トラップ 才能
放課後、僕達は最近はやりのカードゲームを始めた。
強力なキャラクターカードを出し、連携を決める事で、勝利の鍵が掴めてくる。
スリルのある、素晴らしい遊びだ。
「また負けた!」
けれど、僕には悩みがあった。
トラップカードがうまく決まらない。
相手を罠にはめようとすると、必ず察知されてしまうのだ。
あんまりにもバレるものだから、僕は相手に聞いてみた事があった。
すると、視線でバレると分かった。
トラップカードは事前に待機所ゾーンという場所に設置しなければならない。
そのカードには時限式のカードがいくつもあるので、そういうゾーンが活躍するのだ。
だが、僕がトラップカードを使用する時は、頻繁に視線がそのゾーンに向かうものだから、ばれてしまうらしかった。
僕は次は、できるだけトラップカードを見ないようにしようと決めた。
けれど。
「また、負けだ!」
次も察知されてしまった
一体どうして?
恥を忍んで相手に聞いてみると、今度は不自然にそっちを見なさすぎる、との事だ。
それからも何回かトラップカードの発動を試みた。
でも、それらの全てが不発。
相手に対処されてしまった。
何回やっても視線が不自然になってしまう。
結果、僕は人を罠にはめる才能がないのだと気が付いた。
そう言うのはきっと、人を罠にはめても心が痛まない人間に才能があるのだ。
僕は負け惜しみを言って、自分を慰めるしかなかった。
そんな事を思えば、「平気で人を罠にはめる人間には、心がない」と思う僕にも十分に才能はあるはずだけどね、と皮肉られた。