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90 「ザ・ロープメイカー 伝説を継ぐ者」

 

 はいこんにちは。

 今回ご紹介するのはこちら。


 ピーター・ディッキンソン氏といえば、私にとってはあの「第九軍団のワシ」にはじまるローマン・ブリテン・シリーズを著したローズマリ・サトクリフ氏が「尊敬する作家」として名前を挙げていたことで何より印象に残っている作家さん。

 お生まれは1927年、アフリカのローデシア(現在のザンビア)とのことですが、そこにいたのは7歳までで、両親・兄弟とともにイギリスに戻ってきて、教育はイギリスで受けたとのこと。


 大人むけのミステリーや児童書など50作品以上を著したそうですが、日本語に訳されているものは十数作品のみ。すでに国内で販売されているものも限られている中ではあるのですが、児童書としても名作が多いため各学校図書館に所蔵されているものもあろうかと思い、こちらに少しだけご紹介してみようかと思いました。よろしかったらお付き合いくださいませ。


 今回は、出版年が逆になっておりますが、これは私が読んだ順番によるものです。気になる方はぜひ「血族の物語」のほうからどうぞ~。


 〇「ザ・ロープメイカー 伝説を継ぐ者」(原題:THE ROPEMAKER)

 ピーター・ディッキンソン・著 / 三辺(さんべ)律子・訳 / ポプラ社(2006)


 舞台は架空の昔の国。

 そこには魔法が存在しており、主人公ティルヤたちは北の蛮族の侵入や南の帝国からの圧制から、森の不思議な魔法によって長年守られてきたという人々。

 その森は男子が足を踏み入れるとたちまち精神に異常をきたしてしまうという、不思議な森でした。

 ティルヤの先祖の女性たちは、代々その森のヒマラヤスギの声を聞き、それに歌を聞かせるという仕事を担ってきたのですが、なんとティルヤには森の声がまったく聞こえません。それで、能力のある妹アンヤが彼女の家や農場を継ぐことがほぼ決まっているのでした。

 自分の無力さに寂しさを覚えるティルヤ。

 でも、次第に森の魔法が不安定になってきて、村の人々は不安に駆られます。やがてティルヤとその祖母アンナ、親族である老人アルノーとその孫の少年タールの4名で、何百年も前に森に魔法をかけたという伝説の魔法使いファヒールをさがすはるか遠い旅に出るのでした……。


 いやもう、分厚い本なのですが本当に面白くて、ページをめくる手が止まりません。小学生には少しつらいかな……と思わなくもないのですが、この没入感はぜひ、若い人たちが若いうちに経験してほしいなと思う、そんな作品でした。

 あ、そうそう。

 ディッキンソン氏ご本人によると、この物語は妻でありファンタジー作家でもあるロビン・マッキンリィが何かで悩みごとを抱えていて、「これを忘れていたいから何か物語を話してほしい」とお願いされたことで生まれた作品なのだそうで。

「森にはなにかがいて、だから男は入れない。じゃあそのなにかはどうしてそこにいるのか? なぜ? それはどうしてそうなった?」という風につぎつぎに考えていったらこの物語ができた……のだそうです。いやすごい。

 実際、最初のほうにでてきた内容がしっかり伏線になっている部分も多くて、構成の妙に唸らされます。ぜひどうぞ!


 そしてすみません、本当はもう一作ご紹介したかったのですが、同じディッキンソン氏の作品で「血族の物語」についてのご紹介は、長くなりましたので次回に譲りますね。

 ではでは。


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