34.一寸先の闇へ
「おっすキリヲくん、時間通りだね!」
「はぁはぁ、あ・・・えーと、す、すみません、遅刻してますよね、待たせてしまい本当に申し訳ありません」
俺たちは攻略組の集合場所である20階層のボス部屋の前に行くと、そこには既に俺たち以外の全てのギルドが揃っており、俺たちは見事に遅刻していた。
1000人近い人間を待たせた事に対して俺はとてもつもなくデカい失態を犯したような恐怖を感じるが、対照的にツチノコは一切責めるそぶりはなく、陽気に俺に答えた。
「気にしなくていいよ、遅刻するかもってメッセージは貰ってたからね、待っていたのは単純に俺がキリヲくん達と一緒が良かったから、でももし、それでもキリヲくんが申し訳ないって思うなら、そうだなぁ・・・、じゃあ隊列の先頭を、俺と一緒に歩いてくれるかな?」
またいいとも!みたいなノリで俺を勧誘してくるが、流石に今回はそのお節介に大人の器の大きさみたいなものを感じ、素直に受け入れた。
「・・・いいとも!、・・・って言ったらふざけてますかね、はは・・・」
ここでノリよく乗っかれない所に俺の陰キャが極まっていたが、そんな俺の不器用な作り笑いにも、ツチノコは陽キャノリで応えた。
「全然、キリヲくんがノリのいい子で俺も嬉しいよ、それじゃあ皆、今から俺達「UMA捜索隊with霧輪組」はボスの攻略を開始する、作戦は手筈通り、『UMA捜索隊』→『ジョニーズ』→『J0KERS』→『東京V』→『野獣海賊団』の順番で各ギルドでスイッチして欲しい、後衛の『ペインキラー』と『RotPrincess』は交互に余力を持って交代して欲しい、安全第一に、ヤバくなったら遠慮なく後方に下がって欲しい、フォローは俺たちと『霧輪組』さんがするから!。
─────それじゃあ強敵と噂のキリ番ボスだけど、俺たちは3週間もの間、前衛に魔剣を揃えさせたり、聖女バフを習得させたりと準備を万全に行ってきた、これで攻略出来なかったら例え初見でもそれはただのクソゲーだ、このゲームの理不尽さをみんなももう大分身に染みてるかもしれない、でも、俺達はこのゲームの中でも紛れも無い上位層だ、上位の俺達が無理なら、きっと他の誰にも出来ない事だろう、だから敵は強敵で理不尽で困難な試練かもしれない、でも俺達なら出来る、だから勝って勝利の宴を皆で楽しもうぜ!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
ツチノコのそんな演説で部隊の士気は最高潮に達し、俺たちは20階層ボス部屋の門を開いたのであった。
ちなみに遅刻の原因は寝坊、オウエモンの捜索で夜型の生活が染み付いてしまった俺たちは、モモ以外誰一人として朝起きる事が出来なかったのである。
社会不適合者の本領発揮だが、この大チョンボが現実ではなくゲームの中だったのは不幸中の幸いと言っていいだろう、多分・・・。




