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13話目 皆のものよーくきくのだぞ by おばちゃん

はめられた。

この展開は予想だにしていなかった。


まさか、半世紀ぶりの領土奪還のどさくさに結婚式を混ぜ込んでくるとは。

何たる、冷静な計略家なんだ、魔王様。


それもそうとは気づかないうちに誓いの言葉を一字一句間違いなくきっちり述べさせられるとは。


これが魔王か。お家のためであれば何と冷静で残酷のことを平気実行できるんだ。

これが真の王というものか。

もう、抵抗することはできない。


数カ月前にエリナと出会ってから、俺の辿る運命は既にこうなるようになっていたのかもしれない。


さらばビオラさんの大きくて弾力のあるおっぱいよ、

さらばビオラさんの男を惑わす美脚よ。

もう二度とそれらをにやつきながら鑑賞することは許されないだろう。


「何を今さらってるんだ、何にも変わらねぇよ。

シュウはこれまでもエリナの尻の下で生きてきたじゃねぇか。どこがかわるんだよ。


ちぇっ、いいなぁ。

魔王さんよ、この独身・彼なし・金もなしの俺に良い旦那(カモ)をあてがってくんねぇかなぁ。」


「大奥様はなんてお優しい方なんでしょう。旦那様が奥様以外の女性に興味が向かないようにしっかりと永遠の愛を教会で誓わせるなんて。それもごく自然に。」


「まぁ、シュウの人生が詰んだでということでLAかのう。」

「ようこそ、人生の墓場へ。シュウ殿良く似合ってますよ。墓場が。」

「おめでとうございます。今赤飯を焚いています。末永くお幸せに。

実はわたしも・・・・」


最後のペット魔族さんは何を言いかけたんだ、超気になる。

おばちゃんの空間で何が起こっているんだ。


「さて、婿殿、私は仕事が残っているのでそろそろ教会本山に帰ろうかと思うの。

悪いけど婿殿、魔力溜に魔力を注いでくれるかしら。


後は二人きりで初めての夜を、キャーッ、私もだんなとの初めての夜を、キャーッ、恥ずかしいことを思い出しそうなのでもう帰るわ。


芦高さんは覗いちゃだめよ、今日だけはふ・た・り・き・りにしてあげてね。

婿殿がエリナにガバーッと襲い掛かるのを見ちゃダメ。

まだ子供でしょ、あなたは。」


「きゅぴぴひ」

「了解だって。」通訳さん


既成路線をただ進まされいてる。ここは一度ぶった切らないとまずい。

何が? とにかく。


「でもここを3人でずっと守るのは不安がありますね。これからどうここを守って行こうかエリナ。」

「確かに、私たちだけじゃ、せっかく獲得した新規の教会をまた魔族に奪還される可能性があるわ。


それに今夜は・・・・


私とシュウが、その、あの、あれ、キャーッ、恥ずかしい。私に何を言わせるのシュウ。バカっ。」


「えっ。なに? なに? 」


「あーあっ。甲斐性なしはこれだからよう。俺も教えてやりてぇが恥ずかしいぜ。

もう枯れたおばば、後は頼んだ。」

「仕方のないやつじゃ。かび臭い指輪はだからいつまでも独身・彼なし・金もなしなのじゃぞ。

そして、シュウは相変わらず察しの悪いやつよのう。

皆しょうがない奴らじゃ。


よいかよ~く聞くのじゃぞ。


"その"というのはシュウは食いしん坊なので、すぐにがばっと襲い掛かり食い尽くし、しゃぶりつくしたいと思っているだろうしし、エリナも是非そうして欲しいと思っているということじゃ


"あの"というのは今日いきなり結婚式をするとは思わず、そのなんだ、まだ新婚としての準備や心構えができていないということじゃ。

みな、ここまでは良いかの。」


なねほど、エリナはそう思っていたのか。


「最後の"あれ"というのがこの話の一番重要なところじゃが、

"あれ"というのは新婚初の夕食なのに携帯飯しか準備ができず、駄目な若妻で恥ずかしいという意味じゃ。

たしかに、恥ずかしくて言い難いことじゃ。」


おばちゃん、ついでに教えて。最後の最後に言った"バカ"はどういう意味?


「だからシュウは甲斐性なしと皆に言われるのじゃ。

よいか、よ~く聞くのじゃぞ。


"バカ"というのはこの私の気持ちを察して、さっさと黙って携帯食をおいしそうに食べろということじゃな。

わかったか、バカもの。」


「「「「おばちゃん、そんな常識と感性で良く数百年も生きてこられたね。」」」」


「えっ、違うの。」


「「「「もう、一日中、日向で昼寝をしていてください。」」」」


真面目に聞いて損した。わかっていたがやっぱり駄剣だ。


「後は若い方にお任せして、もうすぐおばあちゃんになる私はこれで退散するわ。」魔王様


と、近所のおせっかいおばちゃんが設定したお見合いの席の例の決まり文句を言うと、とっとと転移魔法陣の上から消えてしまった。


さすが魔王様です。

面倒なことはよきに計らえということですね。

わかりました、後はこの不肖第3小隊長の俺がよきに計らっておきましょう。


「まずは中隊長に連絡を取り、現状の報告を頼む、エリナ隊員。


ん?


エリナ隊員、連絡を・・・・」


赤くなったほっぺを両手で覆って、例のごとくくねくねしている。

あっ、駄目なエリナだ。何にも聞いていないな。


しょうがない、新婚早々あの手だけは使いたくなかったが、いや、人類の明日が掛かっているのだ、わずかな犠牲を惜しんで将来の進む道を閉ざしてはいけない。


俺は言うぞう。心を鬼にして言うぞう。


「エリナ、足元にGが。」

「ギャーーーーーーーッ。」

飛び上がって、俺に抱き付いてきました。

これを狙ったわけじゃないよ。言っとくけど。


「やっつけて、消し去って。シュウお願い。」


「もう、大丈夫だよ。芦高さんがやっつけてくれたよ。」

「ありがとう。芦高さん。古い建物には必ずいるわねヤツが。」


「きゅぴーぃ」

「何があったの?、どうしたの?」通訳さん

まぁいろいろと面倒だったので一気に解決させただけだよ。


「エリナ、中隊長に連絡をお願い。こちらの現状とここの扱いをどうするか聞いてみて。」

「了解です。小隊長殿。」ビシ


「あっ、中隊長。

ふむ、連絡が遅れて申し訳ありません。

実は・・・・・・・・。

ふむ、ふむ。

了解です。ここで待機します。」


「とりあえず、携帯飯を食いながら、ここで待てとの指示でした。」


結局、また、携帯飯だ。

魔法溜施設で無駄な時間を使わずに、寮の食堂で軽食でも食べてくればよかった。


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