5.初めてのスライム金策
俺たちは金策にオススメとされている、17階層のスライム狩りをする事にした。
最前線は攻略を目的とした上位プレイヤーと競合する事になるし、そして17階層のスライムはメタル、ヒール、マグマと、複数の種類のスライムが存在し、倒しやすく素材として優秀であり、金策としてとてもコスパがいいからだ。
その分階層の移動は特定の階層にのみ存在する転移門を使用しない場合片道1時間かかり、19階層からでの移動では2時間かかる程度には手間だが、その分俺たちは他のプレイヤー達と競合せずに狩場を独占して狩りを行い、コスパよく収入を得る事が出来たのであった。
「初級長刀スキル、《居合切り》!!」
ゼンイツは刀を使用する長刀スキルを取得したプレイヤーであり、そんなゼンイツの振るった刀がスライムを一刀両断し、俺たちはスライムの巣に10匹ばかり巣食っていたスライムの最後の1匹を、そんな風に始末したのであった。
俺は初めての戦闘で緊張していたらしいゼンイツを労いの声をかけた。
「やるね、パーティー組むの初めて?、その割には周りが見えてるし、君ならどこでもやっていけそうなくらいちゃんと動けてたよ」
俺がそう言うとゼンイツは人懐っこい笑みを浮かべて礼を言った。
「ありがとうございます!!、でもそれはキリヲさんの指示が的確だからですよ、キリヲさんも僕と同じレベル1なのに、戦闘もしながら指示も出せて、普通にすごいと思います!」
「ま、俺は前のパーティーではそこそこ経験積んでたからね、それに比べたらゼンイツが最初から周りを見て動けるのはすごいよ、えーと、コリンはどう?、疲れてないならこのまま狩りを続けるけど、休みたいなら休憩にしようかと思うんだけど・・・」
俺はパーティーを組んだもう一人の男に確認を取った。
別に俺は金策するほど金に困っている訳では無いから効率を重視する必要も無い訳だが、このゲームにおいてプレイヤーの自己強化手段がレベル上げがメインでは無い以上、金策して装備とアイテムを整えるというのは全プレイヤーにとっての課題でもある。
故に、効率重視で狩りをするのはだいたいの基本方針になるという訳だ。
俺の質問にコリンは簡潔に答えた。
「問題無いっす、このまま行きましょう」
「了解、じゃあ取り敢えずこの調子で狩りを続けようか、今のペースなら時給7000グランくらいだし、そこそこの高時給になると思うよ」
そんな風に俺たちは17階層での金策に明け暮れた。
ちなみにノワは二刀流を封印して片手剣だけで戦って貰っている。
レベル10で二刀流スキルカンスト済みのノワが本気を出したら一人で10人分くらいの火力が出て連携が意味をなさなくなるからだ。
つまりそれだけスキルカンストさせた上位スキルの効果は絶大という訳である。
その日は7時間金策して1人あたり5万の収入となった。
そして俺たちは次の日もパーティーを組もうという事で合意してその日は解散したのである。