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95 「ウォッキニ 幸せへの内なる旅」

 

 こんにちは。

 本日ご紹介する作品はこちら。


 〇「ウォッキニ 幸せへの内なる旅」

 ニコラス・スパークス・著 ビリー・ミルズ・著 / 加藤諦三・訳 / 大和書房(2005)


   前回に引き続き、ちょっと古めの本でして、ご紹介しようかすまいか少し考えていたのですけれども、読めば読むほど「これはお勧めしなくては」と考えさせられてしまったので。

 こちらは自分が勤めている学校図書館の蔵書だったものなのですが、あまりに良くて購入いたしました。中古の本しかもう残っていなかったのですが……。

 というわけで、よろしかったらお付き合いくださいませ。


 まず先に著者について。

 日本語訳のこの本では著者はニコラス・スパークス氏の名前を最初に書いているのですが、内容を読むと、どうもビリー・ミルズ氏がこちらの物語の主たる作者であるように思われます。原語のおくづけの方では明らかに著者が「Billy Mills」のみとなっているからです。

 ただ冒頭の謝辞のところに「ニックとキャシーへ」とあり、そこに「わが共著者と妻」とあるので、共著は共著であるようです。


 さて、肝心の内容を少しだけご紹介しておきましょう。

 冒頭に「ウォッキニ」とはラコタ語で「新しい人生、幸せの人生」という意味だという説明があります。

 こちらの本は、自分の人生を幸せなものにしたいと願うすべての人に向けて書かれたものです。寓話の形式になっていて、その物語の主人公はデーヴィッドという名のネイティブ・アメリカンの少年。14歳です。


 デーヴィッドは3年前に母を、そしてつい最近、大好きだった姉を亡くして、悲しみと憂鬱に打ちひしがれていました。

 父親のアーテイはそんな息子に、ふだんは開くことを禁じられているムニフハを渡して、そこに描かれている7つの絵を理解するための旅にでるようにと言います。その旅をすることで、人生を幸せなものにする手がかりが得られる、というのです。


 そうしてデーヴィッドは出掛けることを決意し、旅の果てに賢者に行き会って、絵を理解するための教えを受け始める……という流れです。


 いやもうね、本当にわかりやすい! シンプルであるにも関わらず、非常に力強い説得力があり、それでいて押しつけがましくなく、「どうしたら人は幸せでいられるのか」という命題を読者も次第に理解していけるように構成されているのです。


 最初の絵は「イクトゥミ」と呼ばれるクモ(昆虫のほうです)の絵。それはペテン師と呼ばれるクモで、人に偽りを吹き込むと言われています。

 どんな偽りかというと、「もしも……なら、私は幸せになれるのに」という偽り。「……」のところに入るのは、普通の人間なら往々にして求めてしまう「幸せになるための条件」みたいなもの。たとえばお金。例えば名声……といったふうに、それはクモの足の数と同じ、8つの嘘なのです。

 賢者はそれらが、なぜ「うそ」だと言えるのかを簡単に、しかし的確に少年に教え諭していきます。


 この冒頭だけでも、本当に価値がある!

 そして、できることならデーヴィッドと同じぐらいの年齢である中学生のみなさんには、この部分だけでも読んでみてほしいと切に願うほどの内容でした。とにかく、いろんな人生の嘘やまやかしにだまされないで、みんな本当の幸せをつかんでほしいと思います。


 もちろん、お話はここからさらに続きます。

 ひとつひとつは、ゆっくりと時間をかけて理解を深めていく必要があり、大人ですが私個人も非常に勉強になったなあと思い、手元に置きたいと思ったわけです。

 ネイティブ・アメリカンの自然信仰に裏打ちされた内容ですが、いわゆる宗教色のようなものは強くないですし、読みやすいのではないかと思います。言ってみれば日本人の八百万の神のようなイメージですから、日本人の感覚に近いものがあるのでしょう。


 もしもお勤めの学校図書館にあるようでしたら、生徒さんたちにお勧めされてはいかがかなと思いました。

 そういえば、同じネイティブ・アメリカンの素晴らしい本として「今日は死ぬのにもってこいの日」もありますね。こちらの本に関連して、そちらもお勧めできそうだなと思いました。


 ではでは、今回はこのあたりで!


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