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11話目 輪廻の会合と運命の会合

輪廻の会合が起こらなかったらどうなるの?

「このままにございます。

また、次の会合に向けて歴史が刻まれることになりましょう。

よって、ご主人様と奥様、そのお仲間たちに特別な災いが起こることはありません。

このままです。

このままで良ければ、輪廻の会合の秘密を特に探らなくても良いと思います。


先ほども私の片割れ、カビが言っておりましたが、まずは魔族の社を教会にすることが肝要かと思います。


この前、ボケが言っておりましたが、その時が近づいております。

かの方にお会いになれば今話した謎の一部は解放していただけるでしょう。

ボケはその場から逃げ出すと言っておりますが。」


メイドさんかなり怒っていますね。カビとボケ扱いだもんな。


謎は自分たちで解けか。

解けなくても何も変わりはしないか。

変わらなければいいか。


変わらない・・・、俺たちは奇跡的に輪廻の会合に向けて着実に進んでいる・・・・つまりもう変わり始めているということか。


俺たちで変えたこと・・・・・・・、何だ。

今俺たちで変えていること・・・・、半世紀ぶりの人類領土の奪回。

変わらない場合・・・・・・・・・、人類の生存領域の縮小。


次の輪廻の会合、つまり変革への道、人類解放へに続く道。

それが変わらないとすれば・・・・、近いうちに人類は滅亡の道をたどるかもしれない。


俺は考えろというメイドさんの言葉を糧にこれまでの自分たちで変えることができることを考えてみた。

そして、変わらない場合はどうなるかに思い至ったことで、背中に冷や汗が流れるのを止めることができなかった。


「ふふふっ、社の開放だけがご主人様が初めてなさったことでしょうか?

もっと考えてください。

もっと、もっと、もっと。」


「俺が初めてやったこと?

