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2話目 動き出す策謀

新しい社を解放して一週間が過ぎた。

季節もだいぶ秋が深まって来た。

朝晩も随分涼しくなり、特に涼しい朝などは吐く息が白くなってきた。


今いる仮のキャンプは死神さんと、ソニア、乙姫様(定着)、リンカさんら土魔法術士たちにより随分と改築が進み、元の1081基地のキャンプと遜色ないほど生活環境が整えられてきた。


俺の部屋も当初はやっぱり男3段ベッドのみ本棚倉庫だったが、ソニアに泣きついてた結果、俺だけ小さいながらも個室を持つことができた。


他の男2人、熊さんとカメさん(こちらも定着)はそのまま3段ベッドで寝ることに。

と言っても、その二人は日中はここにいても夕食頃になるとだいたいは教会本山に帰って行くからだ。


エリナも俺と芦高さんと一緒にずっとここに留まっている。

エリナは俺とは違って教会本山に帰っても何の問題もないのだが、旅団の駐留要員同士という名の新婚同居生活を満喫しているようだ。


一度ここは最前線なので危ないから教会本山に戻っては促すと、別の女を連れ込むつもりでしょう、この浮気者となんとか物凄い剣幕で詰め寄られてしまった。

それ以降は戻れなんて言うことは禁句となってしまった。


そんなエリナは外にあった仮設炊事場を、これは乙姫様にお願いして、キャンプの建物の中に調理場を作ってもらっていて、エリナの城というような様相を呈していた。


ちなみに俺の部屋の5倍はあるぞ。

まぁ、俺の部屋は基本的に寝るだけだけどな。


当然、エリナがここで同居しているということは、ソニアもお兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒に居たいと言って、何とか秘書の特攻隊長を説き伏せ、3時のおやつの時間になるとおやつと夕飯の食材ともにここにやってきて、次日の朝に仕事で教会本山に戻るという生活をしている。


ソニアが夕食の食材を持ってきてくれるので、俺たちの夕食は第1軍団の駐留部隊から分けてもらっているキャンプ飯にエリナの手作りメインとデザートがプラスされるという豪華さだった。


