「堕ちた聖女、抗う創造」
神聖帝国――かつて聖女セラを象徴とし、神の権威をそのままに掲げていた国。
だがいま、その中心にいた彼女が「神に背く」という異端の汚名を着せられたことで、状況は一変する。
ユウトたちは、帝国から《異端者》として追われる身となっていた。
「“創造の者”ユウト、および堕ちた聖女セラ。速やかに身柄を引き渡せ!」
帝都の聖堂広場を包囲する騎士団と、神官による結界。
神聖帝国の聖騎士たちは“神聖術”による術式で、周囲の空間を封鎖していた。
創造の力を歪ませる抑制場――つまり、ユウトのチートすら効かない。
「っち……完全に殺しに来てるじゃねーか!」
「セラ、下がって。俺がなんとかする」
「ユウト、無茶は――!」
だが、その瞬間――
上空から魔導砲の光が放たれ、封鎖結界を強引に打ち破った。
「……っ!?」
「レジスタンスか!?」
砲撃とともに、黒いフードをかぶった者たちが降下し、騎士団と激突する。
その中心にいたのは――再び現れた青年、カイルだった。
「間一髪だな。セラ様、ユウト。ここは我々が引き取る。急げ!」
ユウトたちは、帝都の地下水路から逃げる。
追撃の騎士団と神官たちの術式が背後から追ってくる中、
セラは自らの存在が人々に危害を及ぼしていることを強く感じていた。
「わたしが……すべての元凶……」
「今それを言ってどうすんだよ、セラ」
ユウトが背中越しに怒鳴る。
「お前が何を選んでも、俺はついていくって言っただろ。
誰が“堕ちた聖女”だよ、笑わせんな。
お前はまだ、誰一人見捨ててないじゃねぇか!」
セラは拳を強く握りしめ、涙を飲み込んだ。
「……ありがとう、ユウト」
---
帝都を離れ、荒野と山岳を越えた先。
辿り着いたのは、《忘れられた神殿》――かつて古代神に仕えていた者たちの廃都。
そこが、レジスタンスの拠点だった。
「ここなら、神聖帝国も手を出せません。
我々はこの場所を“第二の都”として、いつか来る反抗の時に備えています」
レジスタンスの中心人物、カイルはそう語る。
そこには帝国から離反した騎士や神官、そして民間の学者たちがいた。
彼らは皆、帝国の“神の押し付け”に違和感を抱き、追われることになった者たちだった。
---
その夜、ユウトやセラ達、およびレジスタンスのメンバーが集まり、テーブルを囲い、話し合っていた。
「神聖帝国の力は想像以上に強い。
正面から挑んでも、今の我々では……」
ユウトは地図の上に手を置いた。
「だが、あいつらにこのままやらせとくわけにはいかねぇ。
“神”ってのが本当にこの世界の頂点なら、叩いて壊す。それだけだ」
レジスタンス内でもユウトの過激な発言にざわめきが走るが、
セラはゆっくりと口を開いた。
「……私も、行きます」
一同が静まる。
「私が選んだ道に、皆を巻き込んでしまった。
けれど、だからこそ私は、もう誰にも“祈られるだけ”ではいられない」
その瞳に、覚悟の炎が宿る。
「神に抗うことが罪なら、私はその罪をすべて背負います。
それが、“堕ちた聖女”としての――私の責任」
ユウトは隣に立ち、微笑んだ。
「上等だな。じゃあ次は、俺たちが神に文句を言いに行く番だ」
セラも静かにうなずく。
カイルは言う。
「帝国には、まだ内部に“揺れる者”がいます。
我々は潜入と連絡を行い、まずは神殿中枢を叩く作戦を立てましょう」




