シュウの教会奪取 ここがおばちゃんの故郷なの? 1話目 マジな死神さんが俺の部屋で茶をすすっている図
新章なのだ
今日、開放した社の脇に死神中隊長と書記長がキャンプ用の簡易宿泊施設を急遽建設していた。もう直ぐ完成しそうだ。
その隣で、これも急ごしらえなのが明らかに見て取れる仮炊事場でエリナが夕食の準備をしていた。
ピッザァはすでに準備ができていた。
今は野菜スープにひき肉の塊をスプーンですくって肉団子として入れているところだった。
「いい匂いだなぁ。旨そうだなぁ。俺、腹減ったよ。」
俺はスープをのぞき込み、匂いを嗅ぎながらエリナに甘えるように言った。
「うふふふ、おいしそうでしょ。このピッザァもあとは伸ばして具をのせて焼くだけね。
そういえば、焼き係の鯛さんはどこ行ったのかしら。」
鯛さんだって。まだ、浦島太郎さんの続きをやっていたんかい。
「ごめんなさいね。向こうで、少し魔法の制御訓練をカロラさんに見てもらっていたの。カメさんも一緒に。」鯛さんは生徒会長
特攻隊長はカメをいじめる役か。はまり役すぎだ
カメさんの様子がかなり心配だな。
まぁ、死神さんと乙姫さんの組み合わせの方はあり得なくて何をするのか想像ができないが。
ちなみに、エリナが平目で俺がカレイの役だった。
刺身の妻のようなもうどうでもいい役だな。
いなきゃ寂しいってだれか言ってよね。
エリナが料理するのを待てをくらったワンコのようにガン見していると、残りの旅団のメンバーがやって来た。
熊さんと飼い主の我が妹のソニア、卒業したいチームになぜかおまけでボルガ。
「お兄ちゃん、また、魔族から社を解放したんだってね。
今度は生徒会チームと一緒に。
何故私と一緒の時に解放しないかなぁ。プンプン。」
おおっ、ソニア今日の朝ぶり。ちゃんと仕事してたか。
お菓子ばっかり食ってると虫歯になるぞ。
でも、その目いっぱい膨れたほっぺはエリナとまた一味違ってかわいいね。
「ところでボルガは何故ここに? 」
「旅団の訓練施設でシュリさんたちとチーム間の連携を確認してたら、まず、指導してくれていたカロラさんと中隊長が呼び出されていなくなってね。
しばらくしてから旅団メンバー全員、今日解放した社に集合しなさいとの命令が届いたんだ。
僕もシュリさんの半チームメイトみたいになっているので、ソニア様に一緒について行っていいか聞いたんだ。
そうしたら、旅団のチーメンバー(仮)なんだし、いいんじゃないかと言われたので、一緒についてきたんだ。
シュウ君、すごいね。また、魔族から社を解放するなんて。」
「ボルガは旅団に入るつもりなの? 」
「入りたいけど、まだ見習い聖戦士になったばかりだし。
でも、卒業したらきっと入るよ。このところ、シュリさんたちとずっと訓練してるし。
シュリさんたちが卒業しても一緒に訓練させてくれるかなぁ。」
「それは大丈夫でしょ。見習い聖戦士が自分からチームに飛び込んでくるなんて、普通はあり得ない幸運だし。
でも、シュリさんはボルガが見習い聖戦士でも、門前町の普通の男の子でもボルガのすべてを受け入れてくれると思うけどなぁ。
ところで、ボルガはシュリさんとペアを組むつもりなの? 」
「そのつもりだけど、戦闘になったらシュリさんの風魔法だけじゃなく、戦いに必要な魔法を転写してもらって使いたいなぁと思っていてね。
だから訓練の時はリンダさんとリンカさんにもペアになってもらって、転写魔法の訓練をしているんだよ。」
「へぇー、ボルガがハーレムの王となるとはねぇ。うらやましい。」
「何を言っているのシュウ君。
君にはエリナさんがいるでしょ。
エリナさんに結婚宣言と結婚の誓いをしてもらったとのうわさが流れてきて、どれだけ職校寮の男子が泣いたと思っているんだ。
あとはソニア様のこともあるだろ。
もう呼び捨ての愛人関係かとのうわさが挙がっているよ。
ソニア様も今のところはお兄ちゃんと呼んでいるけど、いつパパに変わるかもしれないと思うとシュウをギダギダにしたいと私設親衛隊の連中が息巻いたいたよ。
軍の新人研修係のお姉さんなん、のこのこ目の前にやってきたやつをあの時に殺っとけばと血の涙を流さんばかりに後悔しているらしいし。
本当のところはどうなのかなぁ。」
「妹だ。それ以外の何物でもない。
ソニアを嫁にしたいやつは俺の敵だ。全魔力を使ってのサンダーランスをそいつの頭にぶっこんでやる。
ソニアは絶対嫁にやらん。ガルルルル。」
「ソニア様と親密に付き合っていくつもりなら、もうしばらく教会本山に帰ってこない方がいいよ。
職校寮のシュウの部屋の前は今地獄のトラップ地帯と化しているよ。
部屋が一階の一番端っこだからまだいいけど。
そういえばこの間ぺーテル君がうっかりシュウ君トラップを踏んで、ロープで逆さづりになり、次の瞬間に本気の矢が頭を目がけて飛んできたらしいよ。
間一髪、体をひねって逃れたらしいけど。
さすがは接近戦のスペシャリストだよね。
ぺーテル君でなく僕だったらと思うと。
ブルっちゃったよ。ほんと。
今度、職校寮に戻るときにはトラップにはまって拉致されないよう気を付けた方がいいよ。シュウ君。」
「おっ、おうっ。俺は職校寮に現れたトラか? 」
「姿が見えなくても、私の旦那様は皆の人気者ですね。
たまには職校寮に戻って、皆に元気なところを見せてあげた方がいいかも。人気者の役目です。」
エリナ、人気者を逆さ釣りにして頭に矢を突き立てようとするか?
