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二人目

「は?実験体?なんだよ、その胸糞悪い呼び方」


悪態をつくと後ろから強い力で殴られた。いや、蹴られた…?とにかく痛い。


「黙れ。マスターに失礼だろうが。」


制服を着ている時と全く印象が違ったので、気付くのに時間がかかった。ジミコだ。白いピッチリとしたスーツを着ていると、胸もでかくてスタイルも良い。クラスでのジミコが嘘だったみたいだ。


「やぁ、良いんだよ。私の事は気にしなくても。…実験体って呼び名もあまり良くないしね。」


「ッ……。分かりました。」


痛い背中を撫でながらいるとジミコがあっ!と声をあげた。 その声は驚くほどに可愛くて、鈴の様だった。


「マスター…。ユキミがまだ来ていないのですが……。よんできましょうか?私がいれば不必要かと思いますが…。」


ジミコとは思えない態度に先程から驚かされる。…そうだった。コイツ、全てのテストで49点を取って居たっけ…。じゃあ、わざと目立たないようにしてたのか?わざと、一点分間違えて…?


「いやいや、ユキミくんも大事な職員だよ。呼んで来なさい。」


「はい。」


ジミコが眼鏡越しにゴミを見るような目でこちらを見てきた。マスターに失礼な事をしたら殺すぞ。とでも言いたげだ。

ふふん。逆にちょっかい出したくなってきたなぁ……。


「ねぇ、『マスター』」


「なんだね?」


このマスターは先程から優しい物腰だ。きっと、能あるタカは爪を隠すって奴。ジミコのあの強さ、何者にもなびかなそうなジミコを部下に出来ている。…絶対に強い。


「実験って…俺らをモルモットみたいに使うって事?」


マスターは悩む様に首を傾げた。モルモットの例えが通じないのか?と不安になる。

しばらくしてマスターが口を開いた。


「君達の命は守るよ。君達の…ね。」


うわ…。このマスターってやつ…怖いな。君達の…ね。と言った時に背中に悪寒が走った。恐ろしい。

怒らせたら怖いけど、普通の時は良いやつ……。って感じか?

どっちにしろこえーけど。


「ユキミ!何ごろごろしてんだよ?マスターの御膳だぞ!」


ジミコの怒号と、共に一人の女いや、男?が中に入ってきた。雲の様な物に乗ってふよふよと浮かびながらポテチを食べている。その姿は見るもの全てに『駄目人間』という印象を与えるだろう。


「へいへーい。…って、このこ。新しい実験体?」


え…?ジミコが何かを察したようにユキミの口を塞いだ。


「どういうことだよ、ジミコ!()()()って!」


ジミコが苦虫をかみつぶした様な顔でこちらを睨んで来る。墓穴を掘ったな。


「お前ら三人は…三代目なんだよ。これまでの奴らは、死んだよ。」


ジミコが余りにも冷静に、尚且つ冷淡にそう言い放った。ユキミがポテチを掴んでいた手を止めて会話に聴き入っている。


「死んだ?ふざけんな。そんな実験なんて、協力してやるかよ!」


近くの椅子をジミコに向かって蹴りつける。白い椅子はジミコの足に当たった後砕けちって白い床に吸い込まれた。


「お前なんて死ねば良い。でも、他の奴らは殺したくない。だから、私はこの計画に命を懸ける。お前らを守る。だから、お前らも私達を守ってくれ。」


は?他の奴ら…?そうか、俺は実験体A。Bが居たって不思議では無い。

それにしたって謎が多すぎる。ここは、何処で俺は何の実験をさせられる?計画…?人を守る?


ウダウダ考えているとガンッと言う音がした。

俺がここに飛ばされた時と同じ音だった。もしかして…と思い目を懲らすとそこにイケメンのリカが現れた。


「…ここは、何処?」


やけに落ち着いた様子でリカが言う。ジミコがリカをじっと眺める。


「ここは…何も無い空間。私達の実験の本拠地でもある。」


椅子はあるけどな。と心の中で突っ込む。それよりも、ジミコの俺に対する時とリカに対する時の態度の差に驚いた。


「そう。実験って何をやるの?理科は得意だよ?リカだけに。」


面白がる様にダジャレを言ったリカにも、ふふ。と愛想笑いをしたジミコにも驚く。えっ…ジミコってもしかして…リカの事好きなのか?


「あぁ。というか、君、ジミコって呼ばれてる花子さん?」


ジミコがそうよ。と頷く。二人の間にでっかいハートがみえる。なんて思っていると後ろから『気持ち悪いね』と言う声が聞こえた。


「わぁ!」


後ろにいたのはユキミだった。次はポテチじゃなくて体に悪そうな位、ピンク色の飴を舐めていた。


「ハナコはあのイケメン君が好きなんだよ。きっもちわるいねぇ~。」


「…そうだね。」


ジミコがリカの事を好きと聞いて、胸が痛くなったのはなぜだろうか。

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