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6.鍛治の街、バゼルランド

 ほどなくして19階層が攻略組のどこかのギルドによって攻略されたとの情報があったが、俺にとってもペインキラーにとっても関係の無い話だった故に、俺たちはそのまま17階層で狩りに明け暮れていた。


 だいたい日当7万の仕事を1週間くらい続けていた訳で、それにより1人あたり50万近くの貯蓄を作り、俺たちはそこで狩りを切り上げて20階層へと赴く事にしたのである。


 これまでの経験上10の倍数の階層は大型のマップで特殊なボスと戦う事になるし、必要な戦力もこれまでよりは多く必要とし、そういう面でも希少な【聖女】スキルを持つモモの存在は他のギルドからも重宝されておりその都合で俺たちは10の倍数の階層のボス戦には参加に積極的なのである。


 ちなみにこの一週間、俺は狩りをしながら他のペインキラーのメンバーの情報収集に明け暮れていた訳だが、殺人鬼に関しての手がかりは何も得られなかった。


「えーと、それじゃあパーティーをこれで解散って事でいいかな?、俺たちもこの新しく出来た20階層の探索とかしてみたいし」


「はい、1週間ありがとうございました!、またよろしくお願いします!」


「あ、どうもお疲れ様でした・・・」


 ゼンイツとコリンにそれぞれ挨拶して俺たちはそこで別れる。


 二人から聞いた話によると、メンバーの失踪については何も知らないようだった。


 この1週間の情報収集で得られた結論とはつまり、団員達は特に前兆もなにも無しに失踪していて、手がかりは全くと言っていいほど無いという事だ。


 なので俺はこの時点で既に殺人鬼の捜索は無理ゲーと判断し、半ば放置して20階層の攻略をメインに取り組む事にしたのである。




 鍛冶と鉄鋼の街、バゼルランド。


 10階層が信仰の街という都合で規則に厳しく飲食店と小さな賭場くらいしか娯楽が無かったのに対して、この街は鍛治の街だけあって、多くの鍛冶屋、武器屋が軒を連ねており、そしてそこには今までの階層よりもワンランク以上性能の上がった武器が売られていた。


 俺とノワはひとまず好奇心から手頃な武器屋に立ち寄って見ることにした。


「・・・へぇ、この武器、同じ鋼の剣でも市販品よりも性能が上だ、お、この武器もカッコイイな、しかも【魔剣】とかいう名前まであるのか、どれどれ、値段は・・・げっ500万もすんのかよ、高いな」


 俺が店に飾られて一番高そうな武器を手に取って観察していると、壮年のハゲた店主に声をかけられる。


「ははっ、魔剣は鍛冶師の魂を打ち込んだ、百本に一本生まれるかどうかっていう奇跡のシロモノだからな、そいつは俺が打った最高傑作だ、【魔剣】の効果は様々だが、その魔剣は使用者の筋力を二倍にする力があって、貧弱な兄ちゃんでも難なく使えるようになるシロモノだ、値打ちもんだぜ」


「へぇ、パッシブ(常時)スキルまで付与されるのか、だとしたら聖剣より強そうだな、ちょっと欲しいかも」


 俺がそう思い店に飾られた魔剣をもう一度観察してみる。

 見た目も悪くないし、聖剣は貧弱な俺が使っても対して強くない上に目立ちすぎる。

 この魔剣を買うのもありかもな、なんて思っていたら。


「──────────ハッ!セヤァッ!!・・・軽いな、なぁ店主、これよりもっと重い剣は無いのか?」


 そんな風にどこかで見たようなセリフを吐きながらキリ・・・ノワは、魔剣を素振りして棚に戻した。


 それに対し店長は怒るでも無く悟ったような笑みを浮かべてノワを褒めそやした。


「・・・へぇ、あんちゃん、随分と様になってるじゃねぇか、一応その魔剣もBランクの上位等級なんだがな、だがあんちゃんの腕には役不足か、あんちゃん、だったら探すっきゃねぇな、この街には神匠(しんしょう)と呼ばれる最強の鍛冶師がいる、どこにいるかは知らねぇが、そいつは最強の剣士の元に現れて、最強の剣を授けるそうだ、あんちゃんならきっと見つけられるさ、だから探すっきゃねぇな」


「神匠・・・、なるほど、それがこの階層のキーマンと言う訳か」


 10階層が信仰の街だから信者ランクを上げる事を求められるならば、鍛治の街ならばそれに見合う剣士になる事を求められる、というのがこの階層におけるメインクエストになるのだろう。


 こうして俺たちは20階層の神匠探しを始める事にしたのである。

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