どうやら時間が巻き戻ったらしい
文章整理が思うように進まずお待たせしてしまいました……すみません泣
いいね、評価、ブックマークありがとうございます!
2023.4.15現在までの更新した一部を加筆修正しました。
読んで下さってる方へ
大きく話が変わることはありませんが、この章のみ加筆修正が大幅なものになっていますのでご迷惑をおかけします
m(*_ _)m
そう。あの処刑から巻き戻ったのだ……。時間が……。
8歳で明日がお茶会らしい。ということは前と同じであれば翌日、つまり明後日には第一王子からの婚約者打診の使者がくるはず。
そうならないようまずはお茶会をどうにかしないといけない。
死ぬ為に結婚するなんて冗談じゃないわ!!
あの時のお茶会では確か……
そう……あのお茶会には伯爵家以上の家格で第一王子と歳が近い女子が両親と共に集められたお見合い名目のお茶会だ。お茶会というより子供向けの規模の小さいパーティーの様な感覚だ。
それはそれは綺麗にバッチリメイクで戦闘準備バチバチな可愛い(もといケバい……)女子が集まっていた。そんな中、私は当時から両親が衣食住最低限の着飾りしか許さず、メイクなんてもっての外で地味そのものだった。
選ばれなかったお嬢様方と違うのは唯一これだ。多分……。
みんなと同じバッチリメイクの戦闘態勢で婚約されない大作戦!!
これで間違いないはず!!
更にお茶会で第一王子を目にしなければ一目惚れなんて夢幻も二度と起こらないはずだ!!壁の花バンザイ!
「先ずは公爵様に強気で直談判!」
そういえば、もう随分と公爵のことを父と呼んだことがない。
処刑直前に笑っていた両親。あの時の両親は権力や金に溺れていたように思う。
とはいえ、娘に対しては最低限の質素倹約を求めていたのがなんとも矛盾している。それもそのはず。両親はその見栄に似合う美貌がある。2歳下の弟もそうだ。なのに私は両親に似てないのだ。平凡な顔にプラチナの髪に黄金の瞳……。産まれてしばらくはなんとか多少の関わりを持たせて貰えても挨拶程度の最低限だった。あの頃は乳母に泣きつくのが毎日だった。
それすらも無くなり父と呼ぶな、母と呼ぶなと躾られたのは弟が産まれた時だった。顔を見た時に両親に似た顔立ちに見蕩れたのは事実だ。その弟とは廊下ですれ違う程度で姉弟らしい関わりは一切ない。小さい頃に庭先で怪我をした弟の近くにいたら地下倉庫に1週間監禁されたからだ。その頃には身近にいた使用人はメルティと乳母のマーサを除いて皆弟を可愛がることを優先していた。
弟自身は私に対してどう認識してるのかは知らない。
そんな状況で生きてきた私に何故か過去このお茶会の招待状が来たのだ。今にして思えば疑問しかないがこのままだと前回と同じだ。このまま前回と同じことを繰り返したくはない。
そう考えながら部屋のベルを鳴らした。
「お嬢様、いかがされました?」
「公爵様にお話したいの」
入ってきたメルティに伝えていると公爵家の執事·オリバーが来た。
「お嬢様、旦那様がお呼びです」
「ちょうど良かった。私からもお話があったの」
「では執務室へご案内します」
メルティに部屋を任せ、オリバーに付いて部屋を出た。
「旦那様。お嬢様をお連れしました」
入室の許可が返ってきた。
「失礼します。公爵様。お呼びと伺いました。」
「明日、アルベルト殿下との茶会がある。王妃様直々に年頃の子供を集めた茶会だ。参加しろ」
招待状を渡され、参加を命じられた。
一切眼を見ずに。
「失礼ですが公爵様、ひとつ宜しいでしょうか?」
「……なんだ。」
眼すら合わせないことに腹が立ってきた。
前回は言えなかった。従い、逆らわないことでしか身を守るすべを知らなかったから。でも今は違う。回帰前に誓った、愛さないし、求めないと。だから逆らってもバチは当たらないはずだ。とことん言ってやろう。
「私が貴方の娘って認識あります?」
「……は?」
「いや、はっ?じゃなくて娘です。認識してます?」
「お前急にどうした」
「どうしたもこうしたもありません!私、公爵様に何かしましたか?貴方は父親ですよね?違います?」
「そうだが……」
驚きながらも父であることに頷く公爵。
「私は物心ついた頃から貴方を父と呼ぶと公爵様と呼ぶように呼び方を強制されました。覚えていらっしゃいますか?」
「あ……いや……」
「覚えてないんですか?……はぁ。純粋な私は素直に従って馬鹿を見ているわけですね……血縁だけの自称父親に……バカバカしい」
「なんだと?」
私の発言に公爵は顔を真っ赤にして机を叩いた。
あ。怒った。