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唄う物語  作者:
3/116

3.この世界の音楽

街を見渡し目に入るのはザ・冒険者ギルド的な建物、噴水広場、絵の描かれた看板。看板には剣や鎧、フラスコなどが描かれてるからそれぞれ武器、防具、道具類を扱っているのだろう。


 ふと目に入ったのは噴水広場で何やら準備している青年。見た目的には吟遊詩人(バード)だろうか。楽器はクラシックギターだろう。見た感じは。


 ――始まったのは、恐らくは女性視点の恋歌。歌詞から考えて緑神だろうか。

 ……だが、なんというかしっくりこない。間の入り方と言い音程と言い、彼一人では完成していない感じがある。

 というかこの歌詞は知っている。神話書庫に載っていた歌だ。

 つまりこの歌は緑神が炎神へ愛を伝える彼らの掛け合いをもとにした歌、だと思われる。ならばしっくりこないのも納得した。だって二人で歌う曲だもの。


 周囲の人は手拍子したり、体を揺らしたり、目を瞑って聴き入ったりしている。つまりルールとかはあまりないのだろう。なら。


「――、――♪」

「!」


 歌っていた人が驚いたように微かに目を見張った。でもそれは一瞬で、楽しげに笑うとちょいちょい、と手招きしてくる。


「〜〜〜、―――っ♪」


 ――どうして答えてくれないの、と緑神は叫ぶ。


「――――……♪」


 ――君に答えることはできない、と炎神は静かに笑う。


「――♪」


 ――愛してる、と緑神は泣く。


「――♪」


 ――僕も愛している。と炎神は答える。


 でも。


「「……―――、―――……♪」」


 炎と緑。彼等は共にあれない。神であるがゆえに、世界を乱すことは許されないのだ。


「「――……、――〜〜♪」」


 共にあれなくても。それでも互いを思い続ける。


 ―――これは恋歌であり、神々の哀しさを伝えた曲。話を読む限り大衆にはただの恋歌として伝わっているらしいけど。


『神話書庫にて閲覧できる書物が増えました』

『歌唱がLv.2から3へレベルアップしました』

『経験値が一定に達しました。吟遊詩人がLv.0から1へレベルアップしました』


『ネーム :ミーア

 種族  :羽根人

 職業  :メイン 吟遊詩人 Lv.1

      サブ  料理人

 HP  :30

 MP  :10

 ステータス P:2

 【詳細省略】

 スキル

     歌唱Lv.2→3

     演奏Lv.1

     料理Lv.1

     解体Lv.1

     書記Lv.1

   神話書庫Lv.2

   生活魔法Lv.3

     拡声Lv.2

     作図Lv.1

     裁縫Lv.1

言語(スライム)Lv.1

     飛行Lv.1

   炎熱耐性Lv.1

     鼓舞Lv.1

    残りSP:5

 

 神話書庫

 ・炎神アーレフⅰ〜ⅲ

 ・緑神ルラーグⅰ←New!』


 緑神の名前はルラーグか。今回は神話書庫のレベルアップはなし、と。


「やぁ」

「あ、すみません。乱入してしまったようで」

「いいや、問題ないよ。寧ろ感謝しているんだ。あの曲は一人では完成しないからね」

「お役に立てたなら、何よりです」


 にこやかに話しかけられる。近くで見るとやはり顔がいい。ネームドキャラだろうか。


「私の名前はウィー。君の名前は?」

「ミーアと言います」

「ミーア、だね。宜しく。私は週に1度くらいだけど大体この時間でいるときが多いから、また一緒に歌おう」

「光栄です」

「ふふ。そんなに畏まらなくていいんだよ?じゃあね」


 颯爽と去っていくウィーさん。風のウィンドウからとってウィー、だろうか。

 そんなことを考えながら移動しようとすると、観客はようやく立ち直ったようだった。


「っ、嬢ちゃんすげぇな!ウィーに負けないどころか張り合ってたぞ!」

「なんかまだ耳に残ってる……っ」

「何時もよりもやば……っ!」

「あ、はは」


 ビシバシと肩をたたいてくるのは大柄なおっちゃん。周囲では耳を抑えて真っ赤にしている人(獣人)や顔を抑えて悶えている人など。うん、カオス。


「見たことねぇ顔だが、新しく来たのか?」

「あ、はい。今さっき来たところです」

「そうか!楽しんでけよ!」

「はい」


 じゃあな!とおっちゃんは去っていく。その足取りは軽い。それが合図だったかのように、広場からだんだん人がはけていく。一部足取りが怪しい人もいるが。


 こうして私の住人とのファーストコンタクトは終わったのであった。

評価はしていただけるとモチベーションに繋がりますので、是非お願いします!

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