lost“blue”spring
心も体もすこし重くなった体を起こす。
さあ今日はなにをしよう!
本来ならは輝かしいこの言葉も
今年に限っては鈍く霞む。
cウイルスが予想外の猛威をふるい始めて、
はや数ヶ月。
政府による緊急事態宣言をはじめとするさまざまな
外出規制がなされた。
はじめの頃は定期テストが中断され、忙しすぎた
吹奏楽部の部活も自粛を余儀なくされたので、
とてつもない開放感が俺の体を駆け巡った。
好きなだけ自分の家に一人でいて、好きなだけゲームをして、好きな曲を吹きまくり、旧友と電話に勤み、料理にも挑戦し…etc。
まるで失われた時間を取り戻すように、与えられた時間を貪り尽くした。
2年前、楽譜の読み方さえも知らないくせに
俺はあの部活に入った。当然なにができるわけでもなく、最初は音に楽器にただ呑まれ続ける毎日。
思い通りにいかない歯痒さを初めて知った。
それでも頑張り続けられたのはその世界があまりにも輝いて見えたから。一人でもできる音楽を重ね合わせて紡ぎ出す。その魅力を無知なりにも感じてとっていた。
当時の代は全国3位まで登り詰めた。
さあ。と手に取った楽器でコンクールメンバーを勝ち取った次の代では県大止まり。その後はそれなりに楽しくはあったが、自分の腕がどうしようもなく
追いつかない現実に疲労感を隠せなくなっていった
結局は凡人だったのだ。
自らその世界に飛び込んだくせに、彼らの「当たり前」さえもできない自分が結局は認められなかった。認めて進むことをしなかった。どうでもいいことばかりに時間を使って努力することを怠った。
当然勉強も手がつくわけがない。元は計画的に勉強するタイプだったが、徐々に崩れ去っていった。
定期テストはすこしやるだけでそこそこの点は取れてしまうので、執拗に努力することがなくなった。
「仕方ないよね」そう自分に言い聞かせながら。
こうした性根が腐った人間が時間を与えられただけで変われるわけもなかった。充実した休校期間もやがて泥沼と化し、寝ては遊びを繰り返す日々。
受験生だというのに何をしているのだとゲシュタルト崩壊を起こしすこしだけやる気になり出した1ヶ月前。
もがいても罪悪感が誘惑に勝ることは少なかった。
気づけば誰もが受験生モード。
おいおいお前ら、つい数ヶ月前まで俺の前で遊び呆けてただろうが。自分が置いていかれたと気づくには余りにも遅すぎた。
そして今日に至るわけだ。
今日も休み。誰とも会わない。
さすがに恋人が恋しくなる心境である。全くあえていない。例年であれば君とどこか出掛けていただろうか。
勝手に感傷的になる自分を引きずり楽器を取りだす。バリトンサックス。どうやら俺はこの楽器を最後まで吹きこなせそうにない。せめてあの宝島のソロぐらい吹いて終わりたいと練習してみるも、
やはり連符で指が追いつかない、
高音が綺麗に鳴らない、
息が続かない、口が痛い。
大きなため息をこぼすと、次の瞬間
携帯が震える。
[みんなが部活について思ってること聞きたい]
部長から吹部3年へのひとこと。
ああそうか、引退とかも考えないとなと今更のように思う。コンクールも文化祭も中止され、目的が半ば喪失状態のこの部活に自分らがこれからいかにして関わっていくのか。早速部員の2、3人が想いを綴り始める。まあ当たり前だがどれも真剣だ。手遅れになる前に自分も取り掛かる。思ってもないことを
ダラダラと言葉にしていく。躊躇いもなく送信完了する。
ああ
どこにも光が見えない
自ら作り出したこの状況を
いつか永遠に憎むことになるのだろうか。
___失われた「青い」春はもう帰ってこない。
初投稿になります。
よくこうして自分の言葉を綴るので思い切って世に出してみようと思った次第です。
稚拙な文が散見されると思いますが、
どうかご容赦を。ほとんど自己満足です笑
それでもここまで目に通してくれて
ありがとうございました。




