ソフィアとヨシュア(公爵夫人side)
まっすぐな眼で、強い口調でどうして殺さなかったのか、捨てなかったのかと問い詰める目の前の娘にどう答えたらいいのか分からない……。
8年前のあの日……ソフィアが産まれる前までは本当に産まれてくることが待ち遠しくて旦那様もいつも私のお腹に向かって話かけていた。
変わってしまったのは産まれてから。
旦那様にも私にも似ていない瞳の色に髪の色。
それでも最初はまだ赤子だから色がはっきりしないのだろうと切り替える事が出来た。
旦那様はもしかしたら違ったのかもしれない。私の身辺を頻繁に探っていたから。
きっとそれもあって顔立ちや髪や瞳がはっきりしてきた頃徐々に自分の子とは認識出来なくなって来た。旦那様のブラウンにも私の黒にも似ていない綺麗なプラチナの髪に太陽のような黄金色の瞳だった。
この子の名前は私が付けた。旦那様は身辺調査をしていたこともあり顔を見に来ることはあっても名付けることはせず、名前も呼んだことは無かった。
私への疑いが晴れ、旦那様との距離も元に戻り、新しい命が宿った。ソフィアが産まれて3年後のことだった。
この頃にはすでにソフィアは離れで暮らしていた。この子といると旦那様がいい顔をしなかったし、私も不義の疑いをかけられた子を愛せず母でいたくなかったから。
ソフィアの名前を屋敷で一番呼んでいたのは使用人達、そして先代の公爵夫妻だった。先代の数代前の夫人がソフィアと同じ髪や瞳だったという。調べたくてもご実家はもう無く、自らの姿を残すことを嫌われていたそうでそういった類のものが一切残っていなかった。先代ですらかなり幼い頃に数回お会いした程度で優しい方だったとおっしゃられていた。
お会いしたことはなくても縁者に同じ容姿の方がいたこともあり形だけでも育てていけると思っていた。
それでもヨシュアが産まれると全てが変わっていった。自分達にそっくりな容姿で旦那様にとっては自分の後を継ぐ子。ヨシュアに構うことでソフィアのことを忘れていってしまっていた。
ソフィアも私が産んだ子、私の子なのに…。
私はソフィアが伸ばした手を突き放した……。
読んで下さってありがとうございます!(´▽`)
新しいタブレットを購入したのにバカやってSiMカードが取り出せず余計な出費をしてしまうことに( ; ; )
相変わらずの亀さんですが、読んでくださり、ブクマ、評価本当にありがとうございます!
新しい作品も亀さん同時進行させて頂きます。そちらもよろしくお願いいたします!