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第1話

 

「お嬢様!?」



 悲痛な声をあげたのは、公爵家の令嬢付きのメイドの一人だった。目を見開いて子どものように弱々しく震え、おろおろと戸惑いながらも主人へと近付く。



「……驚かせてしまってごめんなさいね。悪いのだけど、屑入れを持ってきていただける?」



 困ったような、しかし穏やかなハスキーボイスがメイドへ問いかけてやれば、青ざめた顔をこくこくと縦に振って逃げ出すように部屋を後にした。


 それを見送る令嬢――ルティリア・ルーセントは、まるで化け物を見たような顔だったなと溜息をひとつ吐き出して片手に掴んだままの()()を一瞥してから再び扉へ視線を向ける。


 きっと今頃あのメイドから話を聞いたお節介焼き……もとい、頼れる執事が騒がしい足音を立てながらノックもそこそこに扉を叩き開け駆け込んでくるのだろう。ルティリアが椅子へ掛けたまま当たりをつけて足を組み直せば、見事予想の通りに行動したらしい甘栗色の髪が勢いよく開いた扉から覗いた。



「お……嬢様、ルティお嬢様!!それ、なんで、髪っ!!」

「あなたは本当に私の思惑通りに動くわね、ライ。一周回って恐ろしくなってきたわ」



 飛び出して行ったメイドに勝るとも劣らない顔色で飛び込んできた執事――ライ・オーランドは、背中を覆っていたグレイアッシュのストレートヘアが忽然と姿を消し、まるで少年の如きショートヘアにとなったルティリアを不躾に指差して公爵邸中に響くほどの悲鳴をあげた。






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