クラスの奴って基本馬鹿だよな。
「と、言う訳で君達にはバディを組んで、人を殺して貰うよ!」
ー全てはその一言から始まった。
「はぁ~。今日テスト返却日かぁ。」
うなだれて死にそうになっているレントを宥める。レントは友達で一軍だが、馬鹿だ。その地位は使えるがそれ以外の利用価値は無い。
「アキラは大体満点だから良いよなぁ。」
「はは……。ありがとな。」
本当に馬鹿だ。頭の良い奴なら、努力もせずに満点を取れるとでも思っているのか。とんだ幻想論だな。
「そういやぁ、アイツも大体満点だよなぁ。」
レントが指差す先に居たのは学校一のイケメンと名高いリカだった。女子から黄色い声をあびながら校舎を静かに歩くアイツの事を気に入っている。と言えば嘘になる。
「イケメンで、頭も良くて、運動も出来て……この世界の女子全員アイツの事、好きになるんじゃねぇの?」
少子高齢化進めやがって!と、罵倒するとレントが大きな声で笑った。まったく…馬鹿は気楽で良いな。
「あ、リカくん。おはよう…。」
「あぁ。アイツもモテるよなぁ。」
レントは思い出した様に呟いた。アイツと言うのは、天然属性のツカサの事だ。
顔も、まぁ可愛らしくて…何より他の男子より清潔感がある!と言うのがモテる理由らしい。
……つくづく女の思想には驚かされる。
俺なら、無口なイケメンに話しかけて無視されるような奴なんて恋愛対象にすら入れない。
「今回のテストの平均点は21点だったぞ!低いなぁ。そんなに難しかったか?」
数学担当の先生が偉そうに語っている。俺の教え方は悪くない…的な言い訳を。
「あぁっ!でも、満点が三人も居たぞ。」
その一言でクラスがざわっとなる。周りから、イケメンのリカ君だよね?とか、さっすがアキラ~。と茶化す声が聞こえて来る。 うるせぇな。豚どもが。
「アキラと、リカと、珍しくツカサも満点だ!」
ざわつきが、おおっ!と言う歓声に変わる。…そんなんだから馬鹿なんだよ。心の中で罵りながら、答案用紙を受け取りに前へ出ていく。
「…………。」
いつも下を向いてネリケシをねっている花子。通称ジミコが珍しく顔をあげこちらを睨んできていた。
なんだ…?と、思いながらも横を通る。
…その途端、教室の床が抜け落ちた。
だが、自分とジミコ以外は落ちていない。周りは、下の階があるはずなのにとにかく真っ暗。
「っ…は?んだよ、コレェ!!!」
「落ち着いてよ。アキラくん。死なないから。」
ジミコが落下しながら、大きな声で呼びかけてくる。コイツ……何をした?
「テメェ!!殺してやる!今すぐこれをやめやがれ!!」
「……クラスで人気で、優しい君も裏はそんなんなの…?はぁ、幻滅ぅ。安心して。もうすぐで到着だよ。」
どういう事だ?コイツの能力…?到着?どこに?
ダメだ…、情報が少なすぎる。
ガンッ
その音がすると同時に、真っ暗な空間から真っ白な空間に飛ばされた。
白い椅子があって、その椅子にはヒゲも髪の毛も目の色も全てが真っ白な男が座っていた。
「…やぁ、ようこそ。実験体A。」