「それじゃ、単なるいけにえか、飛んで火にいる何とかだから。」
俺が職校寮をずっと空けているうちに、俺の部屋はカオス状態になっているらしい。
廊下でそれだから、おれの部屋の中は・・・・・、死神さんのお友達の本物の死神さんがトラップに囲まれたちゃぶ台でお茶をいすすっている姿が思い浮かんだのですが。
そんな知りたくもない危険な情報に人知れずガクブルしていると、人間に近い死神中隊長とカメをしごいて満足したかのような特攻隊長が連れ立って現れた。
「みんなちょっと集合してくれないか。連絡がある。
鯛と平目は料理しながらでいいぞ。うっかり自分の指は煮込まないような。」
ばれているよ例のこと。
「本日、ここを第3小隊と生徒会チームが解放した。
ここの運営権は取り決めに従って、我ら第108独立旅団が持つ。
まず、前回の解放地とここのに仮称を付けることにした。ここ、あそこじゃや、やこしいからな。
初めの解放地を1081基地、ここを1082基地とする。あくまで、仮称だからな。ネーミングセンスをどうのとか言わないように。」
「はい、中隊長。」
「なんだ、乙姫さん」
まだ続いているのか?
「ここは竜宮城、初めの解放地はシンデレラ城がいいと思います。そうしますとここの管理者は当然、乙姫のわたし。
むふふふふふ。はははははっ。
聖戦士祭りが失敗したので、ハーレム建設に切り替えたわ。」
だんだん壊れて、それも嫌な壊れ方をしてポンコツになってきたぞ書記長。
「当然、却下。」
「なんで~ぇ。私は乙姫よ。ここ竜宮城のネーミング権があるはずよ。」
「他になければ最初の名前でいいな。」
完全にぶった切った。今度は特攻隊長だ。
「次に、1081基地と1082基地の運営は第1軍団に当面依属する。
我々はここ1082基地に仮設ベースキャンプを作り、次の作戦に備える。
尚、次の作戦が構想段階なので開示は控えたい。
旅団メンバーと職校チームは訓練に励むように。午後のパトロールも中止とする。以上だ。乙姫さん以外は質問を受け付ける。」
「なんで~ぇ。私だけダメなの」
芦高さんが乙姫さんの肩を足でトントンしている。
わかれよ、と言っているようだ。
「2つの基地が第2軍団ではなく、第1軍団に依属する理由は何ですか。」
カメさんは無事地獄のしごきから生還してたか。
「大人の秘密だよ~ん。」特攻隊長
何じゃそれは。
「聞くなということですか。」
「そうだよ~ん。」
「だよ~んだけではわかりません。」
「じゃ、乙女のひ・み・つ。」
「えっ、乙姫の秘密?
私の秘密は、メガネを外すと世の中がボヤけて見えること。」復活の乙姫さん
「わかりました。魔族に我々の存在ををボヤケさせる作戦ですね。
乙姫さんメガネを外しちゃった作戦ですね。
了解しました。」あくまでもまじめなカメさん
わかったの、ほんとに? 乙姫さんがメガネを外すだけの作戦なの。
「いや、私は乙女作戦だと称している。」
「今度こそ、理解しました。
特攻隊長の年齢詐称作戦ですね。
でもそれはちょっと、私は乙女と言っても誤魔化しきれないと思います。」
ピキッ。ピキピキピキッ。
何かがはじけ飛んだ。まずいぞ。
「エリナ逃げるぞ。大魔人物語の発動だ。もう誰も止められん。」
俺はエリナの手を引いて、逃げた。どこまでも。
あの向こうの丘に行くまでは安心できない。
パコーン。後ろで大爆発だ。
「さらば、カメさん。あなたの親切は忘れません。by 竜宮城の平目とカレイ」
「静かになったら、帰って、ピッザァと肉団子野菜スープ食べよ。」
ここで安定した天然さん。でも、俺の幸福の源。
「今の爆発に、スープが巻き込まれていないことを祈ろうか。」
「うふふふっ、スープが心配だから手を繋いで帰ろ。」
意味が分かりません。