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15 選書


 さて、選書です。

 実は、一般的な公共図書館さんではどのような選書をされているのかを存じ上げないのですが(っていうか教えて詳しいひと!・笑)今回は学校図書館としての取り組みを。


 まず、学校図書館と公共図書館の大きな違いというと、なんといっても利用者層だろうと思う。利用目的として学校の勉強、つまり学習指導要領に即した内容の資料がそれなりに揃っていることが大前提。

 これは除籍の項で詳しく述べたいと思っているけれども、基本的に教科書に書いてあるのと違うことが書いてあるような資料は、あまり置いておくべきではなかったりする(それも場合によりけりだけれども)。例えば、世界地図にまだソビエト連邦が載っているとか、太陽系の惑星がまだ9個の記述があるとかだ。


 さて、公共図書館でも同じだと思うけれども、学校図書館にも当然、予算というものがある。これはそれぞれの学校のクラス数や蔵書数に応じて毎年変わっていくものだ。当然、多い年もあれば少ない年もある。蔵書数にも「最低限これだけの数は満たそう」という基準があって、クラス数で算出する式も存在している。

 この「図書費」とよばれる予算を使って、司書は毎年の本や雑誌等の購入計画を立てていくことになる。


 参考にするのは、まず昨年度の蔵書点検のデータ。

 蔵書の種類についても、それぞれの類ごとにおおよそどれぐらいのパーセンテージで資料があるのが望ましいかという一応の指標がある。

 ちなみに多くの学校図書館では、あまりにも9類、つまり小説や物語やノンフィクションなどの読み物が多すぎるのだ。理想は20~25パーセント程度なのだけれども、60パーセントを越えている学校なんてざらである。ひどければ8割近いというような場合もあるようだ。

 逆に4類、つまり数学や科学に関する本などが極端に少ない学校は多い。そのほか、技術家庭科に関する本、職業しらべに関する本など、学校によって「ここは薄いぞ」と思われる分野はさまざまだろうと思う。

 ということで、それらを鑑みて「大体今年はこの類の本を多くするぞ」等々と、年度はじめに一応は考えるわけである。

 もちろん、生徒や先生方からのリクエストにもお応えする。


 まず、選書で最も大切なのは、いかにして本の情報を集めるのかということだろう。世の中には大量の本が存在している。その中には、こう言ってはなんだけれども、さすがに学校の図書館に置いておくには困るようなものだって存在する。

 時々本屋や公共図書館に出かけて行ったり、ネットで様々な本の情報を探してみたりすることは重要だ。直木賞や芥川賞などの受賞作はもちろん、ノミネートされたものも選書の対象になる。

 うちの場合、本の購入では基本的にTRC(図書館流通センター)に注文する形になっているが、必要とあらば町の本屋さんから購入することもあるし、絶版になってすぐには手に入らない本の場合は私自身が古本屋さんから安い値段で購入して寄贈……なんてこともたまにはある。ええ、たまにね!(笑)

 公共図書館から学校に、年に一度ほど処分する本の譲渡案内が来たりもするので、必要な場合は出向いてその場で選書し、寄贈してもらうこともできる。


 さて、TRCに限らないけれども、特に年度はじめには様々な出版社から大量の学校向けの本のカタログが送られてくる。まずはそれらを見て購入計画を立てていく。もともと学校向けに作成されたカタログなので、学校が購入するとまずい本が入っていないのはありがたい。

 TRCは時々ブックフェアをおこなっていて、そこでは仕事に役立つセミナーが開かれたりもしており、実際に本を手に取って選ぶこともできる。これは毎年、とても役に立っている。


 ところで学校の司書は、本来であれば学校で教えられている学習カリキュラムについて十分に精通しているのが望ましいそうである。まあ、私なんてまだまだとても無理なのだけれども。

 とりあえず教科書には目を通し、一年の学習予定の表を見て「今、このあたりの勉強をしているな」と思ったらそのあたりの本をいくつか先生のところに持って行って、付箋つきで机に置いてくる、なんてこともやっているが、まあそんな程度である。

 そんなわけで、本当に学習に役立つ本というのがどういうものか、まだまだ経験不足のため、どうもいまひとつ自信がない。そこで、今年はほかの学校の司書さんがやっている方法をためしてみることにした。


 まず、分厚い本のカタログを教科ごとにカッターで切り分ける。よくあるマンガ雑誌と同じ無線綴じなので、これが意外と簡単にできる。それに付箋で教科別に先生方の名前をつけて、回覧していただくのである。

 付箋のメッセージは「必要そうな本、欲しい本があったら印をいれて、ページをドッグイヤーしておいてくださいね☆」みたいな感じだ。ちなみにドッグイヤーとは、ページの端を折っておくことである。

 それで戻って来て、チェックされていた本を、まず優先的に注文書に書いていくようにする。

 そうすると、事前に私が見ていてチェックしなかったものに印が入っていたりして、「へ~、こんな本が必要なんだ!」と思うことしばしばである。


 実は、今年は特に、秋に消費税が上がるというので、なるべく早く注文し終えてしまいたかった。そのため例年よりもかなり焦った。

 が、結局は1学期のうちに大半の注文を終え、あとは2学期以降のリクエストに応えられる分を残して、ほぼ予算は使いきった状態になっている。うん、今年もなかなか優秀だぞ私(笑)。

 事務を担当してくださっている方とは普段からかなり仲良くさせて頂いているし、あまり年度の後半ぎりぎりになってから注文をつっこんだりすると困らせてしまうことになる。そうなってはならじと、毎年頑張ってしまうのだった。


 余談ながらここだけの話、お忙しい先生方はかなり事務のかたを困らせてしまうことがある。

 生徒の場合も同じだけれど、そういうのは大体、毎回同じ顔ぶれであることが多い。忙しいとかなんとか言うより、こればっかりはやっぱり能力的なことと、性格上の問題のような気がするけれど、いかがなものだろうか。

 出さなければならない書類等をギリギリまで出さない特定の先生について、事務のかたは「たまにブチ切れるんですよ、わたし~」と、よく笑っていらっしゃる。


 だけど絶対、目が笑ってないからね?(笑)

 ほんま、先生がたもしっかりして~? うっふふふ……。

 


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