12 図書館オリエンテーション
さて。
フレッシュな新入生も入ってきて、忙しい新学期の始まりである。
かく言ううちの学校にも、ついこの間まで小学生だった子たちが真新しい制服に身を包んでたくさん入学してきてくれた。毎年思うが、本当に初々しい。
まだオリエンテーションが終わっていないため、本格的に図書館に来てはいないのだけれど、これからが楽しみである。
そういえば、今年はなぜか初出勤した途端に、
「つづれさん、ちょっと対面式のときに前でお話ししてやってくれませんか」
と校長先生に言われてしまった。対面式というのは、新入生と在校生の顔合わせのお式のことだ。そのときに、全校生徒の前でちょろちょろっと図書館と自分の紹介をさせて頂いたのである。
一年生の期待と不安にあふれた表情が印象的だった。
これから三年間、この子たちをしっかりサポートせねばと気合いも入ろうというものである。
さてさて。
ということで、今回のテーマは図書館オリエンテーション。
これは公共の図書館さんでも時々行われていると思うけれども、要するに図書館の概要やら本を借りる方法やらについて簡単に説明する活動である。学校の場合には、新入生を中心に授業時間を一コマ頂いて、図書館で授業の形で行うものだ。
授業支援のときとは違い、ここでは学校司書が時間のほとんどを使って担当させて頂くことになるかと思う(これは学校さんにもよるかもしれないけれども)。
うちでは事前に貸し出し方法や貸し出し期間、NDC(日本十進分類法)のことや館内案内図などを載せたパンフレットを作成しておき、みんなに配ってそれをもとに色々と説明。
もちろんここでも図書館キャラクターは大活躍。このキャラクターがどうやってできたのかを説明すると、多くの子どもたちは「へ~!」という顔になる。
ただ、プリントを見ながらの説明だけだと、どうしても聞く方は退屈して疲れてしまい、集中が続かなくなるものだ。なにしろ相手は、この間まで小学生だった子どもたち。
というわけで、こういう活動のときには大抵、私はポイントごとに質問をして手を上げてもらい、誰かに答えてもらったり、パンフレットの一部を読み上げてもらったりする。
そうやってある程度内容を把握できたところで、NDCとその並び方を理解してもらうための簡単なゲームやクイズなどを行うこともある。
その上でみんなに貸出カードを配って、自分の名前や出席番号などを書いてもらい、自分の貸出カードを使って、とりあえず好きな本を一冊借りてもらう。
ここまでがとりあえずの到達目標だ。
今年は、昨年度用意しておいた図書委員さんたちの手による「おすすめ本カード」を使って、それぞれにNDCの番号を頼りに館内から本を探しだしてもらおうかなと考えている。
今回は春先だということで、ピンク色の色画用紙で桜の花を切り抜いて、そこに本のタイトルとNDC、それに「おもしろいよ!」とか「感動する!」とか簡単なひと言だけのおすすめの言葉を入れて、図書委員たちに書いてもらっておいたのだ。
とはいえまあ、ゲームまで到達できるかどうかは時間との勝負である。
なにしろ貸出カードによるアナログの貸出し方法だと、手続きに意外と時間がかかってしまうのだ。それがクラス全員となると、どうしても十数分から二十分ぐらいは使ってしまう。あらかじめそれを計算に入れて、あとはその場の判断ということになる。
臨機応変の対応が求められる、ということだ。
顔は飽くまでにこにこしているけれど、私も服の下では、実は大汗をかいてしまう。
ほかの先生の授業を拝見していても思うけれど、授業というのは本当にナマモノだ。クラスによって個性も違うし、まったく同じ作業をするように言っても必ずしも同じ時間内にクリアできるとは限らない。
一回目の授業である程度の時間配分やら状況を把握して、二回目からは少しずつ問題点を修正していき、最後のクラスでもっともクオリティの高い授業が受けられるのが普通のようである。つまり、「最後にあたったクラスはラッキー」といったところ。
これはまあ、ある程度までは仕方のないことかと思う。
いやまあ、いつもただ同じようなプリントを配ってのんべんだらりと、
「はい、答え合わせー。黒板うつしといてねー。おわりー」
なんていうやる気のない授業なら、さほどの違いはないかもしれないが。
あ、すいません最後になって毒吐きました。うははは。
「だれを想定してるんですか」っていうのは聞きっこなしの方向で(笑)!
是非!
いやもうほんと、そんな授業されたらつくづく生徒たちが可哀想やわ……。
そんなわけで。
それぞれの学校さんでのオリエンテーションたけなわであろうこの時期に、ちょっと取り上げてみたのでした。
それではみなさま、またの機会に!