4話目 新人聖戦士職校生の歓迎会 生徒会主催編
「えっ、ポルガがなんかやらかしたの? 」
そこまで話が及んだ時に丁度、Wリンが戻り、また、エリナもサンドイッチとお茶を5人分用意してリビングに入ってきたところだった。
「・・・・リンカ、ボルガ君の昨日のことを説明してほしい・・・・・」
「わかったわ。あの新人聖戦士職校生の歓迎会でのことね。」
「・・・・うん、生徒会役員が倒れている原因・・・・・」
「昨日は予定通り、18時から職校の講堂で聖戦士職校の新入生歓迎会が行われたわ。
食事とお祈りはほとんどの人は済ませてくるの。じっくり楽しむためにね。
生徒会の挨拶、新入生の紹介などの型通りの新歓は順調に進んだわ。
新入生の紹介の時の目が異様にぎらついた見習い魔法術士の黄色い声援とドスのきいた声援があるのが見習い魔法術士の新歓との大きな違いね。
私たちのようなペア獲得諦め組は、今の時期では見習い魔法術士の8割はそうなんだけど、まぁ、こんな型通りの式はどうでもよくて次のペア宣言と争奪バトルが楽しみなのよね。」
「今年はペアの候補が4人になんだよな。
シュウはエリナと結婚宣言の後、さらに魔王様直々に結婚式がすでに執り行われたとのうわさが流れたのでペア候補から完全に外れちゃったしよ。
うらやましいぜ。俺もペアはいらないから、男が欲しいぜ。」
「おっほんっ。リンダの男狩りの件はとりあえず置いといて。
4人のペア候補の一人目は見た目もかっこよい、女子一番人気のペーテル君だったわ。
彼はペア候補として、4人の名前を挙げたわ。
4人は職校生1年生で同じチームを組んで活動を始めたばかりみたいなの。
隣で見ていた同級生によると彼女らは1年生でも優秀な子たちらしいわ。
そのチームに入って、自分と相性のいい子を探すらしいわ。
まぁ、結論の先伸ばしね、穿った見方をすれば。」
「まぁな、あのチームでペアが決まったとたんに確実にチーム崩壊だな。
ペーテルの野郎が八方美人しやがって。この場合は4方美人だがよ、まぁ実際かわいかったしな4人とも、悔しいぜ。
まぁ、仲良しチームの継続よりも男の獲得に走ったバカ小娘どものことなんて同情しないけどな。」
「と言うことで、ペーテル君の意向を組んでしばらくはペア決定は延期。
当然争奪バトルなし。」
「二人目は俺の様なイケイケねぇちゃんの確か・・・・」
「ボルバーナかな。」
「そうだ、そんな名前だったぜ。あいつは何か親近感を通り越した先にある同族感を感じて、ちょっと嫌悪感があるな。」
「でも、リンダさんはあいつのように完璧な筋脳じゃなく、ボーイッシュな感じだと思います。
戦闘になると冷静に前線で判断して行動しますし。」
「おおっ、シュウ、わかっているじゃないか。かわいい奴だな。惚れそうだぜ。
でもお姉さんは騙されないからな。そうやって、愛人を増やしてハーレム作るつもりだろ。おれは一途なんだよ、こう見えてもな。
あーあっ、エリナのホッペが膨れたぜ。
だからお前のシュウは取らないよ。安心しろよ。」
「・・・・・」
「ぷくぷくぷく、ぶーっ。」
「リンダの愛人問題はひとまず置いといて、ボルバーナさんのペア宣言はちょっと変わってたわね。」
「ああっ、俺はどうせならあのやり方が好きだな。」
「ペアを指名すのではなく条件を出していたわね。
その条件にあてはまるのなら、よっぽどでなければペアを組むと言ってたわ。
確かに清々しいと言えば聞こえがいいけど、考えるのが面倒だったんじゃないの。人間性の面を。」
「で、その条件と言うのは何でした? 」
「まず、男であること。」
「えっ、男ほしい丸出しじゃないか。」
「だから、清々しいと言ったじゃねぇか。まぁ、この欲望丸出しのところでひ弱な男と、女は除外されたわけだ。
次が炎と土の魔法術士であること。攻防一体の転写魔法で戦いたいんだってさ。
いなければ、炎と風でも良いと。
職校生にはいなかったな、炎と土。白魔法協会全体でもいるのか炎と土。俺は聞いたことねぇぞ。」
「でね、結局、炎と風の3人がペア候補として立候補したわ。いつもの逆ね。
それで次の争奪バトルがものすごくてね、生徒会が用意した方法じゃなくてね。」
