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10.信者ランク上げ

 次の日から俺たちは信者ランク上げに没頭した。

 と言っても、効率よく経験値を貰えるのが朝の合唱練習だけであり、聖書の暗記なんかも俺が頑張って満点取っても大した経験値にならないと知り、俺は信者ランクを2に上げた時点でランク上げをモモに丸投げし、ランク2の特権で利用出来る図書館で情報収集に没頭する事にしたのである。


 こういう図書館を使った調べ物は非常に重労働で面倒だったが、図書館に置いてある本の中には魔物の図鑑や世界地図など、興味深い資料も沢山あったので、時間を潰すという目的の上では、図書館はいくらでも時間を潰せる施設だった。


 そして図書館にいるNPCに聞いた所によると、信者ランクを上げて閲覧する事が出来る聖典や禁書は、高位の魔法や加護を授かる事が出来るとあったので、それを聞いて俺は結局効率の悪い信者ランク上げ作業に出戻るのであった。




「モモ、ここに来てもう一週間だが、信者ランクは今いくつだ?」


「ええと、今3の2割くらいですね、この調子だと5まで上げるにはあと1ヶ月くらいかかりそうな感じですけど…」


「やっぱりランクは上げる度に倍々方式で増えていってんのか、だとしたら厄介だな、この10階層だけで1ヶ月もかかるなら、ゲームクリアに何年かかるのかも分からねぇし」


「・・・しかも連合軍の精鋭部隊がまたボスに挑んで今度は全滅したらしいですし、この調子だと良くない事に巻き込まれそうです…」


「確かにな、みんな焦ってるのか、生き急いでるのか、何か信者ランクをバーッと上げられる方法とかあればいいんだけどなぁ・・・」


 俺たちは信者ランク2から利用出来る修道院の食堂で質素なパンとミルクを喫食しながらそんな会話をしていた。


 するとそこに一人の男が声をかけて来た。


「やぁこんにちは、見ない顔だけど、新隊員かな?」


「あ、どうも、先日入隊したばかりで、今は二番隊副隊長のカントンさんの所でやらせてもらってるマリオで、こっちは妹のピーチです」


 声をかけてきたのは連合軍No.2のオルト、それに気づいた俺は起立して挨拶した。

 それに対してオルトは下っ端相手にも関わらず温和で丁寧な態度で答えた。


「はは、そんなに畏まらなくてもいいよ、うちは上下関係厳しい組織だけど、僕は気にしないからね、顔を見て挨拶返してくれるだけで十分だよ」


 連合軍の他の連中と見比べるとびっくりするくらい好青年で人当たりのいい対応だったが、俺は態度を(くつがえ)す事無く、へりくだって質問した。


「それでオルトさん、何か御用でしょうか・・・?」


「へぇ、初対面の僕の名前を知っているんだね、君は優秀だ、っと、話がそれたね、ええと、君たちは今、信者ランクはいくつだい?」


 どうせカントンには適当な頻度で報告していて隠す理由も無かったので俺は正直に答えた。


「俺が2で、ピーチが3です、ここにいる他の人達がどんなもんかは分からないんですけど…」


「へぇ、もう3になってるんだ、今の時点で3に到達してる報告はたった1人だけ、あの膨大な暗記テストとゴミ拾いでランクを上げたんだとしたら、大したものだね」


「いえ、まぁ、それほどでも・・・」


 歌はモモの貴重な個性なので、身バレの危険を避ける為にもこれは隠しておくに越したことはないだろう。


「君たちは本当に優秀みたいだね、それなら話してもいいかな、実は、信者ランク経験値はね、お金で買えるんだよ」


「──────────え?」


「一応建前上として正攻法で攻略している(ポーズ)を取るために君たちには地道な作業に励んで貰っている訳だけど、信者ランクはお布施をしてお金で買えるからね、だから僕達は金策をしてお金を稼いでいるんだ」


 ・・・グランディスのメインクエストの一つに100万払うが含まれていた以上、ここで金を要求するクエストがある事は何もおかしくないが。

 だがランクを金で買えるというのも、神を信仰する宗教としてそれでいいのかと思わなくもない、いや、宗教だから金品をせびるというのもまた、真実なのかもしれないが。


「なるほど・・・、それでランクを買うのにいくら必要なんですか?」


「信者ランクを2に上げるのに100万だったからね、3に上げるのが200万と仮定すると、5に上げるのは1000万くらいかな」


「1000万、ですか・・・、でも、通行料をかけている連合軍からすれば、1000万はたった100人がトンネルを通過すれば稼げるお金ですし、団員1000人から1万ずつ徴収するだけでもいいし、だったら直ぐに用意出来るものなんじゃないですか?」


「そうだね、開始初期と違って今はみんなもそれぞれが収入を持っている訳だし、お金は集めようと思えば直ぐに集まる、でも、それで()()()()()使()()()は、直ぐに決められる話じゃないからね」


「・・・派閥争い、ですか」


「頭の回転が早いね君は、とっても優秀だ、まぁつまりはそういう事、大組織の宿命だね、だからもし、君たちがランク4に上がったなら、その時は僕に相談して欲しいかな、きっと力になれると思うから」


「・・・分かりました、その時はよろしくお願いします」


 俺がそう言うとオルトは手を振って去っていく。


 変装はバレなかったみたいだが、目をつけられてしまったのは災難と言えるだろう。

 だがその代わりに有益な情報を得た。


「金で買える、か、おいモモ、ゴミ拾いは効率悪いから午後は暗記テスト終わったら別の所に行くぞ!!」


「え、別の所って・・・どこですか?」





「決まってるだろ──────────カジノだよ!!」

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