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19.親睦会、的当て

「なんか、微妙な結果だったよね、あそこでギリギリ不合格とかだったら普通に笑えたのに、クリアする為だけの卑怯戦法使ってギリギリ合格して、特に喜びもせずに「ま、こんなもんだろ」みたいなしたり顔されたら、こっちもリアクションに困るというか」


「同意・・・」


「なんというか、トリになったんだからオチくらい担当してくれてもいいのにって感じでしたよね、「こんなん大した事無い」とか余裕の発言しておきながら結構ギリギリの癖に、それでしたり顔なんてされたら、こっちも何も言えないというか・・・、私、死ぬ気で勉強して補欠合格だった時なんて泣いて喜んだのに・・・」


「おい、悪口ならせめて聞こえないように言えよ、俺の心が傷ついちゃうだろ」


「無自覚に悪口言いまくってるモンスターの癖に人には手厳しいんだね、キリリンはさぁ、もっと自覚した方がいいよ、ボクやモモくん、そしてノワリンに対して放っている言葉のナイフの切れ味について」


「は?、お前らが奇人変人デスゲーム界の不適合者なのは事実だろうが、事実、ここまでお前らは寝ぼけた発言ばかりしてるのに、ツッコミ役が俺しかいない、これは俺が常識人でありお前らが頭のおかしい変人ばかりだという何よりの証だろうが」


 なんでゲームを普通にプレイしてクリアしただけなのに俺はこんなにも罵られているのだろう、いや答えは明らかだ、それはこいつらが全員まともなプレイヤーじゃないからだ。


「その変人とパーティー組んでる癖に自分だけは常識人だと思い込める君のメンタルには敬服するよ、そもそもキリリンは、なんで自分が他のギルドに入団拒否されたのか、心当たりは無いのかい」


「それは、俺がMMO未経験で、弱そうに見えたから・・・」


「でも実際のキリヲさんは弱くない訳ですよね、だったら、弱そうに見えたからっていうのは言い訳になるんじゃないですか」


「・・・・・・」


 グサリ


 俺の胸に、モモから放たれた言葉のナイフが突き刺さった。


「・・・大丈夫、わた、オレには分かる、団長も、ソロに憧れて、それで自分から断っただけ、オレには分かる、から」


「いや、お前のフォローとかいらんから、俺はお前みたいに引く手数多の選り取りみどりじゃなくて、ハッキリとお断りされた側だから・・・」


 正直、普通に考えたら、俺とノワのどっちが欲しいかと聞かれたら、100人中100人がノワを選ぶだろう、故にノワのフォローなんて気休めにもならなかった。


「じゃあキリヲさんはお断りされる悲しみを知ってるのに、ノワをお断りしようとしたんですよね、それって良くない事だと思います」


「ほんとだよ、自分もお断り系の変人の癖に、人の事ば〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っかり悪く言うんだから、キリリンもたまには悪口言われて中和するべきなんだよ」


 そんな風に、俺を悪者にする事で三人は急速に団結を深めていく。

 俺は自分がスケープゴートにされて団員が団結するならそれでいいかと思う事にしたが、それでもコミュ障のノワまで俺の悪口で盛り上がっているのは、(かしま)しい事この上無かった。





