存在を一緒くたに考えてみると、木や草はどうなのだろう? 同じように「精霊」と言えるのだろうか?

この分類は、理論上では「生物がヴィタイで満たされたヴィシュアという場を持っているかどうか」によって区分されている。これを前提として考えると、精霊道具は「生物」だと区分することができるだろう。しかしアンサイは、精霊道具はそういった定義を広く解釈した特別な例なのだと付け加えた。

それを聞き、じゃあ草はどうなる? という疑問が生まれた。ダンジョンを作り上げている草や木、土、泥といったものは、常識的に考えても精霊ではない。だが、フリンジワイルドに存在する物質、つまり「精霊物質」からできているものである。精霊物質はアンサイが「不活性ヴィタイ」とか呼んでいるものからできている。「不活性ヴィタイ」とは、ヴィタイの一種だが、有望者に吸収されるわけでもなく、レベルアップに使われるわけでもないため、有望者にとってはほとんど役に立たないものらしい。アンサイは、精霊物質を構成するものは単なる「不活性ヴィタイ」よりも多少は複雑なものだが、ほぼ同じものと考えて構わないだろう、とも言っていた。不活性ヴィタイと不活性ヴィタイから作られている精霊物質の違いを正確に理解するには、俺レベルでは到底無理らしい。

ただ、精霊物質が有望者にとって役に立たない、つまり、人間にとっても無益なもの、と簡単に答えを出してしまうのは間違っているとも言う。精霊物質の真価について知るには道のりは長く、一筋縄でもいかないようだ。

フローレンスは、精霊物質とそこから着想を得たものが、人間界にゴールデンエイジをもたらしたのだと言っていた。とは言え、精霊物質は未来永劫なものではない。「有益な」ヴィタイをまったく持たない精霊物質に永劫性を持たせようとするなら、「救出考古(サルヴェージ)」のような特別なスキルが必要だ。

だが、ダンジョンの中ではそのルールが取っ払われる。永劫性がすでに備わっている精霊物質からできたものを見つけることも不可能ではない。特別なスキルを持っていなくても、人間界にそのアイテムを持ち帰ることができるのだ──そういう理由もあって、ダンジョンは価値あるものと見なされている。

フローレンスがくすねてきたあの光を放っている球体だってそうだ。フローレンスはそれが永劫性を持つものだと知っていたから失敬してきたのだ。そこで、スキルについても聞きたいことが出てきた。初めのうちはゲームに出てくるようなものだと捉えていたけど、俺自身が「超閾(ちょういき)」というスキルを身につけたことで、どうやってスキルが人間から生じてくるのか興味が湧いてきたのだ。

しかし、残念なことに、これについてはアンサイもフローレンスも情報は皆無ということだった。シンク・スキルは人間と精霊が力を合わせて生み出すものだ。じゃあ、人や精霊が生まれながらにして身につけているスキルはどうなる? しかも、俺の言っているスキルっていうのは、精霊が本来持っているような能力とは別物のことだ。

例えば、マーセイドは鏡を作り出し、水を操った。これはスキルではなく、生来の能力だろう。同じように、白蛇宇賀を操ることができる能力や、ストレリチアの新しい剣と火を使う能力もスキルではない。スキルっていうのは、これまで内に秘めていたものに変化を起こしたり、リンクさせたり、影響が与えられて出現する、一般常識を超えたものだ。スキルの中にも、アンサイの「識別」や「数値化」のようにわかりやすいものもあるが、これは元々の素質と関連性があるのではないだろうか。しかし、「識別」にしたって、この名前は一体どこからやってきたのだろうか? 「数値化」にしても、その数値の参考となるものがあるはずだが、これは誰が決めたのだろうか? どうやってアンサイはレベル1をレベル1だと認識できるのか? そしてアーモンドのスキルでもある「救出考古(サルヴェージ)」──これは姿を根本的に変化させ、人間の発明のための道具として生まれ変わらせるスキルだ。

アンサイは俺に、精霊の特別な性質はおおよそスキルによって決定されるのだと教えてくれた。例えば、闇の属性を持つ精霊とかゾンビタイプの精霊といった区分はあまりスキルに特化したものではないが、バッテリータイプや追跡タイプのようなものは生来の能力というよりもスキルを指している。バッテリータイプや追跡タイプのスキルは、他のスキルよりもレアなのかもしれない。

アンサイ曰く、精霊が独力でスキルを身につけた場合、その精霊はすでにスキルを身に付けていた、つまりそのスキルは覚醒していなかったもの、と考えられるらしい。

もう頭がパンパンだ……俺はとりあえず、とんでもない能力の種類には二つある、として受け取っておくことにした。誰にでもスキルとは違う能力が備わっている。これは魔法みたいなやつ。そしてスキルの元となるようなものがあり、その中にはシンク・スキルも存在しているってことだ。

今のところはこれで十分だろう。しかし、俺の頭の片隅には、まだ気になっていることがある。それは、ダンジョンのコアは生きているのか? ということだ。アンサイはそこには意志が宿っていると言っていたが……それか、ただ単に説明をし忘れてしまったのか? 俺がアンサイに尋ねようとした時、俺たちの進む先には無数のワナが出現し……今はそのタイミングではない、そのうち聞けば良い、と思い話を終わらせた。


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