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8話目 死線

「すごい数の魔物と魔族がこちらの方に殺到してくるわ。その数、約1個師団。」

エリナが芦高さんと同じ方角を指さして、叫ぶ。


「くっそう、まずいな。昨日の魔族は偵察部隊だったか。

逃げた魔族が本体を引き連れてやって来たな。」特攻隊長


「おそらく、最前線に1個師団を釘付けにして、背後から襲う・・・・。


違いますね。


最前線基地からの援軍を途中で待ち伏せし横から、いや、いったん見過ごし背後から襲撃し、退路を断ちつつ2個師団を個別に撃破する作戦だな魔族は。


それで、昨日から偵察部隊を派遣し、待ち伏せ場所に人類軍がいないことを確認していたんだな。


そして、少人数ながら強敵がキャンプをしているとの情報から、待ち伏せする前に僕たちを数で殲滅する作戦だね。」冷静に分析する副会長


「それが正解だと思うわ」死神中隊長


「前方と後方に黒い霧が、あれは闇魔法フィールドが張っているんだわ。」書記長

「風魔法の通信を遮断したわけだ。」副会長


「魔族が来ていますわ。中隊長作戦命令をお願い致します。」生徒会長


「ふーっ。


まず、我が旅団の初演習でこのような事態になって申し訳ない。


とりあえずは死ぬな。

一人ひとりが生き残るためにあらゆる努力をしろ。

頭を使え。

逃げ回ることは恥じではない。


挟み撃ちの情報を第42師団に伝えられないことを恥としろ。


それでは作戦を伝える。反対することは許さん。たとえ特攻隊長だとしてもだ。

いいな、では伝える。


第2小隊とリンカチーム、案内役の小隊から2人はここから右に行き、闇属性フィールドを抜けたところで、現状を最前線基地に報告。

そのまま最前線基地を目指せ。


次に特攻隊長と生徒会チーム、案内役の残りは第2小隊が出発してから5分後に出発。

同じようにここから右に行き、闇属性フィールドを抜けたところで、現状を最前線基地に報告。

そのまま最前線基地を目指せ。


殿は第3小隊と私だ。

ここでやつらを迎え撃つ。


奴らに雷魔法をぶっ放した後、頃合いを見計らいやはり右側に脱出。

後は先行した者たちと同じだ。


キャンプ装備は捨てていく。行軍装備だけで帰還する。

第2小隊は1分後に出発。

以上、準備にかかれ。」


いよいよまずい事態になった。俺はおばちゃんがちゃんと背中にあるか確認をした。

そこにソニアがやって来てた。心痛な顔だ。


「お兄ちゃん、私も残りたいけど私がわがままを言ったら皆も残るって言いそうだから、特にカロラが。

だから私はここをすぐに離れるわ。


お兄ちゃん信じているわ。無事に前線基地で会いましょう。」


「おおっ、ソニアもな。危ないところには近づくなよ。

熊師匠を犠牲にしてもお前だけは生き残れ。」


「こりゃ、縁起でもないこを抜かすんじゃねえ。言われなくてもソニア様は守りきるぜ。

まぁ、シュウも無事に帰って来いよ。でないと訓練する相手がいなくなる。」


「師匠もソニアの次に無事に帰還して下さい。」

「ちっ、師匠が一番じゃないのかよ。」


「かわいいソニアと熊師匠、比べる方がおかしいですよ。とりあえず生きていてくださいね。」

「ふんっ、お前もな。お前の方が1000倍も危険じゃないか。」


「おーい、熊師匠時間ですよ。行きますよ。」リンカ

「じゃあな。」

そして、ソニア達撤退組の第1弾が出発した。


そのとき、ますます黒い霧が濃くなって来た。

殿組だけでなく撤退組も非常に危険な状態となった。


「撤退組第2陣と殿組集合。」中隊長


「中隊長、撤退組も危険だと思います。


第1陣はソニアがいるのでそんなに心配していませんが、第2陣の水属性は書記長だけなのでちょっと不安です。

中隊長も第2陣と撤退した方が良いと思います。


第3小隊は俺と芦高さんがエリナの雷転写魔法が使えるので、指揮的には不安がありますが、戦力的にはむしろ第3小隊だけの方が雷属性に特化できるので戦いやすいと思います。


我々は雷属性魔法のために魔力を半分使ったら、風魔法で撤退します。

これも俺とエリナだけであれば芦高さんに乗れるので、ものすごいスピードで撤退できます。

4人だとこの戦術が取れません。」


「うむ、確かに私が足を引っ張りそうだな第3小隊の。」


「申し訳ないですが、その可能性があります。


中隊長の指揮官として殿に残りたい義務感は理解しますが、先ほどもおっしゃっていたように逃げるのを恥じだと思わずに、戦場で死ぬことと味方に危険を取らせることができないこと恥だということは我々部下だけではなく、中隊長にもあてはまるはずです。


決断してください。」


「わかった。私も撤退しよう。


第3小隊の皆に繰り返すが、逃げるのを恥じだと思わずに、戦場で死ぬこと恥じろ。

これだけは守ってくれ。それでは武運を。」


「第1小隊、生徒会チームそして案内役の皆さん、ご武運を。

我々第3小隊はこれから敵に向かいます。

少しでも足止めしますので、速く撤退してください。


エリナ、芦高さん行くぞ。」


「はい、旦那様。エリナが、芦高さんもね、一緒なら魔族の1個師団や2個師団、大したことはありません。任せてください。」

「ぴぴぴきゅび」


俺たちはこれ以上、時間を無駄にしないように第1小隊の方をもう振り返らずに魔族の方に出発した。


「とりあえず、俺が全体を見渡せるようにあの左側の丘に陣取るぞ。

エリナ、スピードアップの転写魔法を頼む。」


「わかったわ。それ。」


俺たちはスピードアップの魔法を使い急いで目的の丘に陣取った。

が、黒い霧が一面に張ってあり、魔族の動向が一切見えなかった。

黒い雲海を山の上から見下ろしているような光景だった。


「エリナ、俺と芦高さんに雷属性フィールドとサンダーランスとサンダーアローを転写してくれ。」

「それっ。」


「よし、まずは一気に闇魔法を葬むってやる。

俺が1/4の魔力を使い広範囲に一気に転写雷属性フィールドを展開する。


芦高さんは麻痺していない魔族を発見したらサンダーランスをぶち込んでくれ。

エリナはそれでも倒れない魔族にアイスアローを頼む。


三段攻撃で行くぞ。


エリナは魔力が切れそうになったら行ってくれ、すぐ補充する。」


「それでは狩を始めるぞ。」

「行きましよう。旦那様。」

「きゅぴぴ。」


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