4.草原
必要品の買い物を終わらせ(広場にいたおばあさんがおまけしてくれた)、宿をとった(同じくおまけしてくれた)わけだが。
「……金が無い」
楽器まで手が届かない。というか食材も買えない。調理道具と紙とペン、インクを買うので精一杯だった。
「……兎くらいなら、いけるか?」
ロープはある。まあ、やってみるか。
――因みに、私は冒険者ギルドに所属できない。非戦闘員だからね。所属するには戦闘、魔法、採集でレベルが上がる職業を持っていることが前提条件でした。
「……も」
私の前にはキュルンとした目がかわいい白ウサギが一匹。金稼ぎのため、これを狩りに来たわけだが。
「もふもふ……」
「くぅ?」
てか鳴き声かわいい。くぅ?ってなんだくぅ?って!これを殺せと!?無理だが!?
……まあ。
「くるっ!」
「……攻撃はしてくるんだけどね」
アクティブモンスターなので。
「うーん、殺したくないから攻撃しないでー……」
「きゅうっ!」
側にはスライム。言葉わかるからね。
『スキル 言語(兔)が習得可能になりました』
「習得っ!」
『スキル 言語(兔)を習得しました』
よっしゃっ!これで話せる、はず!
「こっちに攻撃の意志はないよ」
「……くるぅ?」
「うん。ここで寝っ転がってもいいよ?」
そういってゴロンと寝転がる。あー、日光と風が気持ちいい。寝そう。
てか本格的に眠い。これは、もう、む……り……
「んにゅ?」
寝返りをうつとふわりとした感触。億劫だが目を開けると、そこには兎がいた。ぷすう、ぷすう、と寝息をたてて眠っている。かわ。
「……おぉ?」
そー……っと体を起こすと、あらびっくり。私を取り囲むように兎とスライムたちが寝ている。てか外側にでかいのがいるんだけど。
『――起きたか』
「ええと、はい。あなたは?」
『兎たちを護るものだ。名はない』
声の聞こえ方が違う。なんだろう、脳内に直接語りかけられるような感じ。
『お前は、子らを傷つけなかったな』
「まあ、そんなことするために来たわけじゃないんで」
『お前からは血の匂いがしない。だから子らも安心して眠れる』
そういって、大きな兎はすり、と額を私に擦り付けた。
『このように深く眠れることは滅多にない。私まで育てば別だが、子らはまだ幼い。抵抗などできず、輪廻へと戻るものが多い。……きっと、この者たちは大きく育つ。炎神の祝福を受けたものが近くにいたのだからな』
「そこでなんで神様が関係あるの?」
『炎神アーレフは戦、即ち命の輝きを司る神。彼の方の気配が感じられる同族がいれば、その気配を避けるものが多い』
「そうなんだ」
『だからこそ、感謝を。……これからも偶に会いに来てくれ。子らも喜ぶ』
『称号「兎たちの寝床」を獲得しました』
『アイテム「兎の耳飾り」を入手しました』
『称号「架け橋となるもの」を獲得しました』
「わ、大盤振る舞い」
『私達と対話しようとするものはいるが、言語を取るものは少数だ。少なくとも私は知らんしな』
『ネーム :ミーア
種族 :羽根人
職業 :メイン 吟遊詩人 Lv.1
サブ 料理人
HP :30
MP :10
ステータス
【詳細省略】
スキル
歌唱Lv.3
演奏Lv.1
料理Lv.1
解体Lv.1
書記Lv.1
神話書庫Lv.2
生活魔法Lv.3
拡声Lv.2
作図Lv.1
裁縫Lv.1
言語Lv.1→2
飛行Lv.1
炎熱耐性Lv.1
鼓舞Lv.1
言語(兎)Lv.1←New!
睡眠向上Lv.1←New!
残りSP:4
魔法詳細
Ⅰ 着火 Ⅰ 水作成 Ⅰ 土作成 Ⅰ
Ⅰ 風波 Ⅰ ライト Ⅰ 暗闇 Ⅰ
Ⅰ 回転 Ⅰ 停止 Ⅰ 温風 Ⅰ
神話書庫
・炎神アーレフⅰ〜ⅲ
・緑神ルラーグⅰ
称号 非戦闘員
効果:戦闘系スキル自動習得不可。非戦闘系スキ
ル習得必要経験値減少、獲得経験値上昇
共に生きる者
効果:生活系スキル獲得条件緩和、条件開放1
空で生きる者
効果:スキル「飛行」を獲得
炎神アーレフの祝福
効果:スキル「火炎耐性」、「鼓舞」を獲得。生
活魔法に「温風」を追加
兎たちの寝床←New!
効果:スキル「睡眠向上」を獲得。兎族からの好
感度向上値上昇、兎族からの敵意減少
架け橋となるもの←New!
効果:言語系スキルの習得必要経験値減少、異種
族からの敵意減少、条件開放2』
『兎の耳飾り:スキル「跳躍」、AGIとDEXがそれぞれ
10上昇』
強。明らかにこのゲームスタート時点で持っていていいものじゃない。どうなってんだ。
あとかわいい。多分兎の尻尾な耳飾り。絶対外さん。
……まあ、他の人は基本モンスター倒すよね。うん。なんというか複雑だ。
「……因みに私でもとれる野草に心当たりは」
『……そこの木の根元には薬草が生えている。あとあの低木の葉は食べられるぞ』
「いや結構まじでありがとう」
『……』
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