94 「ドラゴンライダー」シリーズ
こんにちは。
本日ご紹介する作品はこちら。
〇「ドラゴンライダー」シリーズ
「エラゴン 遺志を継ぐ者」
クリストファー・パオリーニ・著 / 大蔦双恵・訳 / ヴィレッジブックス(2006)
ちなみに、こちらの作品は日本では当初ソニー・マガジンズから出版され、後にヴィレッジブックスからも出版されたあと、豪華ハードカバー版として静山社からも出版されています。私の勤める学校図書館には、ヴィレッジブックス版と静山社版が置かれておりました。
前回ご紹介した作品と同様にシリーズものなのですが、こちらはすでに完結しております。
あとがき等から作者の来歴を読みますと、著者であるパオリーニ氏は1983年生まれ。現在は40歳になられるわけですが、なんとこの作品の最初の話である「エラゴン 遺志を継ぐ者」を著したのは15歳の時だったとのこと。
15歳! わずか15歳にしてこんな物語が書けることがまず驚きです。幼いころからトールキンの「指輪物語」をはじめとするファンタジー作品に親しんできたのだそうで、そう言われるとたしかに「なるほど」と思わせるような世界観。
最初のうちは自費出版で細々と売られていたものの、図書館や書店の口コミでじわじわと評判が集まり、2003年に大手出版社から出版されると大人気に。そこからまたたくまに百万部を売り上げる世界的なベストセラーに駆け上がっていったというのですから、さらにびっくりです。
弱冠19歳にして、「ベストセラー作家」としてあのニューヨーク・タイムズ紙にも載ったのだとか。
その後、続編となる「エルデスト 宿命の赤き翼」「ブリジンガー 炎に誓う絆」そして完結巻となる「インヘリタンス 果てなき旅」さらに外伝「アラゲイジアの物語」と続いています。
ではあらためまして、「エラゴン 遺志を継ぐ者」の冒頭を少しだけご紹介。
15歳の少年エラゴンは、叔父の家族とともに山奥の田舎の村に暮らしていました。彼には両親がいないのです。
ある日、山で狩りをしていたところ、直径30センチはあろうかという不思議な青い石をみつけます。その石になにか不思議な力を感じたエラゴンは、それをこっそりと家に持ち帰るのでした。
ところがこれがただの石ではなく……???
そしてその石をめぐって、なんと彼が世話になっている家の叔父さんが敵に襲われて命を落とし……。失意と悲しみに打ちひしがれるエラゴンでしたが、その敵への復讐を心に誓い、旅に出ます。
ああ、これはダメですね。
これ以上語るとそのままどんどんネタバレになってしまいそうです。
でもタイトルからして「ドラゴンライダー」なわけですし!
やがてエラゴンは謎多き語り部の老人ブロムの導きを得てともに旅をし、大陸の隠された過去や自分のルーツの秘密について少しずつ理解し始めるのでした……。
まずなんといっても15歳の人が書く、15歳の少年の物語ですのでね。筆致は大変生き生きしています。若い人には好まれる書き方ではないかなと思います。読み手を飽きさせない嘘のない筆致に好感が持てます。
中高生に勧めるときには、ぜひ「当時、この作者が15歳だったこと」を伝えてみてはいかがでしょうか。興味を持ってもらえるのではないかなと思います。
もちろん15歳からかけ離れた年齢である私も、ハラハラドキドキ、心から主人公エラゴンを応援しながらページをめくる手が止まらない、非常に魅力的な物語だったと思います。
ぜひ学校図書館の主たる利用者である生徒さんたちにもお勧めしてあげてほしいなと思いました。
ではでは、今回はこのあたりで!