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Load of Store 生産職で魔王は倒せますか?  作者: 漆黒の炎
The Love of One’s Life
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後悔しても

 戦いの後で俺達は心愛先生のアパートに戻っていた。


「やっぱり私達もこの扉を通らなきゃいけない? 他に異世界に行く方法はないのかな? なんかちょっと禍々しい雰囲気というか。秀人なんて見た目も変わっちゃったし。」


「なんで痩せちゃったんだろうね。……じゃあさ。やっぱり陽菜はこっちに残っていても良いんだよ。」

  

「なんでずっと置いてけぼりにしたがるわけ? 良いわ。ちょっと待ってて。私はよくても心愛さんを危ない目に逢わせるわけにはいかない。私が先に行って見てくる。」 


 この提案には心愛先生が異を唱える。人一倍正義感が強く、仮にも聖職者を目指していた心愛先生が、それを言われて納得するわけがない。

 

「駄目です。まだ子供であり、日本の宝でもある陽菜さんよりも私の方が適任……あ……行っちゃった。陽菜さん。ごめんなさい。」

 

『異なる世界への入口』

 

 俺がアイテムボックスから取り出したこの扉は、最初に神様が与えてくれたアイテムの1つだ。俺はこの扉を使って異世界と現実世界を行き来している。

 

「うん。秀人が言っていたように、文化レベルが低そうな宿屋と繋がっていたわ。」

 

「辛口だね。」


「違うわよ。ありのままを言語化しただけ。ところで、私、何か変わってない? 扉を通った瞬間に変な違和感があって、なんだか気持ちが悪いんだけど。」

 

「それは予想外だな。神様が変な事をするわけがないでしょ。……ちょっと待って。鑑定してみる。」 


 

『名前 陽菜 西園寺 Lv1 

 人種 人

 職業 暗黒武闘術師

 称号 神格者 武王

 

 ≪ 天性(ネイチャー) ≫

 冥府の女王

 

 ≪ アビリティー ≫

 三分の一 スキル強奪

 

≪ ギフト ≫ 

 高潔


≪ スキル ≫

 分身(アバター)


  さすが神様のアイテム。この扉は、ただ現実世界と異世界を繋ぐだけではないんだな。

 

「……俺と違って凄まじい。……でも、違和感の正体がなんとなく分かったよ。心愛先生と比較してみる。」



『名前 心愛 鬼龍院

 人種 人』

  

「やっぱりそうだ。この扉を通して、俺が仲間を異世界に連れていく場合。ステータス情報が異世界の仕様に書き換えられる。」


「納得出来ないけど、まあ仕方ないわね。」


「それより陽菜。現実世界での芸能のお仕事も続けられるよ。陽菜にも分身(アバター)スキルが使えるんだ。分身(アバター)って言ってみて。」

 

「……う、うん。分身(アバター)。」

 

 その言葉で陽菜の分身(アバター)が出来上がる。

 

「「へぇー。これが私の分身なのね。」」


「「ちょっと。何言ってんの。私が本物よ。」」

 

 陽菜が今にも喧嘩をしそうな勢いなので、俺は仲裁に入る。陽菜は、この美少女の見た目で空手の全国大会で優勝する程の格闘家なのだ。心愛先生のアパートで争わせるわけにはいかない。

 

「うん。悪いけど、こっちが本体かな。もう一人の陽菜は、こっちでの生活を続けてくれるかい?」


「嫌よ。私も着いていくわ。」

 

 陽菜の分身(アバター)の対応は予想外だった。なぜなら。

 

「おかしいな。俺の時は微かに情報がリンクされていたけど。じゃあ。本体が残る?」


「秀人まで馬鹿な事を言わないでよね。あんたが分身なんだから、あんたがここに残りなさい。」


「本体だからってずいぶん上から目線ね。いいわ。後で後悔しても知らないんだからね。」

 

 陽菜の分身(アバター)が、不服そうにぼやきながら心愛先生のアパートから去っていった。


「気を取り直して、異世界に行きますか。ステータスが書き換えられるみたいですが、心愛先生は大丈夫ですか?」


「それは平気です。……でも、ケモミミ……ハァハァ……と心臓がポロリしそう。ワクワクが胸いっぱいにドキドキします。」


 

心愛先生。俺達に国語を教えてましたよね? でも、すみません。俺にツッコむスキルはないです。


「はい。では行きましょう。」 


 扉を通ると、俺達は別の場所にいた。現実世界から考えれば時代錯誤の最初に来た宿屋。二人は窓の外の景色を必死で確認している。部屋の扉の外からは、聞き覚えのある声が聞こえてきていた。 


「すみません。オニミヤ様。 何かありましたか? 聞こえてますでしょうか? オニミヤ様に、お客様がいらっしゃいました。」


「すみません。聞こえてます。ちょっと待って下さい。」


 まずい。この宿屋に宿泊しているのは俺だけだ。


 宿泊客が更に別の二人を部屋に入れていて、無断で宿泊費をちょろまかしている風にならないだろうか。


「はーい。今開けます。」


 心愛先生が客室のドアを開けてしまう。何かがおかしい。本当にあの心愛先生なのか。


「ぅあぅあ……本物のケモミミッー。」


 心愛先生が放心状態で、今にも猫耳さんに飛び掛かりそうになっている。

 

「かわいいぃー。やだ最高最高。天使天使。」


「先生駄目です。宿屋の店員さんですよ。それに今は、無銭飲食ならぬ、無銭宿泊客問題が……。」


 だが店員さんが涙を浮かべて感動している。

 

「……卑下される事が普通なのに。亜人が、初対面の人にかわいいって言って貰えるだなんて思ってもみませんでした。こんなに喜んでくれる方がいるんですね。ありがとうございます。」


「……いや。その……宿泊していない人を勝手に部屋にいれてしまい……。」


「何の事でしょう。亜人に偏見を持たない方はもはや仲間です。私は見ていません。宿屋の主人にも絶対に言いません。それでもオニミヤ様に都合が悪ければ後で正式に手続きすれば良いでしょう。それよりもオニミヤ様にお客様がお見えです。ご対応は如何なされますか?」 


 心愛先生。空気が読めないみたいな事を思ってすみませんでした。おかげで助かりました。

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[一言] 神格者 未來記憶ありますてす
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