<一年、卯月ノ章(零)>
一話あたりがものすごく短い、超短編を連載する小説です。初めて書くような小説ですが、ぜひお付き合いいただけたらと思います。よろしくお願いします。
「おィ、放課後ちょっと面貸せェや!」
人生で初めて、不良に絡まれた。
目の前には胸元がはだけた学ランを着て、
時代錯誤なリーゼントをしっかり決め、
そんでもって、どことなく屈強そうな、まさに不良がここに数人、
男子だけではなく、女子もそこに混じって、
自分の机を取り囲むように、
肩身狭く椅子に座る俺を取り囲むように、
それはそれはもう、凄まじい威圧感で、
四面楚歌もいいところで、
教室の誰もが自分を睨みつけているようで、
助けを乞う誰かすら存在しないようで、
心臓はいつまでたっても落ち着こうとはせず、
冷や汗は止めどなく額から流れ落ち、
頭の中はだんだん真っ白になりつつ……
「なァ、聞いてんのかオラァ!?」
「は、はひぃぃぃっ!」
思わず、そんな情けない声を出してしまった。
「あんたァ、コイツには逆らわない方がいいよ。高校生活、無事に送りたきゃなァ!」
「ひ、ひぃぃぃ!」
そんなドスの利いた声を発した女子にさえ、まともな返答が出来ない。
――これ、俺死んだかもしれん――
高校生活、初日。
四時間の授業が終わった昼休み、
この一年五組で、
俺は向こう三年間の絶望をひしひしと感じつつ、
あまりの恐怖に失禁しそうになるのを必死に我慢しつつ、
ただただ口をパクパクさせることしか出来ないまま、
ただただ目を見開くことしか出来な……
「分かったンなら返事くらいしやがれェ!!!」
「は、はいぃぃぃ!!!」
あ、もしかしたら少しちびったかもしれん。
第零話ということで、輪をかけて短い文章になっていますがご了承ください。今後はもう少し一話あたりを長く書いていくつもりです……