13.闘拳賭博
「さぁ始まりました皆さんお待ちかね、月に一度のフェスティバル!!、闘犬改めて闘拳賭博、これにて開幕!!、ルールは簡単、10回戦の勝ち残り勝負、優勝者には賞金100万グラン!、それでは抽選行ってまいりましょうラッキーオアアンラッキー、栄えある先発一番手は、──────────東、にじゅうううううううううう、いっさいィイイイイイイイイイイ!!!」
煮汁一菜「勿論俺らは抵抗するで──────────拳で」
バチンと拳を鳴らして、メガネをかけたガタイのいい青年が神聖なリングに上がる。
「対するは──────────西、にじゅううううううううううう、ヨンッ、さいィいいいいいいいいいいいいいい!!!」
虹獣四災「やりますねぇ──────────じゃけん本気でいきましょうね」
そしてよく日焼けした小麦色の肌をした筋肉質な青年が、リングの反対側に立った。
「それでは1回戦目、みなさん投票はお済みですか、間もなく締切待ったナシ、これにて、勝負のゴングが今──────────鳴らされるぅ!!」
カーン
「──────────拳で」
「──────────イキすぎィ」
ゴングと同時に二人の男がド近距離でのインファイトを始めた。
「へー、手数で戦うスピードタイプと、力で戦うパワータイプの対決か、中々見ものだな」
俺はギリギリ間に合ったのを確認して、人混みの外に立っていたモモのとなりに並んだ。
「あ、遅いですよ兄さん、もう始まっちゃってますし、もし選手に選ばれたらどうしようってヒヤヒヤしてたんですから」
「俺は21才と24才という際ど過ぎるネタにヒヤヒヤしてるが、ま、どうせゲームの中のアバターの話だしな、こいつらはキリト以上に知名度がある訳だし、なりきりしてるプレイヤーがいても自然だよな」
ここはプレイヤーネームでの登録では無く、リングネームを使用出来る為に、ふざけた名前のプレイヤーが出てくるのも仕方ない事だろう。
「・・・?、何を言ってるんですか兄さん?」
「・・・なんでもない、ただ、力試しかと思いきや拳闘とは予想外だな、今日集まっているプレイヤー達も見ない顔ばっかだし、これは勝ち負けを予測するのは中々に難しそうだ、おいモモ、お前はどっちに賭けたんだよ」
「あー、えっと、悩んでたら時間来ちゃって・・・、兄さんもまだ来てなくて不安だったので・・・」
「ま、予測出来ない勝負に運でかける必要も無いしな、勝負は10回ある訳だし、どこかでデカく勝てばいいし、最初は見学して流れを見る事も大切だ」
ちなみに俺は倍々方式で賭けてみようと、滑り込みで24才に1万賭けたのだが。
「おおっとここでダブルノックダウウウウウウウウウン!!なんと珍しい引き分けです!!引き分けは胴元の一人勝ちで還元されないのであしからず!!、その代わりにここでの賭け金は次の勝負のオッズに反映されるぞぉ!!さぁて次の参加者は──────────」
その調子で拳闘は繰り広げられて行き、俺は倍々方式で増やしたり減らしたりを繰り返していた。
自分の中での勝負時がこない以上、上限の10万を賭ける事はせず、1万ずつ賭けて、負けたら倍にして賭けるという消極的なギャンブルをして、ちまちまと場の展開を予測していたのであった。
それに対してモモは、毎回10万かけていて、しかもそれで7戦5勝の大当たりでノリに乗っていて、50万近くの勝ちを拾っていた。
そこで俺は自分で予測するのを辞めて、モモの運に賭けようかと思ったのだが、残り2戦、そこで展開を大きく動かす出来事が起こったのであった。
「さーて優勝まで残り2勝、現在6連勝中の大魔王、野を超え山越え麒麟来る、イクイクノックス選手を止められる者は果たしているのか──────────挑戦者、キリト様尊敬、選手ゥウウウウウウウウウウウウ!!」
「あ、ノワの出番です、ノワに賭けましょう!!」
「──────────な、おいこの馬鹿、ノワがいくら強いと言っても二刀流ありきの話で、逃げ場も地の利も無い拳闘でノワが、パワーもスピードもある恐らく高レベルのイクイクノックス選手に勝てる訳無いだろ!!、ギャンブルは友達を応援するゲームじゃねぇんだよ!!もっと真剣に考えて賭けろ!!」
「ええっ!?、でも、ここで10万勝っても結局1000万には届かないし、だったら大きく勝てそうなタイミングで賭けるのは合理的じゃないんですか?」
「・・・それは、確かに前回のイクイクノックスの勝ち分のオッズは1.3倍で、10万賭けても3万以下しか貰えないが・・・、でもだからって10万捨てていいかは別だし、3万拾えるなら拾った方がいいだろ!!」
「兄さんはノワの応援しないんですか、この薄情者!、もういいです、だったら一人で応援します、ノワー!!頑張れー!!」
ノワは緊張しているのか集中しているのか、モモの声も聞こえない程に視線をイクイクノックス選手に集中していた。
俺はノワには悪いと思いつつも、流石にこれは分が悪いと思いイクイクノックス選手に賭けたのであった。
──────────なのに。
「はぁはぁ、うおおおおおおおおおおお!!」
「はぁはぁ、せやああああああああああ!!」
「おおっと、これは────────クロスカウンター炸裂だあああああああ!!、なんとなんと、キリト様尊敬選手、大番狂わせて、イクイクノックス選手の無敗の快進撃を、打ち破ったああああああああああああああああああああ!!!」
「まじか・・・」
「きゃああああああああああああ、やりました!!、流石ノワです!!、すごいすごいすごい!!」
大方の予想に反してノワは、剣技だけの一発屋かと思いきや拳闘でも華麗な美技を披露し、10分にも及ぶ死闘の末にどう見ても格上のイクイクノックス選手を撃破したのであった。
「はぁはぁ、・・・いい拳だ、まさか、元ボクシング部の我がこんな若造に負けるとはな」
「修行の成果だ、間合いの管理を意識すれば避けられない攻撃は無いし、紙一重で避ければ、反撃のチャンスが生まれる、そんな修行の成果をこの試合で試せた、だから、運が良かっただけだ」
「運か・・・、若いな少年、胸を張れ、うぬは、我を倒した男ぞ、誰に遠慮する事なく、胸を張ればいい」
そう言ってイクイクノックス選手はノワに手を差し出し、ノワがそれを掴んで握手すると、会場は割れんばかりの拍手喝采で溢れた。
ノワも大分消耗している様子だが、イクイクノックス選手に勝てるレベルのプレイヤーはそうそういないので、次もノワで決まりかなと思っていたら。
「さーてそれでは本日最後の一戦、一勝するだけで100万貰える本日のラッキーボーイは──────────、グレェエエエエエエエエエト!、ゴンッ、ザレスゥウウウウウウウウウウウウ!!!、選手、どうぞ前へ!!」
「──────────え?」
一応説明しておくと、グレートゴンザレスとはペーパー○リオにおけるマリ○のリングネームであり、つまりは今回俺が設定したリングネームだった・・・。




