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8話目 大魔法を超える魔法

「敵の最後部、将官が含まれていますが、2kmに入りました。また、最前部は700mで停止して、縦横に動いて、陣形を整えている模様。」エリナ

「敵、本体以外の別動隊は確認できません。」副会長


「シュウ、攻撃開始、敵本体に雷属性フィールドを展開。」

「了解。」


再び、雷属性フィールドを展開した。


放電が白い稲妻となって、波のように押し寄せていく。

これに触れた木々はあっとい合う間に白い煙をあげて、やがて燃え上がり、最後には白い煙が立ち込める黒く煤けた木炭に変り果てる。


時々何かに当たって、たぶん金属を多く含んだ鉱石に近いものであろうか、バチッと火花が散る。

雷地獄、そして燃え上がり、火焔地獄とへ変化していく。


すさまじい魔力がこの地を地獄へと変えて行った。


シュウも教会本山にたどり着いた当初は魔力溜300基ほどであったが、成長期と言うこととそれと厳しいが効率の良い鍛錬、また、エリナと言う伴侶を得たことによる精神的安定と転写魔法を使う機会が非常に多くなったことが重なり合い、短期間で魔力が増大し、現在400基もの魔力溜に充填できるようになっていた。


魔法術士では飛び抜けて魔力量が多いと言われるエリナとソニアで現在45基、超が付くほどの一流の魔法術士である特攻隊長と死神さんが35基、最も魔力の多いと噂される聖戦士の熊師匠が75基。


シュウの魔力の1/3は約130基に相当するが、人類最強の魔法術士が全力で放つ魔力45基の3倍量となり、同じ条件で同じ魔法を使ったと仮定した場合にその魔法の強さは魔力3倍の3乗=27倍となる。

ちなみに、距離が遠くなるほど魔法の強さは弱くなり距離の2乗に反比例する。


シュウは今回自分を始点として前方120度、2kmまでと言う考えられないような広範囲に雷属性フィールドを展開したために単位面積当たりの魔力はだいぶ薄まってしまったが、過去に人類が経験したことのない強力な雷属性フィールドを発動したことは間違いない。


それをまともに浴びてしまった魔物と魔族こそいい迷惑である。

何か光ったと思った瞬間、痺れ、意識を失った。身に着けた金属がさらに放電を圧縮し、そして燃えていく。


雷属性フィールドは恐ろしい。

この身に着けた金属が放電を集め、さらに別の金属目指して雷光となって飛び出していく。

その濃縮されたとでも言うべき放電は自分だけでなく、周りの金属を身に着けた見方にも容赦なく襲い掛かる。


そして、光の連鎖となって、武器や防具を身に着けたものを次々と襲っていく。


一度、放電から免れたとしても、そんなことは雷属性フィールドでは起こり得ないことであるが、四方の味方から濃縮された放電が飛んでくる。


襲われた瞬間にスタンが自動発動し、麻痺するため金属の武器や防具、身に着けているものを体から外す暇もなく、焼かれていく。


そして、全てのものを焼き尽くし、漸く光の渦が過ぎ去った後ににはキラキラと光る草原ではなく、どす黒く焼け焦げた荒野だけが広がっていた。


「戦況を確認しました。

わずかな生命反応しかありません。


敵将官は最後尾にいたため、またおそらく闇属性ではないため、状態はわかりませんが生存反応があります。

ただし、逃げるような後退する動きは感じられません。

その場に待機しているか単に動けないかは不明です。」エリナ


「敵将官の位置は? 」生徒会長

「11時半、距離2kmです。」エリナ


「さあ、次は芦高さんの出番ね。

敵将官推定位置を中心に半径100mの範囲に高密度アイスランスを、芦高さんの魔力の1/3を使ってね。

用意はいいか、撃てーっ。」


芦高さんの魔力量はどのくらいか底がわかっていないが、おそらく熊師匠の倍はくだらないと思う。

芦高さんの保持魔力を最低でも魔力溜150基と見積もって、その1/3は50基。やはり人類最強の魔法術士の全力魔法を超えている。


それは俺の先ほどの雷属性フィールドと同じ、かつて人類が経験てことのないような大魔法となった。


それが距離があると言っても俺の雷属性フィールドのように1個師団を包み込むように魔法を発動するのではなく、わずかな範囲に大魔法をぶち込んだらどうなるか。

多少の氷耐性では全く無意味である。


芦高さんの発動したアイスランスは一本一本が確認できないほど、ほとんどひと塊と言った様子で生徒会長が指定した場所に飛んで行った。


その着弾位置まではここから比較的距離があったため、音のみによってその着弾と威力を知ることになった。


一言「うるせーっ」とだけ心の中で思った。周りの音など聞こえないほどの大騒音である。


後に聞かされたことでが、隣に地域に展開している第2軍団の最前線にいた部隊までも余りの爆撃音に思わずこちらを振り向いたとという。


特に、風魔法術士で敵の探索を担当していたものはその爆撃音で鼓膜が破れたそうだ。

あちこちでハイヒールやヒールを発動し、第2軍団の最前線全体が淡く光ったのは笑い話として将来まで語り継がれることとなった。


ちなみにエリナと副委員長は芦高さんが転写魔法を発動した瞬間に風魔法を停止、耳を塞いただため無事だった。


「エリナ、そろそろ敵将官の動向の探索を再開して。」生徒会長

「敵将官の生存反応は確認できません、と言うか芦高さんの魔法が落ちたところには何の生命反応も感じません。」


「副会長、戦闘地域以外の敵の動向も確認して。」

「今のところ、単体の魔物らしきものは感じられますが、魔族軍にコントロールされている個体ではないと思います。」


「わかりました、それではこの戦闘は我々の完勝ですね。

まずは将官の魔石の回収に参りましょう。


その前にもう一度今回の戦闘地域周辺の探索をお願いします。


エリナは敵別動隊と魔族の社がないか探策を。

副会長は教会との連絡を再度試みて。

書記長は私たちの先20mを囲むように石の防御壁を。

他は目視警戒を。」生徒会長


「芦高さん、とりあえず休憩して、背中の餌を食べちゃって。できればみんなから見えないようにね。


そして、もし、生きている魔族がいたら教えて。おばちゃん空間に送り込むから。

ペット魔族さんとの約束があるからね。」

「ぴぴぴきゅぴ、きゅぴぴ」

「わかったって。ちょっと出かけて周りを探してみるって。」


今回も何とか敵将を葬ることができた。

緑の魔石と社が手に入ればいいけど。


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