55 司書としての職分
こんにちは。
いまは絶賛夏休みということですが、変わらず学校に出勤している司書さんがおられる一方で、私は基本的にずっとお休み状態です。なぜなら、こちら地域では学校司書の年間の出勤日数の上限が決まっているから。
夏休みまでいつも通りにしっかり出勤していたら、三学期にほとんど出勤できなくなるか、またはほとんどボランティアで(!?)働かなくてはならなくなってしまうのです……。
そのため、「どうしてもこの日はいないと」と思われる日のみ出勤。
ということで、今年は兼任の二校に、それぞれ一日ずつしか出勤しません。
そうこうしている間に、一学期のあいだに決まった図書館キャラクターの絵をデジタル起こししてみようかなと画策中です。家でやらざるを得ないのは、学校のお絵かきソフトでは描けないため。いやほんとは学校でやりたいんですけどね……給料だって出るし(苦笑)。
さてさて。
今回は、SNSにおられる司書さんたちのつぶやきから、ちょっと疑問に感じたことを。
私自身は中学校勤務なのであんまり経験したことがないのですが、小学校だと、低学年と高学年でかなり読むものに違いがありますよね。
低学年だと絵本や文字の大きい読みやすい本、また図鑑などが中心ではないかと思います。高学年になってやっと読みこなせるようになる字の多い本は、(一部のお子さんを除いて)なかなか手にとらないのではないでしょうか。
でも、中には映画化されて話題になったお話を実際に読んでみたくて、文字だらけの分厚い本を敢えて手にとり、借りたいというお子さんがいらっしゃるとのこと。
うん、そういうことはきっとあると思う。お子さんの気持ちはわかります。中学校でも、映画化された作品に興味をひかれて、普段は借りないようなタイプの本を借りていく子は多いですし。
でも、その子の年齢と様子から「明らかにその本は今はまだ読みこなせないだろう」と思われる時、司書としてはどうするか。
私としては、そこは「別に何も言わないで貸してしまう」一択です。R指定のある本だと話は違ってきますが、学校図書館にそんな本は置かれていないでしょうし。
ですが、実際そうは考えない司書さんも多いご様子。先にやってきた小さな子に借りられてしまうと、あとでやってきた高学年の子に回らなくなるなど、事情はさまざまにあるようです。
うーん。
でも、どうなんでしょうか。
司書は司書であって、学校の先生とは違います。生徒たちは、あくまでも学校図書館を利用する利用者さんなわけで、司書はそれをサポートするのが仕事。つまり職分。
その子が実際に中身を読んでみる前から先回りして「あなたにはまだ早い」等々言い、その子からその本を取り上げる……というのは、いかがなものかと思うのです。
司書自身が勝手な判断をし、口を出して利用者が本を選ぶ自由を制限する、そんなことが本当に許されるものなのでしょうか?? それこそ司書の職分として。
もしも、「小さな子たちが先に借りてしまって高学年の児童が困る」というのであれば、事前にそのことを担当教諭とも話しあい、図書館の中にその旨を明示したサインなどをつくって掲示しておくなど、できることは色々あります。つまり「先手をうってルール化しておく」ということです。
最初から「この本は〇年生になってから借りてね」などとしておけば、小さな児童生徒にも不満が出にくいですし、ある程度の平等性が保たれるでしょう。
そうしたことをしていないのに、「これ借りたい」と思った児童の読みたい気持ちにこちらから蓋をしてしまう……というのは、私自身はどうにも腑に落ちませんでした。
結果的にその子がその本を読んでみて「ああ、難しくてやっぱり読めなかった」と思うとしても、それはそれでまた人生経験のひとつであり、学びのチャンスなのではないかとも思います。
「今回はまだ読めなかった、でももっと勉強して賢くなったらぜひ読もう」と思えるかもしれません。それを先に勝手にこちらで阻害するのはどうなのだろう……と、どうしても考えてしまうわけです。
さまざまなお考えの司書さんがおられるとは思うので、なにもこの考え方をゴリ押しするつもりなどは毛頭ないのですが、「事前のサイン」は参考になるのでは……と思い、ちょっと書かせていただきました。
ついでにもうひとつ。
司書としての職分といいますと、もうひとつ最近気になっていることがあります。それは、図書館担当の先生との職分の取り決めです。
本来、司書は図書館の運営が仕事であって、直接生徒にかかわることについては先生のご担当ということになっています。最たるものが委員会活動。
図書委員会の仕事は、司書ももちろん関わることが多いとはいえ、基本的には担当の先生の分掌です。
ところが、先生によってはお忙しさのためもあってか、ついつい司書に「あれやっといてくれませんか」「これもやっといてください」のように、次第に仕事をこちらへ投げる……みたいな方も出てきます、残念ながら(苦笑)。
司書がわがあんまり遠慮していると、どんどん甘えてこられ、こちらが本来すべきでないことまで振ってこられることも……。というわけで、最近私も少し困っておりました。
どこかでしっかり線引きし、キツくならないように気をつけつつ、しっかりお伝えせねばなあと思案しているところです。なかなか難しいことですが、これはやっぱりお互いの職分の線引きなので。
各地の司書のみなさんにも、似たようなお困りごとがあるのではないかと思います。先生によって、逆にやたらと口出しされたり、選書をさせてもらえなかったり……というお悩みも聞いたことがあります。
担当の先生といかにうまくコミュニケートしていくかも司書にとっての大きな課題のひとつですね。
お互い、いろいろございますが、ぼちぼち頑張っていきましょう~(ちょっと溜め息)。