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アレックを手に入れるまでを記した日記。 ~と見せかけた惚気~

作者:うりさん
こんにちは。私は神崎かんざき裕子ゆうこ(19)です。


とりあえず、今までの事を話したいと思います。
あれは私が15歳の頃でした。趣味が読書なこともあって、よく図書館へ行っていたんです。その日も、図書館へ行こうと、玄関のドアを開けたところで転んでしまったのです。

起きてみると、知らない部屋でした。そこで、勇者になって欲しいと言われちゃって、聖剣とかもらっちゃって、魔王を倒しちゃって、旅に出ちゃって、旅先で出会った男に一目惚れしちゃって、モレーツにアプローチかけちゃって、恋人になっちゃって・・・はないんです。まだ。


私が一目惚れした彼は、アレック・ヴィルヘルム(30)。職業冒険者な男らしい外見の方です。
モーレツにアプローチをかけているのに、答えてくれないのは彼が外見に似合わず照れ屋さんだからでしょう。

でも、そろそろ答えて欲しいです。最近我慢できなくなってきました。私が彼に一目惚れして、一緒に旅をするようになって早一年。未だに宿では別々の部屋をとる清い関係です。私は相部屋でもいいんですけどね・・・。
最初の頃は、控えめにしていようと思ったんですが、今では、手を繋ぎたい。抱きつきたい。キスしたい。襲いたい。と、欲求不満状態です。

なので、最近は『隙を見つけてあんな事やこんな事を・・・グフフ大作戦』を決行中です。







一日目。

一緒に買い物に出かけたので手を繋ごうと思ったら、間が悪く強盗が発生してしまい、「危険だから先に宿までユーコを送ろう。買い物へは俺が一人で行く」と、言われてしまい失敗。
この言葉にはつい胸がときめいてしまった。とりあえずこの言葉だけで今日はよしとする。


ちなみに、私が元勇者だという事は伝えていないので、彼は私のことを‘“大金を持っているのに襲われなかった運のいい少女”だと思っている。




二日目。

一緒に昼食を食べているときに、「口にソースがついている」といわれ焦って拭いた。彼が笑った気がする。恥ずかしい。今日は何もできなかった。


彼が私は水商売をやっていると思っていたことが判明。大金を持っているのはそのせい。襲われなかったのはお客さんに守ってもらっていたのだろうと。
失礼すぎる。確かに痴女と思われては仕方ないと思うがひどい。身の潔白を証明するために、「私は処女です。確認してみますか?」と聞いたら、真っ赤になって「女がそんなこと言うもんじゃない!」と怒られた。
反省も後悔もしていない。




三日目。

昨日の発言のせいでこっぴどく怒られた。あきてきたので、胸元をチラッと見せてからかってみると「嫁入り前の女がそんなことするもんじゃない!」と怒られた。嫁入り後は良いらしい。
途中から最近の若者は~~とか言い出した。アレックもまだ若いと思うが。大体、貞操とか嫁入りとか言ってる時点で、爺臭い。でもそんなところも好き。


アレックメモ。
アレックはこう見えて菜食主義。特に菜っ葉類が好き。肉をがっついてるイメージがあったので意外だ。




四日目。

すっかり作戦のことを忘れていた。
今日はギルドへ行くというので一緒に出かけた。「ギルドは荒くれ者が多い。危険だから来るな」と言われてしまったが、「アレックが守ってくれると信じています」と言ったらうつむいてしぶしぶといった様子で了承してくれた。
耳が赤いアレックはかわいいということに気づいてしまった。ギルドへ向かう途中で迷うといけないからと服の裾をつかんだ。手はつかめる雰囲気じゃなかった。


ギルドへ行ったが何も起らなかった。あわよくばどさくさに紛れて抱きつく位の事をしようと思っていたので残念だ。
受付嬢いわく「あのアレックさんのお連れ、しかも女性に手を出す人なんていませんよ」とのことだ。アレックは有名なのかな?




五日目。

進展がないので、朝に彼の部屋に忍び込んでみた。
寝顔が可愛かったので朝這いをしようと思ったが、手を握ったところで気づかれてしまった。説教をされたが、彼の寝顔を見れたから満足。手を繋ぐという目標も達成(?)できたし。

最近、彼の説教に愛を感じるようになってしまった。
説教中だけどニコニコしてたら呆れられた。彼の説教は私を心配してくれている証だと気づいてしまったから顔のにやけが止まらない。今も気味悪そうに見られてしまった。少し凹んだ。




