18.波乱の幕開け
出走5分前、俺たちは順番にスタート位置であるゲートに入っていく。
そこで俺に気づいたカントンが俺に声を掛けてきた。
「よう、久しぶりだな兄弟!、悪いがこの勝負は俺が勝たせてもらうぜ、まぁ兄弟は二番手争いを頑張ってくれな!」
そう言ってカントンは颯爽と順番を無視してゲートに入っていくが、それを咎められる事もなく、ゲートは閉められた。
俺も案内されるままに4番ゲートに入り、レースに向けて集中力を高める。
そして順繰りに他の馬達がゲートに入っていく中で、一向にノワの姿だけが見当たらなかった。
「・・・あれ、そう言えばノワはどこだ?、まぁ悪魔の馬だしここで失格になっても不思議では無いが」
そう思って周囲を見渡すと、ズドドドドと地鳴りのようなものを感じて俺は振り返った。
「どいてどいて!、今ゲートに入るから!」
そこでノワは暴れ狂うデビルマツカゼを操って自身の定位置である10番ゲートにマツカゼを無理やりねじ込んだ。
マツカゼの激突で頑丈で頑強なゲートが大きく揺れるが、ゲームの設定上の耐久値があるからかゲートが破壊される事はなく、マツカゼは狭いゲートの中で暴れ散らすもののゲートに影響は無かった。
ガンッガンッと、暴れるマツカゼの衝撃が絶えずゲートを揺らし、他の馬達も怯えているようだったが、なにはともあれこれで全ての馬がゲートインし、あとは出走の合図を待つばかりだ。
俺はそこで観客席にいたモモに目配せをして、口パクで「何番に賭けたか?」と尋ねると、モモは「3位以内で」と口パクしつつ二本指を立てて2番と答えたので、俺はそこで掲示板のオッズを確認した。
「2番、ノルカソルカ、9番人気、単勝60倍か、まぁ複勝で賭けるにしても30倍くらいはオッズはありそうだし、妥当な所か?」
俺はどうやって2番をアシストするかを考えつつ、開幕は2番と同じ「差し」、中段で展開を伺う作戦で走る事を選択する。
そして間もなくしてゲートは解放されて、伸るか反るか、波乱万丈のレースが幕を開けたのである。