「次は的当てですか、弓道とか初めてやります」


「ま、弓道なんてあまり身近じゃないよな、俺はラウンド〇ンのスポッチャでアーチェリーやった事あるけど、中々難しかった」


「でもゲームだし、実際の弓とは違うんじゃないかな、どっちかって言うとFPSの狙撃銃みたいな扱いになるだろうし」


「FPS、苦手」




 そんな風に会話しながら的当ての施設に入ろうとすると先客がいた。


 長身で白髪のアバターをした若い男だった。


 タン、タン、タン。


 子気味良いリズムで着弾した矢は、移動する的の正鵠(せいこく)を射ていて、男がかなりの練度を持っている事がうかがえた。


 そして画面にパーフェクトの表示がされて、男が出てくる。


 無視するのもデスゲームの悪手になると思い、好感度稼ぎ目的で話しかけた。


「お兄さん、凄いですね、なんかアニメのアーチャーみたいで、とてもかっこよかったです、あ、俺の名前はキリヲと言います、いきなりすみません」


 俺は努めて、限界まで気を遣った態度で丁寧に男に挨拶をした。

 恐らく、ここまでへりくだった態度で接しられて不快感を持つ人間は少ないだろう、そんな挨拶で声をかけた。


 それに対して男は、後ろにいるゴミ共(なかまたち)に一度視線を向けてから、俺に返答する。


「丁寧にどうも、俺の名前はミトツだ、そんな風に褒められるとこそばゆいが、ポイントを合わせて放つだけの簡単なゲームだし、実物をやった経験のある身からすれば、大した事では無い、かな」


「いやでも、FPSとかでも狙撃手はセンスいるし、花形だし、やっぱりかっこいいです、あ、邪魔してすみません、良かったらフレンド登録してくれませんか、これでも一応、上位ギルド目指してるんで、仲良くなって損はさせませんよ」


 そう言って俺は頭を下げながらフレンド申請を送る。


「へぇ、ギルドなんだね、伏龍(ふくりゅう)鳳雛(ほうすう)、その両方を(よう)するギルドとは面白い、申請、是非受けさせて貰うよ」


 伏龍と鳳雛、騎士団長バスター戦で目立っていたレインとノワを表した比喩(ひゆ)だろう、そうなると俺の事も三国志の劉備(りゅうび)のように見えているのかもしれないが、一応俺の目指すポジは程昱(ていいく)賈詡(かく)みたいな隠れた伏兵タイプだし。

 それに俺は蒼天航路で三国志を知った邪道タイプなので、どっちかっていうと()推しであり、桃園の誓いや、劉備に対しても特に思い入れは無かった。


 男は俺とフレンド登録をすると、颯爽とその場を立ち去る。


 何気に俺の初フレンドになる訳だが、メンバーより先に登録する事になったのは俺の人徳の低さだろうか。

 そんな風に思ってたら、続け様に3つ、俺にフレンド申請が飛んできた。

 俺は黙ってその全てに『承認』を押す。

 なんとなく不満気な雰囲気を読み取ったので、言い訳っぽく俺は説明した。


「今のは強そうな奴に取り敢えず唾をつけとくっていう、活動方針に沿った必要な行動を取っただけだ、別におかしな事じゃないだろ」


「そうですね、おかしくないですよね、自分の団員にはフレンド申請しないのに、見知らぬお兄さんにはフレンド申請するのはおかしくないですよね」


 と言いつつ、モモの態度はどこか棘のある感じだった。

 そんなに強く仲間意識を持たれていたのだとしても、こっちはまだ親密度を深める事に対して手探りなのだから許して欲しいし、別に俺はフレンド登録したからと言って心を許した訳でも無いのだが。


「キリリンのフレンド童貞は知らないお兄さんか、なんというか、もっと男好きのしそうな美少女にあげるもんだと思ってたから、ボクとしても予想外だったよ」


「なんだよフレンド童貞って、俺が二週間近くプレイしてフレンドが一人もいない寂しい奴だと思ってんのかよ」


「逆に一人でもいるなら逆立ちして謝ってもいいよ」

「友達厳選するとか言って誰とも友達になれなさそうなタイプですし」

「・・・同意」


「くっ・・・」


 誠に遺憾な事だが、俺はこいつらに俺の人間としての底を見抜かれているようだった。


 俺は逃げるように的当ての施設に入っていき、一回300グランの的当てに挑戦する。


 元々FPSゲームや狙撃が好きだったというのもあって、ここでも俺は上級をクリアした (レインはここでもパーフェクトを取った訳だが)のであった。

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