キャンプ飯を食べている第1軍団の皆さんにはちょっと悪い気がしたのだが、どこで聞きつけたのか俺が職校寮に戻れない理由が知れ渡っているため、逆に同情されてしまった。


ただし、一部の独身者には新婚生活をこんなところで始めやがって、見せつけてんじゃねぇよと言う親の仇を見るような目で見られていることも確かにある。


一方、ソニア私設親衛隊の方々はこの状況を非常に好意的にとらえているようである。

ここではソニア様により身近で接することができることを感激しているようだ。


そのため俺たちのキャンプには付け届けのお菓子があふれていて、さすがのソニアでも食べきれない分は午後に訓練に来る職校チームズに下げ渡しているようだった。


それを職校寮、特に女子寮で格安に売って臨時のアルバイトにしているとのことだった。


特攻隊長と死神さんは午前中は教会本山の魔法協会での仕事をし、午後はできるだけこちらに来て俺たち第3小隊と職校チームズに魔法の訓練をしてくれていた。


熊さんは午後になると暇なのか必ずここにいて魔法の訓練がない日は剣技を教えてくれていた。

そして、夕方になると教会本山ではなく、門前町の飲み屋に帰って行くのだった。


俺たち第3小隊は午前中第1軍団の計らいで駐留軍の教育係より講義をしてもらい、午後は職校チームズと実技訓練をしていた。


このように、生活する場所が魔族との戦闘地帯の最前線という以外は普通の職校生と同じような生活を送っており、平和な1週間が過ぎて行った。


そして、ここ1082基地の社を解放して、8日目の朝。


死神中隊長が旅団メンバーと職校チームズ+おまけのボルガをここ1082基地にある俺たちのキャンプのリビングに集めた。


「みんな、おはようございます。第108旅団のミーテイングを始めます。」死神中隊長


あれ、何気にボルガが旅団メンバーとして入っている。

遂に君も死神さんに巻き込まれたか。南無~ぅ。


「申し訳ないが、次の作戦行動が終わるまで、全員ここに留まってもらう。


作戦行動の第一は前方の偵察だ。

魔族の社か師団レベルの駐留軍を探してほしい。


側面や第1081基地までの間にはもう魔族の社がないのを確認している。


あるとすれば前方だ。

方向的にはいま第2軍団の最前線に合わせるところ、前方約3kmまで我々の最前線を押し上げたい。

そこで第2軍団の最前線と一直線につながるわけだ。


ここにはこれから第21師団が駐留する予定だ。1082基地の防衛をお願いした。」


お願いしたんじゃなく、ほぼ命令でしょ。

例の旅団設立時の取り決め書はほんとに凶悪だなぁ。


第1軍団もかわいそうに。

ここを防衛しても第1軍団へのメリットはないな。

まぁ、人類の領土を防衛するという高い志の方々にとっては苦痛じゃないだろうけどね。


「まずはこの偵察を3日間で行う。

もちろん、目的のものを発見した時には第21師団と共同で敵を殲滅する。


その時の留守番は基本第41師団で、場合によっては別の第1軍団所属の1個師団が着任する予定になっている。

偵察は午前が第1、2小隊と卒業したいチーム+おまけのボルガ。」


ボルガはおまけだ。そのうち名前がおまけになってしまいそうだ。

気を付けろ。ぼーっと生きているとおまけになっちゃうぞ。


「午後は第3小隊と竜宮チーム。」

竜宮チームだって。書記長は乙姫様だからいいけど、生徒会長はタイだぞ。

副会長はカメだ。


副会長のカメはこの間の特攻隊長詐称事件でそう呼ばれるのが妥当というか、ゴミだのGだのになるところをカメで止めてもらって超ラッキーだぞ。


でも、会長のタイはかわいそうだな。

と思って、さっき聞いたら、初めて他人にあだ名を付けてもらってそう呼ばれることがすごくうれしいらしく、タイ可愛いわねと一般人には何かわからないツボにはまったらしく、ケラケラうれしそうに笑っていた。


本人が良ければいいだろう、もうタイで。


「それではただいまより作成合同に移る。午前中の探索隊は用意をして20分後に集合。」


「あと、あれを忘れているわよ。死神ちゃん。」

「あっ、ごめん、外に出るのに日焼け止めを強くすることに心を奪われて、辞令を忘れていたわ。


シュウ小隊長とエリナ隊員は前に出なさい。

あなた方に軍司令部より辞令が出ています。


今回、第108独立旅団所属のシュウ小隊長を2つの社を魔族から解放した功績により、軍位を剣士14級から剣士10級に昇進する。


今回、第108独立旅団所属のエリナ隊員を2つの社を魔族から解放した功績により、軍位を術士13級から術士9級に昇進する。

、以上だ。


シュウ、エリナ良かったわね。

これで見習いじゃなく正式な軍人としての階級になりますね。

給料上がるし。


しかし、4階級特進か。死亡時でも3階級なのにね。

軍も気前が良くなったじゃない。忖度なの?

まぁ、給料が上がることは良いことだわね。


それでは以上で、ミィーティングを終了します。


それでは午前中の偵察部隊は予定通り20分後に装備を整えてここに集合して下さい。


午後の偵察部隊は午前中はまず装備を確認して、余った時間は自習にしますか。

竜宮城チームは卒試の準備も必要だろうし。


明日は訓練要員を確保しておきます。第21師団からね。


それでは解散します。」


「えへへへへっ。

これでマイホームへの道をまた一歩進んだわね、

ダーリン。魔力溜めのアルバイト料を含めてどんどん稼ぎましようね。


後、引退まで魔族の将官2体だし。

えへへへへっ。」


どんな皮算用をしているんだ、顔が悪徳商人になっているよ。せっかくの美少女なのに。


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