気になる(アルベルトside)
殿下目線になります。
よろしくお願いします。
最近になりよく夢をみる。
場面は様々だが、でてくる人物は多分同じ少女。
今日のお茶会らしきものもあった。
一人質素なドレスを身にまとい、他の令嬢と違い周りに親兄妹が居ない少女。
たどたどしい挨拶をした後はすぐに会場の端で一人立っている少女。
周りは母と俺を囲み、愛想を振りまきながら、噂する。あれは公爵家の噂の不義の子だ……と。
くだらないと思いながらも家族の話を良くするアルマンディ公爵から娘の話は出たことが無かった。だからこそ興味を惹かれた。
じっと見ていたはずなのにいつの間にか少女は居なくなっていた。そこで目が覚めた。
状況は違うが夢で見た少女に良く似た、けれど雰囲気の違う少女が公爵と参加していた。夢でみた少女は可愛らしいが何処かおどおどとした雰囲気だったが、今目の前にいる少女は顔立ちは似ていても雰囲気は凛と澄んでいて、噂話など気にも止めていない様子だった。
ソフィアと名乗る少女は挨拶を終えると公爵から離れ、バラ園から出ていった。
挨拶の時、とても懐かしい気持ちと凛とした雰囲気に胸が熱くなった。
彼女はきっと自分の生涯大切な人になる気がした。
彼女に触れたい、笑いかけて欲しい。
公爵は母と話しているからか少女が、ソフィアが離れたことに気づいていなかった。それすら彼女は気にも止めず会場を後にした。
周りの親達は公爵家やソフィアの話で盛り上がっている。王が信頼を寄せている筆頭公爵家の話となれば大人達にとっては興味をそそる内容だろうが、王家主催のお茶会でする噂話ではないだろうに、見ていると不快だ。が、母と公爵が気に止めていないところを見ると日常的に飛び交っているものなのだろう。外見だけで不義の子扱いとは、彼女も不憫だな。
そして令嬢達はこちらを気にしつつもグループで談笑している。今なら自分が離れても対した騒ぎにはならないだろう。
母の傍を離れ、ソフィアの後を追ってバラ園へと向かった。
ソフィア……
この時は君と話したくて、触れたくて、自分の気持ちだけで突っ走って、君が抱えている過去やこれからの未来への不安、これから俺と関わることへの恐怖、あの時見ていた夢について、気づかず君を苦しめたね。ごめん。
初めて挨拶を交わしたあの時、凛とした表情だったけど悲しみや恐怖、色々な感情を必死で耐えていたんだろう。もっと早く気づいていれば……。
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