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プロローグ

注意事項、読む方によっては不快な描写が多々出てきます。

人の死、流血、人の醜さから起こる事件など。

さらにはBLと思われる要素ややり取りが出てくることがあります。

一人称や口調が判別しにくいのはお察しください…。

「残りわずか…」

 そんな声を夢で聞いた気がする。



 目が覚めるとそこは自分の部屋のベッドの上だった。

 部屋はまだ暗い。

 枕元の辺りを手で探り、スマホで時間を確認すると夜中の3時だった。

 なんとも中途半端な時間だな。


 しかし高校は夏休みに入ったばかり、多少生活リズムが変わっても問題はないだろう。

 そう思ってベッドから起き上がり、ステンレスのラックに無造作に置かれた財布を手に取る。

 この時間なら家族は寝ているだろう、起こさないように注意しながら階段を下りていく。


 俺は津田大和。高校2年の17歳だ。

 両親と大学生の姉、小学生の妹と暮らしている。

 成績は中の中、周りより少し体が弱いが生活に困ることはない。

 顔は悪くはないが花がないと姉にいじられる程度だ。

 アニメと漫画、ゲームやラノベが大好きなオタクだが人付き合いは良いほうだと思っている。


 ふと玄関の棚の上に目が行くと花瓶が倒れていた。

 水が辺りに飛散し、投げ出された花は力なくしおれている。



 確かこの花は、母親の誕生日にと妹が数日前にプレゼントしていた覚えがある。


 非常に面倒だが見てしまった以上は放っておくわけにもいかない。

 雑巾で軽く周りを拭いて水を入れ替える。花を拾い上げて花瓶に戻していく。


 花を水に入れるときになにかやり方があったような気がするが、まあ知らんな。


 小腹が減ったのでコンビニで菓子類とお茶を買い込むと足早に帰宅する。

 部屋に戻ったら昨日届いたゲームでも開いてみるか。

 そんなことを考えながら玄関を開けると出がけに片付けた花瓶の花が目に入る。

茎と葉は真っ直ぐに伸び、花びらは大きく開いている。

 

「おお、大丈夫そうだな」

 静かに階段を上がり自室の扉を閉めると、部屋の中央にある小さいちゃぶ台の前に座ると、買ってきた菓子類を並べてベッドを背もたれ代わりに寄りかかって軽く伸びをする。

 宅配便の箱を手に取って開封すると中には二つのケースが入っている。

「こっちが新作で、こっちは待ってたゲームの続編…、さて、どちらからプレイするか」

 パッケージをそれぞれ手に取り見比べようとした、その時


「残念ですが限界が来てしまったようです」 


 聞きなれない声がして身構えようとした瞬間、視界が暗転した。

「停電!?」

 慌てて部屋の入り口にある電気のスイッチに向かおうとするが、妙な浮遊感で力が入らない。


「津田大和さん、落ち着いてください」

 やっぱり誰かいる!?

「誰だ!?」

 引け腰で慣れないファイティングポーズを決めてみるが何も起こらない。

 その時、右手に何かが触れたような感覚がして慌てて振りほどこうとすると、

「落ち着いてください!」

 手をぺちっと叩かれ怒られた。


 恐る恐る声のする方を見ると、俺の肩くらいまでの身長の少女が俺の手に自分の手をそっと添えて立っていた。

「やっと会えましたね」

 その声は声変わり前の少年のように高く澄んでいて、青みがかった光沢のある銀の髪は少女の腰の辺りで毛先が揺れて柔らかい印象を受ける。

 まつ毛の長い大きく少し眠そうな瞳は髪と同じ透き通るような銀、目の上で切りそろえられた前髪はまるで西洋の人形のようだ。

 形のいい鼻とふっくらとした淡い桃色の唇が色素の薄い少女を健康的に見せていた。


「夢か」

 こんな美少女を生み出してしまうなんて俺の想像力も中々のものである。

「夢じゃありません。貴方はたった今魂の限界を迎えて死んでしまったのです」

 少女は残念そうに俺に告げる。


 死んだ?なぜ?

