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52 館内備品あれこれ


 こんにちは。

 今回はちょっと続けての更新となります。よろしかったらお付き合いくださいませ。


 今年から私が二校兼務になったことはすでにお話ししたかと思いますが、一校はすでに五年間司書がいた学校、そしてもう一校は完全に初めて司書が着任した学校でした。

 すでに司書がいた学校については、前任の司書さんが五年分しっかりやってくださっていたので、基本的な館内デザインについては触る必要がない……かなと思っていたのですが。

 実は案外そうでもなかった。

 五年あったわりに、除籍すべき古い本がまだかなり残っている状態な上、ブックエンドがどうやら百均で購入したものらしく、本の重さで斜めに歪んでしまっている。本自体もコーティングフィルムのかかっていない本が大量にある。

 図書原簿の紙ベースのものがきちんとファイリングされておらず、ぐちゃぐちゃに抽斗(ひきだし)に突っ込まれている……などなど、色々と問題点が(デジタルデータのほうは穴だらけ・順番もおかしいなどがありつつもなんとか揃っていましたが)。

 これにはさっそく頭を抱えました。


 そちらの話はまあ今回は()くとしまして、あらためまして、初めて司書が着任した方の学校のお話です。

 最初、四月に初めてうかがったとき、担当の先生から「驚く準備をしておいてくださいねっ」と冗談半分に言われて図書館に赴きました。

 ですが思っていた以上に広く、綺麗な図書館に見えました。先生方がかなり頑張ってくださっていたようです。


 とはいえ、椅子や机、本棚、カウンターなどの備品は非常に古く、割れたり壊れたり歪んだりしているものも多くて、少しずつでも買い替えを検討せねばならない感じでした。

 実はこちらの学校では、複数の学校を担当している「管理員チーム」というのがあります。

 普通、学校には一校に一人の管理員さんがおられて学校全体を管理してくださっているものだと思うのですが、こちらは複数の管理員さんがチームをつくり、いくつかの学校を順ぐりに回って作業してくださる形。

 ということで、そのチームのみなさんが来ている日に色々と相談しました。


 こちらの地域の中学校は、上履きのない土足の学校が多いのですが、図書館は土足のところ、靴を脱いで入るところ、いろいろあります。

 今回の学校は土足でそのまま入る形式だったのですが、管理員のリーダーさんが「カーペット敷にしたらもっと明るく、使いやすくなるんとちゃいますか」と。確かに、土足だと本棚の下のほうにある本がどうしても砂埃で汚れやすくて困るのですよね。早速、その見積もりを取っていただくことに。

 管理員さんたちには、その他にもカウンターの中に棚を設置していただいたり、新たに掲示板を設置していただいたりと、様々に動いていただいております。


 閲覧机と椅子についても、この数か月で色々なことがありました。

 まず、閲覧机。

 六人掛けの大きくて重い机ですが、表面が割れて大きく()げてしまっていたり、角も削れて丸くなってしまったりしているものばかりで、いかにも見栄えがよくありませんでした。

 ですが、備品は一気に揃えようとするとどうしても高額になります。どうしようかと考えているとき、ちょうど同じ市内の小学校で、比較的新しい閲覧机を「リサイクルします、希望の学校はご連絡ください」という回覧が回ってきたのです。

 そのまま新品を買えば何十万も掛かるところ、これなら運搬費用だけで済みます(それでも十万ぐらいはかかるそうですが)。思わず「これだ!」と飛びつき、すぐに教頭先生にお話ししました。


 机は、基本的な規格はもとあったのと同じものです。ですが、サイズをよくよく調べてみますと、実際は小学校向けのため中学校のものより五センチほど低く、そのまま使うのは難しそうでした。小学生の体格と、中学生の大きな体格の子とではだいぶ違うからです。

「ああ、これでは無理かしら」と残念な気持ちになっていましたら、教頭先生が「いえいえ。それなら、管理員チームに相談して、足のところを継ぎ足してもらったらどうでしょう」と。

 そして「とにかく、この机はうちで押さえましょう。その小学校に連絡を入れておきます」と。


 その後、教頭先生からお話を通してくださって管理員チームにまたお会いすると、今度は

「高さは違いますが天板の規格とサイズはまったく同じなので、それなら天板のほうを取り替えるのはどうでしょう」というアイデアが。

 こうして、みなさんの色々なプロとしてのアイデアに支えられ、この夏、その作業に取り掛かっていただけることになりました。今から、図書館にきれいな机が入るのが楽しみです。


 次に閲覧用の椅子です。

 こちらも、折り畳みでこそないですがかなり古くなったもので、脚は斜めにかしいでいるし、張られたビニールもあちこちが破れているしで、かなりかわいそうな感じでした。

 こちらの市内では、学校に必要備品を各学校でまとめて一斉購入できる期間というのがあります。事務さんと相談して、そちらに申し込むことに。学校の要望をまとめて市が一括で発注することで、業者から比較的安く購入できるとのことです。

 この椅子に関しては、以前勤めていた学校とまったく同じ仕様のものとわかっていたので、あまり悩むことなく決めることができました(ちなみに机も同じ仕様です)。


 予算の関係で、床のカーペット敷については来年に持ち越しになってしまいましたが、それでも一年目でこれだけのことができそうで今から楽しみです。

 事務のかた、教頭先生、管理員チームのみなさんが一丸となって協力くださり、相談に乗ってくださった結果であり、まことに感謝しかありません。


 学校司書はひとり職とよく言われ、SNSでは各地の司書さんが「孤独感を覚えながら仕事をしている」といったお言葉を洩らしているのも、しばしば拝見するところです。

 けれども、こちらから積極的に関わって、普段から他愛のないお話しもし、何かの際にはすぐに相談できるような、お話ししやすい人間関係の下地を作っておくことも大事なのかな……と思ったり。

 ひとりで働いているのではなく、やっぱり学校のため、ひいては生徒たちのため、そこに働く先生方、その他の職員のかたも、ともに働く仲間ではないかなと思います。

 私もまだまだ勉強中の身ではありますが、日々奮闘されている各地の学校司書さんたちの、なにかのご参考になりましたら幸いです。


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