六日目。

アレックはギルドで見つけた仕事をしに行った。
彼は私がついて来る事に反対だったので、「ストーカーしてでもついて行きます」と抗議したが、置いていかれてしまった。だから、ストーカーをした。時々不思議そうに後ろを振り返っていたが、気づかれなかった。
しかし、彼の戦う姿はカッコいい。返り血を浴びて顔をしかめた姿にキュンときた。
アレックがギルドで綺麗な受付嬢にやたら話しかけられたのが気に入らない。仕事の達成報告をしに来たのだから、疲れている事ぐらい察しろと言いたい。
今日、アレックがもてることが分かった。あの受付嬢は後でシめとく。


アレックメモ。
アレックは鈍感。今のところ、アタックされていると気づいているのは私に対してのみ。受付嬢ザマー。ついでに酒場の看板娘もザマー。あと、妖精猫ケット・シーの弓使いザマー。




七日目。

今日は一日中部屋で留守番だった。アレックは男同士の飲み会に行くとかでついて行けなかった。
夜もだいぶ更けたときに彼が帰ってきた。
酔っ払った彼もかわいい。赤くなった頬。肌蹴たシャツから見える鎖骨と厚い胸板。フラフラとした足取り。一緒に飲んだ男にすら嫉妬してしまいそう。
襲わなかった私の理性はすごいと思う。


この様子だと翌日は二日酔いだろうから早めに起きて薬草茶を作ってあげようと思う。




八日目。

案の定彼は二日酔いになった。気持ち悪いと布団をかぶって唸っている。薬草茶を飲ませたがなかなか良くならず、可哀想だからこっそり回復魔法ヒールをかけておいた。顔色が少し良くなった。役に立ててとても嬉しい。


彼が私の薬草茶はすごいと感心していた。彼は私が魔法を使える事も知らないので、回復魔法ヒールの効果を薬草茶の効果だと思っていた。
また欲しいと言われたので笑顔で頷いた。彼を騙してる気もしたが、勝手に誤解されただけだと言えばいい気がした。




九日目。

二日酔いが治った。そろそろこの町を離れる予定なので、ギルドへ護衛の仕事を探しに行った。今度は私にも関係あることなので、お願いするまでもなく連れて行ってくれた。今回もやはり、ちょっかいを出してくる勇者はいなかった。護衛の依頼は無事に見つかった。商会の会長とその一家を守る依頼だ。他の冒険者と組んでやるらしい。


そろそろ誘拐イベントをおこそうと思う。でもこの調子だとアレックのおかげで、誘拐されなさそう。一人で歩く機会を探さないと。




十日目。

依頼主と会った。商会の会長はダンディなおじ様で、家族は、優しそうな奥さんに、知性あふれる長男、戦闘は強いが頭は弱そうな次男。そして、生意気そうな三男だった。三男が気に入らない。他の冒険者を蔑むような目で睨みつけていた。正直守りたくない。三男だけ守りたくない。三男以外を守りたい。とはいっても、私自身は守らないけど。


アレックメモ。
アレックは心が広い。三男に難癖つけれられても気にしてない。「子供の言う事だ」で許してしまう彼がカッコいい。でも私は許さない。三男に復讐するまで覚えててやる。覚悟しておけ三男。




十一日目。

早速、三男が問題を起こした。他の冒険者に向かって暴言を吐いたのだ。幸いその冒険者はレベルが高く、温厚な性格だったため三男は無事だ。三男はそれを家族の前ではやらないのだから、私のイライラもレッドゾーン手前のイエローゾーンまで来ている。レッドゾーンに入ったらキれる。


ちなみに、レベルを高くするには戦闘能力だけでなく、人柄や人間関係、マナーの良さ、礼儀、町の人々からの評判、金遣いの荒さ、女性関係まで見られる。女性関係は意味が分からない。




十二日目。

今日は何も無かったと思ったら、三男が私を襲った。私は美人だからね。深夜に人の気配が近づいてくると思ったら三男だった。
頬に一発かなり手加減したビンタをいれたら、「このアマ!思いっきり殴りやがって!」と逆切れした。しかも「お前雇われてるくせに何もできないんだからせめて僕に尽くそうって気は無いわけ!?金貰って、何もしないどころかただ飯食ってんだからこれくらい良いだろ!?」と喚く始末。
第一に私は思いっきり殴っていない。
第二に私は誰にも雇われていない。アレックも三男に雇われているわけではない。
第三に何もしていないわけではない。食事を作っている。
第四に雇われていないのだから、お金も貰っていないし、私の食費はアレックの取り分から引いてもらっている。ダンディなおじ様はそれくらい私らが払うといったが、アレックが譲らなかった。アレックはきちんとしている。そこがまたカッコいい。
あれ?脱線した?と思ったところにアレックが駆けつけて来てくれた。三男の喚き声が聞こえたらしい。
三男にはイラッと来たが、このチャンスを生かすべくアレックに弱弱しくすがり付いてみた。




