10 蔵書点検
毎度、「どの話題にしようかな」と考えているのだけれども、今回は時期的なこともあって、やっぱりこれにした。
蔵書点検。
要するに、ざっくり言えば館内の蔵書が目録どおりにきちんと整っているかどうかを調べる、一連の作業のことだ。
海外ではまた違うと思うが、日本においては公共図書館でも学校図書館でも、年度替わりのこの時期に行われるのが一般的だろう。
ただ「目録どおり」とは言ったけれども、実際、電算化のできていない学校図書館では、数千から一万冊以上もある蔵書を、司書が一人でひとつひとつ目録に照らし合わせるというのは現実的ではない。もしもひとりでそんなことをやっていたら、余裕で何か月もかかってしまうからだ。
うちの図書館もそのご多分に漏れず、いまだ電算化がされていない。つまり、相変わらず昔ながらの図書カードでの貸し出ししかしていないのだ。従って、公共図書館のように本のバーコードをバーコードリーダーで「ピッ」と読み取って蔵書点検……というわけにはいかないのである。
これができれば本当に大助かりなのだけれども、まだまだ学校図書館司書の全配置にはほど遠いこの地域にあって、全体を同一システムで電算化するというのはかなり未来の話。
すでに電算化している学校もあるにはあるのだけれども、使っているシステムがそれぞれ違っていたりして、これまた頭の痛い話なのだ。
できれば公共図書館のように、全地域の学校図書館が同じシステムで蔵書を管理・共有し、パソコンで互いの蔵書を確認しあえ、いずれは相互に貸し借りまでできることが目標なのだけれども、道はまだまだ半ばといったところ。
そもそも学校司書の配置すら、全市でやっと半分ぐらいまで来た程度なのだから。
ちなみに今は、司書同士でつながって、メールやPC上の回覧板などで「〇〇の本、お貸しいただけませんか」「今度〇年生が京都に旅行にいくのですが、事前学習に役立つ資料はありませんか」というような連絡を取り合って、互いに助け合っている。
知識の豊富な先輩司書さんたちは本当に心強い存在だ。この話については、またいずれ書く機会があると思う。
まあそんなわけで、わが校の図書館での蔵書点検は単純に、「本を類ごとに分けて冊数を数える」という程度のものだ。つまり、本を一冊一冊、目録と突き合わせることはしない。
いや、「たったそれだけ?」と思うなかれ。
それでも基本的にワンオペにならざるを得ない作業のため、最終的に集計してExcelで表を作るところまでだと、普通に数日はかかってしまうのだから。そもそも私の場合、一日七時間までしか働けないことになっているし(笑)。
ちなみにうちの学校では、蔵書点検は三学期の終業式の翌日から三日間を使うことにしている。例によって先生方や生徒たちが終業式ぎりぎりでやっと返してくれた本の返却作業からということになる。
さて、そんなわけで蔵書点検の第一日目。
「さあ、がんばるぞ」と意気込んで学校へ行ってみると、私の机の上にこんもりと返却本が山になっている。
見ればそれぞれ、
「〇年〇組、だれそれの本です」
「遅れてすみませんでした」
「長い間お借りしていてすみません!」
云々といった先生方からの付箋つき。まあこの程度は予想の範囲内のことなので、もはやいまさら動じない私。
中にはまたもや例によって、何年も前からとある先生が咥えこんでおられたらしい「見たことも聞いたこともない本」が何冊か積まれていて、「ぐはあ、やられた!」と白目を剥いたり(笑)。
ともかくも、それらをよいせよいせと図書館に運び、返却手続きを済ませてから、晴れて蔵書点検の始まりである。
ところで今年は、一日進めてみて、どうも昨年度よりも進捗が遅いのが気になった。
「なんでや~! まさか私、去年よりもめっちゃアホになってる……!?」
と一瞬心配になったけれど、もちろんそういうことではない。
よくよく考えてみると、昨年度はNDC(日本十進分類法)の背ラベルのついていない本が大量にあったことを思いだした。作業上、いちいちそれを調べている時間がなかったので、昨年はそれらをすべて「番号不明本」として処理したのだった。
今年はこの一年で、それらの本に国立国会図書館などの蔵書データを参考にしてちまちまと番号づけをおこなってきた。そのため、番号不明本がかなり減っているわけだ。いや、もちろんまだゼロではないけれども。
そんなわけで、類ごとの棚はまだしも、前述の「戦争と平和」のコーナーやら「震災・防災」のコーナーなど、様々な分類の本が集まっている棚を数えるのにかなり手間取ってしまったのだ。
今日は時間ギリギリまで数えて、やっと三分の一ぐらいまで来たところでタイムオーバー。
館内の本のみならず、図書準備室の本もすべて数えなくてはならないため、明日もまた頑張らねばならないのでした。
毎年、どこの図書館さんも、この蔵書点検だけは本当に大変な作業かと思います。
いずれの司書さんも、どうぞ腰を痛めたり、腱鞘炎になったりしませんよう、無事に作業が終わられることをお祈りしております。
お互い、置かれた場所で頑張りましょうね。
さっ、私も明日また頑張ろー。