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天空のブレイドカウル  作者: ヘルンデル
モンスター編
2/2

1 形のない物語

「罪人兄は、魂の男だよ!!僕は、信じてるからね!!!」


「なに言ってるんですか?耳かきでもしてやりましょうか?ねえ?」


「ぎゃああああああああ、やめて!!!罪人兄!!!いやだあああああああああああああ!!!」


俺は、全裸で弟に近づき、耳かきを強要しようとしていた。

なお弟も全裸だ。

まあここは、風呂だから当たり前なんだがな。


「おいおい、罪人、テンペスト、なにをやっている、射殺するぞ」


「またまた、物騒なこと言いますねえ、ちゃんとやっていますから大丈夫ですよ」


禍々しい物騒な何かが、さらっと俺達に死の宣告を言い渡した。


〈そういや死ぬってなんだろうな〉


知っての通り、俺の名前は、罪人さ。


「罪人兄、心の声、聞こえてるから!!!」


で、こいつは、弟のテンペスト。一緒に風呂掃除をやっている仲間だ。


「死とは、おそらく無のことだろうな」


そしてこの物騒な奴は、風呂の番人ケロベロス。


「無ですか・・・まあそうかもしれませんねえ」


少なくとも俺は、和やかに生きていると思っている。

そう願いたい。いや実は、違ったりするのかな。

そんなことを考えながら、日々を過ごしていた。


「・・・それにしても、いつみても禍々しいですねえ、この風呂は」


「僕は、『権力』なんて無いから、罪人兄の言ってることが理解できないよ。」


「そうですか?」


テンペストは、呆れた表情をして、俺の顔を見てくる。

でも、ここの風呂場は、『権力』で出来ていると、俺の魂が告げているのだ。

俺も何を言っているのか理解できないが、そういうことなんだろう。


「全くなにいってるんだか・・・、よし、今日は、ここまで、明日もちゃんと掃除をするように。」


「「おつかれさまです」」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




だがしかし俺は、この時勘違いをしていた。

だって俺達に明日なんて、どこにも無いのだから。


俺は、薄々と気付き始めていた。

いつしか空っぽな俺じゃあ、なくなっていた。

だってそうだろう?これは、一種の神話なんだろうと。

別に天気の変化は、神が起こした奇跡だから、とか事象の無理矢理な説明をしてるわけじゃない。

例えば俺がこの手に掴んだ『権力』は、そこに有る、という事実がある。


『風呂を汚せば、射殺される』


そういう教訓なんだろうと俺は、信じたいと思ってる。


だから・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ある日、目が覚めると、よくわからない場所にいた。

真下には、きれいな形をした、三角形の塊のような物、つまり魔法陣がある。

これは、一体どういうことだろうか。

部屋は、薄暗く、俺を囲むように均等にロウソクが並べられている。


「貴様、名前は?なんの神話の悪魔だ?」


・・・そして目の前には、人ではない者が直立している。

禍々しい何かが俺の前に存在していた。

だが俺は、直感した、上司だと。


「・・・名前は、罪人です。神話は、風呂の番人ケロベロスです。」


「・・・はあ?貴様、ふざけているのか?そんなもの存在するわけがないではないか?

第一・・・・」


パキューン


「ええええええ?!」



俺は、びっくりして尻もちをついてしまった。

何故ならその瞬間、目の前に直立していた禍々しい何かが姿を現し、頭をぶち抜かれて死んでいたからだ。

この姿は、明らかに悪魔だった。つの、目が3つ、邪悪な羽、赤い体、筋肉の鎧、牛のような頭、など。


「まるで悪魔ですねえ、ああ怖い怖い」


俺は、こんな恐ろしい部屋には居られないと、一目散に部屋を飛び出した。


「さて」


一体この豪華な場所は、何なんだろうか、これが城なんだろうか。

廊下は、とてつもなく長く、とてつもなく広かった。いちいち花瓶が置いてあった。


「一々、きれいな場所ですねえ」


ついに俺は、歩き始めていた。何回か禍々しい何かと遭遇したが、特に何もなかった。

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