「自分のペアを選ぶんだから、他人任せでなく、自分で納得できる方法で選ぶのが自然だろ。俺がボルバーナの立場でもそうするぜ。多分な。
本当にその立場になってみないと自信はないけどな。」
「その方法と言うのは? 」
「ボルバーナと戦って、勝つことだって。武器だけで戦って。」
「まじですが。ボルバーナの槍術は半端ないですよ。
入学試験前に訓練として模擬戦をやりましたけど、俺、なかなか勝てなかったもんな。」
「でも今の旦那様なら、熊師匠に鍛えてらっているので苦戦はしないと思います。ほーんと、かっこいいんですからね。私の旦那様は。ぽっ。」
「・・・・・何気に旦那自慢をぶっ混できたよ、大福ちゃんが。けっ。」
「・・・・・」
「・・・・・もうお腹いっぱい。サンドイッチ残す・・・・」
「もうエリナはとりあえずほっといて、続けるね。
結局、男どもは誰も勝てず。ボルバーナさんの完勝だったわ。」
「・・・・瞬殺されてた。上級性もいたのに情けない・・・・」
「で、その後どうなったんですか。」
「結局、その3人がペア候補生として3ヵ月後に再戦することにしたの。
その中で一番強いものとペアを組むとの宣言だったわ。」
「後はその中でだれがペアになるだけか。きっと、これから見定めて一番自分にあった人を選ぶんだろうな。」
「「そんな面倒なことを彼女がするわけが、ございません。再戦して、一番強い人になります。」」
俺とエリナにはボルバーナがそんな戦術的な選択をすることはないことを知っていた。あいつはただただ強さだけを求めるに違いない。
「むしろ、ペアになった後が大変だと思います。毎日、ペアで模擬戦ですよ、きっと。」
「ペアになると魔法より物理攻撃を強化されるのか。それはペアと言えるのか。」
「物理ペアと言うことだわね。まぁ、新しいペアの形と言うことで、生暖かく見守ってあげましょうよ。」
「次は誰だったんですか。」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「どうしたんですか。急に黙って。」
「まず、確認させてくれ。シュウの同期の聖戦士見習いは、そのなんだ、言葉が悪かったら許してくれよ。
・・・・・まとものやつはいないのか・・・・」
「えっ。」
「旦那様は強くて、優しくて、頭が良くてと言う意味ではその辺にいる普通の聖戦士と比較すると、非常に優秀で稀有な存在です。ぽっ。ぽっ。」
「まぁ、シュウのことはいい。エリナが付いていることだしな。
しかし、あいつは何だ、アリーズとかいうやつはよう。
あんな奴初めて見たぜ。」
「・・・・・鞭で床をたたきながら、壇上に上がって、いきなり高笑いしていた。・・・・・、「おっーほほほっ、おっーほほほっ」て言ってた・・・・」
あっ、シュリさんが2行もしゃべった。俺はそっちに感動した。
アリーズは単に本性が出ただけ、女王様気質と言う。別に驚くことはないと思う。
模擬戦では鞭を持つと必ず高笑いをしてから攻撃をして来たもんだ。
慣れ、慣れ。
「で、アリーズのペア宣言しどうなりましたか。」
「登場の仕方はあれでしたが、実はアリーズさんが最終的には一番まともだったかと。」
「鞭を掻い潜って、最初に彼女をお姫様抱っこした人がペアになったとか? 」
「シュウ君、それは夢を見すぎ。」
「俺だったらそれで婿探しでもいいぞ。夢追い人と言われてもいいぞ、もう。」
「結局、彼女は一人の男の子を指名したわ。土壁の1年生。すごい気弱そうな、まるで次のボルガ君みたいな感じの。」
「指名は一人だけ? 」
「そうだったわ。」
「理由は言っていましたか。」
「詳しくは言っていないけど、アリーズさんはご想像にお任せするだって言ってたわ。」
「ペアの男の子の方は何か鞭の感触がどうのと、普通の人が聞いてはいけないような理由のような気がして、新ペアへのインタビューをしていた書記長がそれ以上詳細を聞くのをやめていたぞ。
でもよう。俺は見ちまったんだよう。
ペアになった男の子がペア指名の喜びのガッツポーズをしたときにな、シャツがちょっとだけめくりあがったんだよな。
そして・・・・・」
「そしてなんですか? 」
「俺は見たんだ。お腹に幾筋もの新旧のみみず腫れがあるのを。」
「「「「・・・・・・・・・・!!!!!」」」」