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53 特別支援学級とのかかわり


 続けて失礼いたします。

 学校司書として働き始めてようやく六年目となりましたが、学校図書館で働いていく中で、特別支援学級との関わりが意外に多いことに気がつきます。

 中学校での通常学級は忙しくて、なかなか図書館に来て授業をする機会は多くないのですが、昨年度まで勤めていた学校でも、特に国語の時間など、担任の先生が特別支援級の生徒たちをつれて図書館へ来る機会がかなりの時数でありました。


 読み聞かせに関してもそうです。

 残念なことに、通常学級ではこれまで取り入れられていた「朝の読書タイム」が削られてしまうなどして、なかなか読み聞かせに入るタイミングがない学校も少なくありません。ですが、特別支援学級には、こちらからお声を掛けると、先生から「ぜひお願いします」とお返事いただくことが多かったのです。


 生徒たちは図書館にきて本の読み聞かせを聞いたり、自分で本を読んだり、読んだ本の感想を書いたり、本を借りたり返したりという活動をして戻っていきます。

 通常学級よりずっと少ない人数なので、必然的に司書である私との交流が増え、仲良くなることが多かったです。どれもよい思い出です。

 読み聞かせについては、通常学級でもそうなのですが、私は絵本を基本にしています。先生によると、普段の授業ではなかなか落ち着きがなく、集中しにくいお子さんでも、読み聞かせは比較的落ち着いて集中して聞けるようです。ありがたいことです。これはもう本当に、本の力、作品の力ですね。


 今年からまた兼任で、新たに別の二校に配属されたわけですが、やはりどちらの学校でも特別支援学級とのかかわりは通常級よりも多くなっています。

 特別支援級の先生方のお悩みとして、「時間が余りすぎる」「なにをさせておけばいいかわからない」というものがあるようです。そのため、図書館に来て好きな本を読んだり、その本について作文をしたり、司書の作業をちょっとお手伝いしたりという活動も、学習の一環として捉えられているようです。

 作業については私個人はただひたすら助かるだけなのですが、生徒たちもこれから先、社会に出て働かなくてはならないということで、そのためのちょっとした事前練習にもなるということのようです。


 もちろん、そんなにややこしい作業はお願いできないですが、これまでですと除籍した本に除籍印を捺す、それを段ボール箱に詰めるなどの作業や、その箱を運ぶ作業、書架の整理などなど、色々とお手伝いをしてもらってきました(もちろん毎回ではありません)。

 特に体力的な不安もあって、重いものを運んでもらえると本当に助かるので、私としてはいつも心からお礼を言います。本当に心から、笑顔でお礼を言うようにしています。それが本人たちにとっても嬉しく、励みになっているといいなという思いです。

 先生からも、「普段、人から感謝されたり頼りにされたりする経験の少ない子たちなので、きっと嬉しいんやと思います」とのお言葉を頂戴しました。


 もちろん、特別支援学級での教育のありかたについては様々な問題があろうかと思います。親御さんの思いや願いに対して十分に応えられているかといったことも、先生方の悩みの種ではないかと思います。

 ですが、図書館でのこうした活動が、少しでもかれらにとって何らかの励みになり、将来のための役に立ってくれていたら嬉しいなと思います。


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