20.億万長者に
「おい、1億でいいから早くよこせ、人目につくだろうが!!早く出せ!!」
ガンガン
「ああん、ご主人様、私もう、壊れちゃいますう・・・!!」
俺は俺の単勝に1億賭けていたらしいメアを競馬場の屋外に連れ込んでカツアゲをしていた。
俺の単勝倍率は31.5倍、単純に考えて30億近い勝ちを拾ったメアからすれば1億なんて端金だろう。
モモのベットが不発で終わった今、大変に心苦しい話だが、俺はこのギャン中からカツアゲして金を得るしか手立てが無かったのてある。
「いいから早く出せ、人目につくだろうが!!」
「ああん、もっと、ご主人様、もっと激しくしてぇ!!」
こんな見苦しいカツアゲなんて仲間に見られたくないから俺は隠れて行っている訳だが、メアは絶頂によって昇天しかけている為か、幾度となく絶頂の奇声を発しながらエンドレスフィーバーを繰り返していた為に、俺は集金に手間取っていたのであった。
俺は地面に倒れながら股に手を突っ込んで悶えている汚物を蹴りながら入金の催促をしていると、そこで俺を探していたらしいモモ達が団体でやってきた。
「こんな所にいたんですか・・・って、何やってるんですか!、ダメじゃないですか、女の子を足蹴にするなんて!!」
「・・・ちっ、見られたか、別にいいんだよ、こいつとは命を賭けたギャンブルで全ての人権を貰った間柄だからな、それで今こいつが30億勝ったから、集金に取り立てている所だ」
そう言って俺がメアの頭を踏んづけると、汚物はびくんびくんと体を震わせて絶頂に達していた。
正直、30億も勝ったら正気を失うのも理解出来なくなもないが、それでもこの汚物の醜態は直視に耐えないのでさっさと金を振り込んで失せてもらいたい所だったが。
しかしそこでモモが首を傾げて俺に聞き返した。
「集金って、必要なのは1億じゃなかったんですか?、だったらもうさっきのレースで勝ったし必要無いですよね?」
「・・・へ?、だってお前、2番に賭けてたんだろ?、2番は離脱したし、だったら外れたんじゃないのか?、それとも2番の他にも馬券勝ったのか?」
俺がそう言うとモモは不思議そうに聞き返した。
「え?、何でそうなるんですか?、私は最初からキリヲさんの複勝で1億稼げるように900万賭けて、残ったお金をノワの単勝に300万賭けただけですよ?、それで複勝一着の配当金が19.4倍で1億7500万の勝ちです、なので1億はもう稼いでますよ」
「へ?、まじか、でもお前、俺がレース前に「何番に賭けた?」って聞いた時に2番って答えたじゃないか、じゃああれはなんだったんだよ」
そうだ、俺はちゃんと確認したのにそれが裏切られたのだとしたらなんの意図があったのかという話だろう。
しかし勘違いしていたのはどうやら俺の方だったようだ。
「え、あれ「何番に賭けた?」って意味だったんですか?、レース前で緊張してそうだったから「完全に負けだ」ってナーバスになってるのかと思って、それで応援する意味で「負けないで」と言って勝利のVを示しただけなんですけど・・・」
そこでノワも納得したような調子で言った。
「なんだ、勘違いしてたのは団長のほうじゃん、いやー良かったよ、なんで2番を勝たせる必要があるのか分からなかったけど、全部団長の勘違いだった訳か、なら団長、オレのタックルも結果的にはナイスアシストだった訳だろ」
確かにノワが2番を破壊しなければ俺は自分が優勝しようとはしなかった訳だし、結果的にはノワが一番の勝利の立役者と言う話になる訳だが。
そしてレインは会話を打ち切るように告げた。
「ま、何にせよ、これで目標金額は溜まった訳だし、だったらさっさとお使いを済ませた方がいいんじゃないかな、これでもうこれ以上ここには用なんてないだろうし」
「あ、ああ、そうだな・・・取り敢えず、今夜は焼肉でも食うか!」
1億7500万の勝ち、ならばお釣りで自分用の魔剣を買う金もある訳だし、結果としては大勝利だ、ケチの付けようがない最高の結果なので、俺はカツアゲをキャンセルしてそう言った。
そして俺は競馬場からそのまま包帯の男とその弟子のガキの所に行って、1億を渡した後にその日は焼肉で宴をしたのであった。
まさかこんな簡単に1億手に入るとは思わなかったものの、おかげでギャン中を頼らずに金策が出来たのは僥倖と言えるのかもしれない。
でもギャン中が手に入れた30億、それに未練を感じる気持ちも少なからずあって、そしてギャン中はそこからとんでもない事件を引き起こす事になるのだが、それはまた別の話である。