聖戦士職校に入らずに聖戦士になったこと。

寮の新歓で結婚宣言をしたこと。ああっ、あれはエリナの陰謀か。

かってに独立旅団を新設したこと。でも、あれも直接的には特攻隊長と死神さんがやったことだ。

おおっ、人類の至宝と言われるソニアを妹にしたこと。でもあれは愛人回避だし。」


「ふふっ、そんなこともございましたね。それもすべて輪廻の会合に必要かもしれませんよ。

ここまで来ると私にはそれが本当に必要かどうかは判断できませんが。

それよりも重要なことがあったような気がするのですが。

もっと、考えていただかないとなりませんね。」


もっと重要なこと。

吹雪を使ったこと。あれは父も使っていたしな。

双子の指輪を手に入れたこと。あれは誰かのお古だしな、引き継いだだけだ。


何だ、新しいこと。


おおそうだ、エリナと芦高さんだけで12魔将の率いる1個師団を全滅させたこと、俺強ぇーぜか。でも、これも3人でやったことだし、結果的には社の開放の方につながるし。


うーん。芦高さんをペットにしたこと。さすがに魔物を召喚はしても、ペットにしたやつはいないだろう。でも、エリナがペットにしたいと言い出したんだしなぁ。


「そうだ。それかも。」とりあえず同意して来る何も考えていないうるさいさん

「もう、かの方に聞きけば済むことじゃ。」思考を放棄して、さらにボケに近づくおばちゃん

「お嬢様、思考の放棄と他人任せはボケる原因となりますよ。」俺の考えを読んだ鞘氏

「うふふふっ。」優しく見守るメイドさん


芦高さんがペットか。

あったぞ、そうだそれもあった。ぜってい誰もやったことがないこと。


魔族をペットに、いや、魔族と共存の可能性、その道を探していることだ。


そんなことバカげたことを実践したやつはいないだろう。

しかも、俺一人じゃできない。おばちゃんやうるさいさん、メイドさんの協力が必要だった。


魔族とあの空間を使って共存することはみんながここに居て、一緒に力を合わせたからできたことなんだ。


人ではないけれど人と人とのめぐり合わせ、誰かが欠けてもできなかったこと、運命の会合が起こらないとできなかったことがあった。


「その通りでございますね。

奥様があの魔道具店でなく、別の魔道具店に入っていたら。

それよりもご主人様が別の日に故郷出発していたら、奥様が小川に手を入れなかったら。」


エリナとの運命的な出会いがなかったら、社の開放もなかったし、魔物と魔族をペットにすることもなかったか。


これは奇跡的な運命のめぐり合わせ、俺とエリナの運命の会合がなかったらできなかったことだ。


運命のめぐり合わせ、運命の会合か。それが奇跡を生むか。

「うふふふ。そり通りでございますね。」


「でもよ、それじゃ運命の会合にはなるが、輪廻じゃねぇよな。

俺も全然わかっていないがなぁ。


輪廻とは生きかわり死にかわりすること。車輪が回転して終わりがないように、転々と他の生を受けて、迷いの世界をめぐることか。


俺は輪廻の枠から外れているな。うーんっ。頭が爆発しそうだ。」


「そこまでにしましょうか。私もその真意はわかりませんし。

皆で考えていかなければならない試練の様です。」


うーん、運命の会合はなんとなくつかめたが、輪廻の会合かあ。

これを理解するのが一番の試練かもしれないな。


先は長いか。

「先が長い場合はどうするのが一番かのう。」


できることをひとつづつ積み重ねる、そして、流されずしっかりと自分で考え、自分の進む道を見極める。


「その通りだぜ、さすが俺のシュウだ。」


「あなたのではありません。奥様のです。

運命の会合を、いえきっと輪廻の会合を果たされたお二人は誰のものでもございません。」

ありがとう。メイドさん。


「・・・・・シュウ、シュウ、どうしたのさっきから呼んでいるの返事がないなんて。

まさか、魔族の闇魔法の罠にかかって、魂を闇で包まれてしまったとか。

シュウ、シュウ、社があったわよ。シュウ。」


「あっごめん、エリナいろいろ考えていてボーッとしていた。」

「もう、心配させないで旦那様。」


「えっ、ぼーっとしたまま。2kmも歩いてきたの。よくついてこれたわね。

わかった、エリナの香りを無意識に追って来たんでしょ。

ほんとエッチね、シュウ君は。」


「私の香りを追って来たの。それならわかるわ。

私も時々シュウのことを考えすぎてほっぺを手で押さえてくねくねしているようだけど、ちゃんと無意識にシュウの元に戻ってくるもの。

あれは無意識にシュウの香りを追っていたのね。」


「お前たちは犬の夫婦か。」書記長

「ほんと中のよろしいことで、うらやましいですわ。」

「臭いを追い合う夫婦がおまえはうらやましいんかい。」漫才化している生徒会役員


「ところで、シュウは何を考えていたんだい。」いつも冷静な副会長


「俺とエリナの運命の会合について。

あの日あの時刻に、俺が修行の旅に出発しなかったら。

そして、同じ日、同じ時刻にエリナが小川で手を洗っていなかったら。

この社の開放がなかったと思って。


この社の開放は俺たちだけの力じゃないけど、少なくとも俺とエリナの運命の会合がなかったら、今日、この時にこの社を解放することはなかったなぁと考えていました。


俺とエリナの運命の会合の意味合いについて。」


「私の旦那様はそんなことを考えていたのですね。

でもね、簡単なことですよ。


私とあなたはあと2体の魔族将官を倒して、社を教会にし、そのまま軍を引退。


解放した教会の一つを守りながら、家族を増やすの。

もう、エッチなシュウねぇ。でも夫婦なんだから当然の結果よね。

一緒に居れば。どんどん増えるわ。


そして、子供たち、孫たち、もしかしたらひ孫たちに囲まれて一緒に老衰するの。


これが私と旦那様が出会った運命の結果です。」


「相変わらずぶれないわね。エリナさんの夢は。

このままだと本当に来月には軍を引退しそうな勢いよね。」


「えっへん。私の旦那様は凄いんです。


後の魔族との戦いは生徒会役員の皆様にお任せします。

芦高さんはたまに戦闘に連れて行っもらわないと餌が確保できないので。

よろしくお願いしますね。」


「意地悪で聞いちゃうけど、老衰で亡くなった後はどうなるの。」


「二人で手を繋いで人生最後の川を渡って、別の生命に生まれ変わります。


でもねまた、運命的な出会いで一緒になるの。

そして、愛し合って、結婚して、また家族を増やして、家族に見守られながら老衰する。


この輪廻は絶対変えられないわ。

いえ、神様を脅してでも繰り返して見せるわ。ふみゃー。」


「さすが、シュウ君命のエリナさんね。でも、また人類として生まれ変わるとは限らないわよ。」

「ワンコでもにゃんこでも良いわ。シュウと一緒であれば。さすがにGは絶対嫌だけど。」


「人類に生まれ変わらないと僕たちと出会えないね。僕たちも人として生まれ変わるとは限らないし。


このメンバーで社を解放するのは今世限りということでしょう。」


俺はわかった、今のエリナと生徒会役員のやり取りで。


エリナと俺の運命の会合だけではダメなんだ。皆と運命の会合を果たさないと。


それは輪廻の中で生まれ変わるうち、今世にこの状態で運命の会合を果たしたから社の開放ができた、いや、もっと大きな流れを変えることができるのかもしれない。


輪廻の会合か、2000年ぶりに起こるという。

今の俺たちのような大規模な運命の会合が起こるのが2000年ぶりだということ言うことなのだろう。


まぁ、必ず俺とエリナが社を解放する必要がないので、このような条件がそろうのが2000年ぶりということなのだとは思うが。


俺はまた、思考の深渦に沈み込んでいった。


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