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82 「魔女の宅急便」シリーズ

 

 こんにちは。

 みなさん新年度はいかがでしょうか。

 ようやく4月が終わってゴールデンウイークまでたどり着きましたね~。

 学校司書のみなさんも、図書館オリエンテーションそのほかで、きっとバタバタの一か月だったこととお察しいたします。

 とうとうまた、新たな年度が始まりましたね。


 さてさて。

 今回ご紹介する本はこちら。


 ●「魔女の宅急便」シリーズ

 角野栄子・著 / 福音館書店(1985)


 これもまた、言わずと知れた名作ですね。

 なにより、あのスタジオジブリが長編アニメーション映画にしたことで、知らない人はない作品ではないでしょうか。

 それで作品がわかった気になってしまって、つい原作には手が出ない……なんてこともよくあるような気が。

 というのも御多分に漏れず、私もそういう視聴者のひとりだったからです(苦笑)。


 けれども「指輪物語」しかり「ハリー・ポッター」しかりで、映像化された作品だけでその作品世界全体を味わえるわけでない、というのは本読みのみなさんならきっと肌で感じて知っておられる事実ですよね。

 私も個人的に、長いこと「『魔女の宅急便』はアニメで観たし……」と、原作本に手をのばさなかった人のひとりでした。


 いやいや、しかし。

 こちらの本をきちんと読んだ読者さまはやっぱり「原作をちゃんと読んでほしい」とおっしゃる方が多いのですよね。

 先日、同様のご意見をSNSでちらっと拝見してから、私も一念発起しまして、学校図書館ならほとんどのところが所蔵しているであろう今作品をついに手にとったような次第です、お恥ずかしや……。


「魔女の宅急便」シリーズは1985年に出版された最初のお話から、第2巻「キキと新しい魔法」、第3巻「キキともう一人の魔女」、第4巻「キキの恋」、第5巻「魔法のとまり木」、そして最終巻「それぞれの旅立ち」の全6巻。

 このほかに、外伝としてあと二作品が出ているようですが、こちらについては未読のためここでは言及いたしません。


「天山の巫女ソニン」のときにも同様のことを感じたのですが、こちらも非常に平易かつ丁寧な「です・ます」調の地の文で表現されています。それでいて、テーマは奥深いのです。

 コリコの街でキキと出会う少年、トンボがいますが、原作ではずっと、キキ自身も地の文の中でも「とんぼさん」と必ず「さん」が付いているのが印象的でした。


 アニメ「魔女の宅急便」をすでに何度も観てしまった身としてはついつい比べてしまうのですが、冒頭の部分はほぼ同じだと思ってさしつかえないです。

 十歳で魔女になろうと決心した少女・キキは十三歳になったとき、魔女の母と一般人の父のもとから旅立って、遠くの街で独り暮らしの修行をはじめます。そこでは魔女は、自分なりにできる仕事をみつけて1年間、たったひとりで──とはいえ、相棒の黒ネコは必ずつきものなのですが──暮らさなくてはなりません。

 ほうきで飛ぶこと以外の魔法が使えないキキは、その特技(?)を生かしてコリコの街で宅急便屋さんをすることに……という、このへんの流れは本当にそのままアニメも同じでしたよね。


 ただ、原作ではまるで短編小説のように、それぞれのお客さんや事件が1話ごとに紹介されていて、ある部分ではほっこり、ある部分ではちょっと不愉快になったり、じんわりと感動したり、大変な状況にはらはらしたり。

 いろんな困りごとがあって、ついくよくよと考えてしまいやすいキキですが、最終的には持ち前の勇気や明るさとアイデアで乗り切っていきます。


 この物語のテーマはいろいろあると思うのですが、なによりもまず、思春期にさしかかった若い少年少女たちの悩みや葛藤、そして成長であり、作者さまは同じように思い悩み、成長しようともがく読者のみなさんをそっと応援しているような気がしました。

 これを読んでいると、同じようなことで悩み、うつむく場面のキキを応援したい気持ちになると同時に、自分の背中をそっと押されたような気持ちになる。特に、同じように悩みを抱える若い人たちにとって、この本はそういう作品ではないかと思います。作者さまはこうしたことのためにこれをお書きになったんじゃないのかな……と。

 だからこそ、若い人たちに紹介してみたい、またするべき作品だともいえるわけですね。


 サブタイトルをご覧になれば明らかなように、この物語には恋の部分も多いです。

 キキの恋がどんな風にすすみ、どんな紆余曲折を経て最後にどうなるのか……は、読んだかたにだけ与えられるお楽しみ! ですね。

 アニメでは、相棒の黒猫ジジがキキと話ができなくなってしまうシーンがありましたが、そちらもどうなるのか……? これもまた、お楽しみです!


 あまり語るとまたネタバレになってしまいそうで怖いので、今回はこのあたりまでといたしましょう。

 ではでは!


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