十三日目。

三男がギャンギャン騒いでいたら皆が集まってきた。気づいたら夜も明けてきた。三男は恐ろしい形相の家族に連れて行かれた。ザマー。そしてアレックにこんなにしがみつけるなんて!!第二目標抱きつく達成!!幸せ。幸せ。しかもアレックたら「大丈夫か?」なんて言って背中をさすってくれる。幸せすぎてどうにかなりそう。調子にのって一緒に寝て欲しいとお願いしたら、珍しく、了承してくれた。てっきり未婚の男女が一緒に寝るもんじゃないとか言われるかと思っていた。


アレックメモ。
アレックは私のことをそれなりに気にしてくれている。気遣ってもらえるし、心配もしてくれる。がんばれば脈ありかも知れない。




十四日目。

今日は一日中アレックと手を繋いだり、腕にしがみついたりした。ダンディなおじ様とその家族(三男を除く)が謝ってきた。「大丈夫です。」と伝えたが、「償わせてくれ。うちの愚息がアレックさんの連れにトンでもない事をしてしまったんだ、こっちのためだと思って」と懇願されたので、「では、食事代を無料ただにしてください」と答えた。それだけで良いのかと問われたが、これ以上はこちらが心苦しくなるので遠慮させてもらった。
バカ三男はあれから家族にこってり絞られた。特に長男の怒り方は怖かった。視線がひたすらに冷たい。次男に大声で怒鳴られた後に、シンとした空気の中、ひたすら冷たい視線と言葉に耐えるのはきつそうだった。ザマー。




十五日目。

馬鹿三男はまだ怒られている。今日なんて見てた他の冒険者が「もういいんじゃないか?」と口を挟み、長男が「いえ、まだまだです。」と黒く笑っていた。
アレックはあれから私のことをよく気にかけるようになった。私としてはとても嬉しい。しかし、過保護さが増した。まるで私のお父さんのようだ。そう思って血の気が引いた。まさか私はアレックから恋愛対象として見られていないのではないか。子どものように思われているのではないか…。


アレックメモ。
アレックは私のことを世話のかかる同行者だと思っているみたいだ。子どもや妹として見られていないと知って、ほっとした。




十六日目。
次の町に着いた。結構早く感じた。これで護衛の依頼を達成したので、三男の顔を見ずに済む。アレックと冒険者ギルドに行って依頼完了の報告をした。
宿の部屋を一部屋で取った。アレックが二部屋で取ると言ったが、アレックの腕に抱きつき「一人で寝るのは怖い」と言ったら一部屋にしてくれた。宿の女将さんは微笑ましそうに見ていた。

夕飯を宿でとっていると、宿の女将さんが明後日に祭りが開かれると教えてくれた。女性が好きな男性に赤い花を贈り、男性が受け取ってくれたらカップル成立らしい。

最近では女性が友情の証として黄色い花を贈ることもあるそうな。好きな女性から黄色い花を渡され影で泣く男性が毎年いるらしい。

この話を聞いたとき、「バレンタインかよっ」と心の中で突っ込んでしまった。でも、この機会にアレックに本気で告白をしようかと思う。




十七日目。
アレックが今日は休むと言うので、明日の祭のために雰囲気のいい場所と綺麗な花を売っている店を探しに行った。アレックが「若い女の一人歩きは危ない。着いて行こう」と提案してくれたが、それでは意味がないのでなんとか断った。本当はせっかくのデートのチャンスを逃したくなかったが、これも幸せな未来のためだ。アレックが私の身を案じてくれて嬉しかった。アレック素敵。

街を歩いていたら色んな男に絡まれたがアレックのいない所で絡まれても意味がない。無視した。



十八日目。
今日は祭りだった。結論から言うと、告白出来なかった。前日に雰囲気のいい場所も素敵な花屋も見つけておいたのに情けないことに体調を崩してしまった。緊張しすぎて寝れなかったからかもしれない。こんなことなら昨日デートしておくんだったと後悔している。さっきまでアレックが付き添って看病してくれていたがお礼もまともに言えなかった。ただひたすらに「祭りに出たい」と駄々をこねてしまった。アレックには「祭りなんて人が多い所に行ったら余計体調が悪くなるだろ。駄目だ」と言われてしまった。それでも駄々をこねた。今、冷静に考えると、看病に礼も言わず駄々をこねる女なんて最低だ。アレックに嫌われたかもしれない。

アレックはまだ戻って来ない。夕飯を取りに行ったはずなのにずいぶん遅い。何かあったのだろうか。それとも、もう私に愛想を尽かして、出て行ってしまったのだろうか。アレックに、置いていかれてしまったのだろうか。

やはり、私は、アレ#%=@/&¥<$€



十九日目
この日記は今日で終わりにしようと思う。

昨日の晩、日記を書いている途中でアレックが帰ってきた。私に赤い花をくれた。「ユウコ、好きだ」と言って。

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