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4話目 新たな魔族界?、希望

敵の全面はオークとオーガの混成部隊。後ろに魔族が見える。


俺はまず加速し、接近する。

敵から黒い霧が発生し、俺を包み込もうとする。

やはりいた、獲物の闇属性魔族。


俺は転写雷属性フィールドを発動。急速に雷フィールドが放電を伴いながら拡大していく。

ソニアたちとの模擬戦の時よりも放電が激しい。

遠慮なく魔力を注いでいるためだ。


黒い霧を包み込み、闇を晴らす。

雷属性フィールドの特性である放電が魔物たち、そして魔族を悲鳴と共に飲み込んでいく。


スタンがオート発動。

一瞬で敵の前衛を麻痺させ、魔物と魔族が波が引くように倒れていく。


俺はさらに前進する。


もうすでに雷フィールドの大きさは敵の大隊をすべて飲み込むように展開し終えた。

闇属性の魔族は何ら抵抗できずにスタンで麻痺し、跳ね返るように吹っ飛び倒れていく。


闇属性以外の魔族もそれにわずかばかり遅れるだけで俺の属性フィールドに飲み込まれ、麻痺して行く。

そのわずかな時間の差は闇以外の魔族の属性フィールドがわずかばかり抵抗した証。


そして、勝負は決まった。


魔物はすべて麻痺し、同時に展開している強力な放電のためほとんどが死に至ったようだ。

魔族も前衛にいたものは放電により死に至ったようだ。

魔石が胸の付近に浮いている。


一瞬で圧勝してしまった。それも転写属性フィールドの発動と展開だけでだ。

俺は倒した敵の真ん中に茫然として立ち尽くした。


「シュウ殿。」

「んっ。その声はペット魔族さんか。どうしたの。」


「圧倒的な勝利でした。お見事です。

いまだ息のある私のかつての仲間もシュウ殿の前ではもう下手な抵抗は二度としないと思います。


そこで、圧倒的な強者となったあなたにお願いがあります。

死に至っていないかつての仲間をこの吹雪様の空間に収容することをお許しいただけないでしょうか。


幸い、ここでの農業が軌道に乗って来ていて、さらに少しづつ拡大することにより、ある程度の魔族を養っていけそうな目途が付いています。


このままではあなたは魔石の回収のために幾体もの魔族に止めを刺さなければならなくなります。

もう抵抗ができない魔族に。


シュウ殿のためにも、決着がついた相手に止めを刺さずにこの空間で新たな生活を始めることを許していただきたいのです。


確かに、中には説得してもここから出て、再度あなたに挑むことを願うものもいるかもしれません。

そういう者は吹雪様がさらに別の空間に監禁しても良いとおっしゃっています。

追加で、魔力はいただかなければなりませんが。


無益な争い、命の搾取を止めていただければ、私たちはこの空間で人類と共に歩むことが可能になると思っています。


如何がでしょうか。

共存の意味を一緒に探ってはいただけないでしょうか。


人類と魔族の将来のためにも。」


うーん。無抵抗のやつに止めを刺すことは俺には無理だ。


ただ、このままおばちゃんの空間に放り込むと倒した魔族の魔石の数が合わなくなる。

今日は逃げたことにするにしても、これからの戦いでいつまでも一緒に戦っているエリナには誤魔化しがきかなくなってくると思うが。


「シュウよ。今はペット魔族の言に従うが良いぞ。


いずれ近いうちにエリナにもお前がすべて話さなければならないきっかけが訪れるはずじゃ。

そして、シュウも今以上の使命を背負うことになるじゃろう。

と、かの方は言っておられるのじゃ。


今は妾にすべてを預けて、死んでいない魔族をあの空間へ入れるのじゃ。よいな。」


おばちゃんがいつになく真剣なので、俺は感動した。

やればできる大人なんだ。

全てがあの方の受け売りのようだけれどもね。


「わかったよ。俺も二人の希望に沿うようにするよ。

確かにペット魔族さんのいう通りだと思う。


でも、これだけは忘れないでほしい。


俺はこれからも魔族と戦い、多くの魔族を葬ると思う。

無駄な殺生はしないが、かといって魔族との戦いに手を抜くことは絶対にありない。


その中で、救えた命はおばちゃんの空間に送ることにするよ。

空間維持に必要な魔力もちゃんと忘れずに注ぐよ。」


俺は約束通り、息のある魔族をおばちゃんの空間に送った。

3名であった。


部隊の後方にいたので、命が助かったのであろう。

助けた魔族は否応なしにあの空間で生きてもらうことになる。

それが快適と言えるかどうかは俺としては保証しかねる。


そんなやり取りを裏でしていると、エリナと芦高さんがやってきた。


「シュウ、ケガはない? どこか痛いところはない? 」

「大丈夫だよ、一切攻撃は受けてないから。」

「えっ、凄い。圧勝だわ。あの厄介極まりない闇魔族も瞬殺じゃない。」


「すべて、エリナの雷属性フィールドのおかげだよ。ありがとう。

そうだ芦高さん、必要なオークを回収してくれ。」


「きゅび、ちゃぴ。」

「お焦げはちょっとねぇ。と言いってるぞ。」通訳さん。


「とりあえず回収しておいて。

この後に左の大隊とも戦うから、今度は芦高さんが魔物を狙い、俺が魔族を殲滅するよ。


芦高さんがオークがこげない程度に転写雷属性フィールドを発動してよ。」


「きゅび」

「わかったって。」通訳さん


「シュウ、倒した魔族が少ないような気がするけど。」

ううっ、来た。エリナちゃん、鋭い。


「放電で吹っ飛んで行ったから、ここで倒れている魔族は戦った大隊のすべてではないよ。

遠くに倒れているか、逃げたんじゃないかな。」


「うーん。検知してみたけど魔族や魔石の反応がないのよね。

あの電撃を食らって、動けるとは思えないけど。

やっぱり逃げたのかしら。」


「闇属性魔族は全く雷に抵抗がなかったけど、それ以外の魔族はちょっとは雷属性フィールドに抵抗してたから、何とか回復して逃げたのかもね。」

「そうよね。力のある魔族は何とか逃げ伸びたのかもしれないわね。」


「さぁっ、まだ左の魔大隊が残っているよ。行こう。」


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