 俺は今自室でくつろいでいたはず。

「心当たりはありませんか?」

「ありません」

 即答すると少女は深いため息をつき、言葉を続ける。


「貴方には魂に刻まれた治癒の能力があります」

 少女がそう言った時、目が慣れてきて辺りが見えてきた、が、視界に広がるのは無数の星屑の浮かぶ宇宙。

 左右を見回しても足元にも見えるのはプラネタリウムを上下反転したような景色だった。

「なにこれ!落ちる!?」

 それより空気!

 反射的に息を止めて鼻を押さえる。

「落ちません。ここは宇宙とは似て非なるもの。貴方は魂だけの存在になったのです」


 魂だけ?


「貴方は花を蘇らせる為に治癒の力を使い果たし、その代償として魂が消耗して亡くなったのです」

「花!?あれだけで!?」

「もちろんそれだけでは死んだりしません。先ほどから申し上げているように貴方には治癒の力があるのです」

そんな力使ったことないんですけど?しかも仮にあったとして、憧れの異能が回復系?

「貴方はその強大すぎる魔力ゆえに制御できずに幼いころからその力を無意識に酷使し、あまつさえ自分の周囲に治癒の結界を張り続けたのです」

「なにそれ…魔法を垂れ流して力尽きたって事?」

「そうなります。今まで違和感を抱いたことはありませんか?ご自身以外の者の回復の速さ、怪我の少なさに」



 確かにそれはあるのだ。

 少し前に一週間後に空手の昇級試験をひかえた妹が遊んでいて側溝に落ちて全治3週間の骨折をした。

 怪我をした箇所が足だったので試験は絶望的かと思われたが、三日後には自力で歩き無事に試験を受けて昇級したのだ。

 その時俺はドアにぶつけた足の小指の腫れがなかなか引かずに妹を化け物だと思った。


 それだけじゃない。俺が小学生の低学年の頃、祖父母の家に遊びに行ってはしゃいだ姉が道路に飛び出し車に接触し、周りの大人も俺も心配で駆け寄ったが本人は無傷でピンピンしていた。

 俺はその時慌てて駆け寄った拍子に転んで膝を擦りむいてなかなか治らなかったので姉を化け物だと思った。


 え?そういうこと?


家族や周りからは俺の身体が弱いと散々バカにされてきたが、もしそれが俺の無意識の治癒能力とやらのおかげだとしたら、謝って感謝してほしい。


「それで、トドメに花の延命?」

「はい。魔法というのは元々魂を対価に発動させるもの。特に貴方のいた世界では魔法の成分が大気に存在しない為、魔法を使おうとすると相当な負担がかかったことと思います」

「待ってくれよ!それならなんでもっと早く教えてくれなかったんだ!」

 知ってたらきっとアレを、こう…、うん!どうにかしてなんとかなったかもしない。たぶん。

 それを聞いた少女の眼光が鋭くなり空気が冷える。

「再三注意しましたよ…」

「へ?」

「私たちは生者に直接干渉できないんです、そのルールを破ってまで注意したのに、貴方は毎回夢だ!異能だ!美少女だのと!」

 穏やかだった少女の口調が厳しくなる。

「ご、ごめんなさい」

 その勢いに思わず謝ってしまった。


 そういえば、たまに見る起きたらすぐ忘れてしまうくせに妙に気になる夢があった。

「あれか!!」

「そうです!!」

 なんで忘れるんだ俺は!

 知らずに異能に目覚め、垂れ流しで死んでいく…不幸すぎる!



「それでですね、本日は津田大和さんに転生のお勧めをする為にこちらに来ていただきました」

「転生のすすめ?」

「はい」

ここまでお付き合い頂きありがとうございます。皆様の読解力任せの誤字脱字の目立つ拙い文章を読んで下さり感謝します。

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