47 「砂糖の世界史」
※2021年12月24日に追記をしました。
こんにちは。
今回もまた本の紹介となっています。
物語を紹介することが多いので、今回はちょっと毛色の違うものを。
○「砂糖の世界史」
川北 稔・著 / 岩波書店(1996年) 岩波ジュニア文庫
実はこちらも、今年改訂された中学校の国語教科書で紹介されている本です。光村図書、中学3年生国語。
タイトルに「世界史」とあるので2類なのかと思いきや、分類は「588」。
つまり5類「技術・工学」の中でも「製造工業」というところの分類になります。
砂糖は、人間であれば基本的にだれでもが好むものであり(もちろん例外はありますが)、そのために「世界商品」と呼ばれる重要な商品となりました。そうしてヨーロッパの国々が豊かになるために、海外の植民地で大々的なプランテーション農業がおこなわれ、大量生産をしたことで、どんどん世界に広がっていきました。
この本ではその流れとともに、プランテーションを支えるために欠かせなかった奴隷たちの強制労働の歴史をひもといています。
「世界商品」と呼ばれるものにはこのほかにも、お茶やコーヒー、綿織物などといったものがあり、やはりそれぞれに奴隷制が関係しているということ。
働き盛りの男たちが大量に強制的に奴隷として捕われ、売られていってしまったために、搾取された国々はその爪痕からいまだに立ち直れず、多くの場合に「発展途上国」と呼ばれる状態に甘んじなくてはならなくなっていること……。
砂糖という身近な食品から歴史を眺めてみるだけで、現在も連綿と続く歴史の負の影響の一端を知ることができます。
ふだん何の気なしに口にしている甘いお菓子やお茶の歴史の裏には、こんな悲劇が隠されていた。こうしたこと知ることは、とりわけ中学生など、これからを生きる若い人にとっては重要ではないかと、あらためて考えさせられる本でした。
ぜひ、うちの学校の生徒たちにも強めにお勧めしていきたい本です。
もし未読のかたがおられましたら、機会があればまたお手に取ってみられてはいかがかなと思いました。
ではでは、短いですが今回はこのあたりで!
【ここから追記】
こちらの話を更新したあと、石燈 梓(Azurite)さまより「同系統ならこんな本も」とお勧め本のお知らせがありましたので、追記しておきます!
『人とミルクの1万年』平田正弘(岩波ジュニア新書)
『ジャガイモのきた道』山本紀夫(岩波新書)
『珈琲の世界史』旦部幸博(講談社現代新書)
『コーヒーの科学』旦部幸博(講談社ブルーバックス)
『チョコレートの世界史』武田尚子(中公新書)
どれもすんごく面白そう!
うちの図書館にもぜひ入れてあげたいラインナップでした~!
石燈さま、わざわざありがとうございました♪