38話目 サッカーチームってなんだ?
トレント族事業の中核であるトレントさんを如何に増やしていくかについては人類領では教会事業、その形態をまねて、エルフ領では風の聖地の分社化事業、尊王派と皇帝派の魔族領では尊王の社とその一族の施設の事業を行うことが何となく決定した。
この各事業を展開して行けば、それぞれの種族の衰退に抗い、さらに安寧と繁栄が得られると思う。
これらの事業が今代の輪廻の会合の措置の概要と言えるだろう。
漸くスタート地点に立てた。
これから輪廻の会合の措置の歯車を回し始めるのだ。
そう思うと、何だが胸が熱くなって来た。
故郷のルーアンを旅立ってほぼ1年になる。
1年前は聖戦士になることが目標だった。
今は輪廻の会合の措置、トレント族事業を完遂するのが目標だ。
その措置は到底、1年では終わるはずもなく、10年、もしかすると20年、30年と掛かるかもしれない。
でも、どんなに時間が掛かっても俺の手で、多くの仲間と一緒にやり遂げるもりだ。
「まぁな。そうしないと、シュウの人生最大の目標であるエルフメイド戦隊ゲフンゲフンの創設に入れないからな。
トレント族事業の完遂が遅れると"エルフメイド戦隊ご主人様あ~んして♡"が"エルフメイド戦隊ご主人様あ~んして、入れ歯を外しましょう"になっちまうからな。」
あっ、お口チャックじゃなかったのか雷ちゃん
「シュウ、まだそんなものにこだわっているの。
輪廻の会合の措置をしながら"エリナちゃん子宝計画サッカーチームを作ろう"があるんだからね。
エルフのメイド戦隊なんてのにかまけている暇は絶対に来ないんだからね。」
サッカーってなんだ。チームだから数人必要と言うことか。
「kiちゃんたちから聞いたんじゃねぇ。
向こうの世界で人気のある競技とか。」
"あっ、わかった。
エリナちゃん子宝チームとイリーナちゃん子宝チームが対戦して、勝った方が正妻の座を射止めると言うわけね。
これは張り切ってバンバン子供を作って、その中から選抜チームを作んないと負けちゃうかもね。"
えっ、俺の子供たちが戦って、勝った方の母親が正妻となるってこと。
それに選抜チームを組って、補欠を入れたら何人子供を育てなきゃなんないの。
「うむむむむむっ、勝った方が正妻。
と言うことは、イリーナよりも早く子供を授かって、高学年のチームを組んだ方が有利ね。
んっ、それよりもイリーナとの子作りが出来なければいいんじゃねぇ。
よし、シュウ、これから王都のゲストハウスに行くわよ。
今晩から励みましょう。
しばらくは旅団基地に帰れないから基地の知り合いにさよならをいて来なさい。」
「えっ、今から王都に行くの。
俺はこれから皇帝派との交渉の準備があるんだけど。」
「何言ってるの。
そんな悠長なことをしているとイリーナチームに負けちゃうのよ。
それでも良いの、シュウ。」
「シュウはどっちが勝っても別に構わねぇんじゃないのか。」完全復活の雷ちゃん
「普通に考えて、いずれにせよそんなに多くの子供を養う甲斐性がご主人様にあるわけがありませんわ。」
「シュウ様の正妻の価値ってどのくらいでしょうか。」
"フロムちゃん、私に修羅場を見せてくれるぐらいの価値はありますわよ。"
出たな。悪魔ちゃん。
正妻の座を賭けた戦いというところに持って行こうとしてんだろ。
"それが私の人生の最大の目標ですから、当然です。"
「エリナ、悪魔ちゃんの言葉に乗っかっちゃだめだ。
輪廻の会合に集いし者どもとしての役割をさぼると大審院へ一直線。
風の聖地の分社化事業じゃなくて、風の聖地の本社か越後屋ショッピングパークで30年の年季奉公になるぞ。」
「そうだよ。越後屋さんに無休無給でこき使われんだよ。
どんなに持っても10日だよ。
お兄ちゃんの正妻になる前に本物さんとそのお友達に召されちゃうんだよ。」
「あっ、そうだった。危なかったぁ。
大審院を実際に見ていないんで、危機感が薄かったわ。」
"ちぇっ、正気に戻りましたのね。"
「と言うことで、エリナは王都に戻って白黒シッポちゃんを呼び出して、風の聖地の分社化事業を進めてくれるか。」
「わかったわ。
ねぇ、シュウも手伝ってくれるんでしょ。一緒に行こ♡。」
「♡だぁ。
王都に戻る目的が"エリナちゃん子宝計画サッカーチームを作ろう"だなこりゃ。」雷ちゃん
"いいわよ、いいわよ。その調子だわ。それでこそエリナにちゃんよ。"
「でも、お母様。
このままだと"エリナちゃん子宝計画サッカーチームを作ろう"は進むかもしれませんが、対になる"イリーナちゃん子宝計画サッカーチームを作ろう"の方が進みませんわよ。
一方だけ進んでも、お母様の人生最大の目標には発展しないかと思いますが。」
「風神様のおっしゃる通りですわね。
対決する相手がおりませんものね。」
"がぁぁぁぁぁ、どうすりゃいいの。"
「まずはイリーナ様に"イリーナちゃん子宝計画サッカーチームを作ろう"事業をお薦めするのが肝要かと存じます。」
"なるほど、フロムちゃんの言う通りね。
と言うことで、シュウ君はここに残りなさい。
明日、イリーナちゃんが来た時にお薦めします。"
「えっ、イリーナが明日来るの。」なぜか驚愕するエリナちゃん
"毎日、来ていますよ。"
「シュウ、どういうこと。
さっき聞いたら、イリーナは"来て"いないと言ってたわよね。」
「だから"今は"いないと答えたんだけど。」
「やっぱり、毎日私に隠れてこそこそ密会していたのね。
シュウ、どういうことかちゃんと説明して。」
「だから、イリーナは月の女王として尊王の社とその一族の施設の事業をどう進めて行くか相談しに来ているんだよ。
その上、皇帝派との和解と融合についてもね。
今度の皇帝派との会合でその辺も議題に出そうと思っているからな。」
「じゃぁ、イリーナは月の女王として仕事で来ていると言うことなの。」
「そうだよ。
尊王の社とその一族の施設は尊王派の地域では既に整っているので、後はおまじないをどう浸透させるかだな。
もしかして、トレント族事業が一番早く完了するのは尊王派の地域かもね。」
「えっ、そうなの。」
「人類領の教会事業は教会施設そのものはあるけど、その役割を見直すところから始めるから実際に事業が軌道に乗るのは時間が掛かるかもね。
エルフ領の風の聖地の分社化事業は風の聖地本社を除けば、全く依り代となるものがないからな。
軌道に乗るまでは以外と時間が掛かるかもね。
そうすると既に形も機能もほぼ整っていて、尊王の話を素直に信じることが出来る尊王派の地域が一番早いと思うんだ。」
「なんてことなの。それじゃイリーナに一歩も二歩も後れを取っていると言うことじゃないの。
まずいわ。第一婦人の座が危ないと言うことか。」
「お姉ちゃん、第一婦人の座がどう決まるかはわからないけど、今はエルフ領で風の聖地の分社化事業をどう進めるか王都で相談した方が良いと思うよ。
それがお兄ちゃんが一番望んでいることだと思うよ。」
ナイスフォローだ、ソニア。
「わかったわ、王都に帰って皆と相談してみるわ。
こうしちゃいらんないわ。
イリーナごときに負けてらんない。
シュウ、ちょっと出かけてくるわね。」
「ああ、頼むよ。
風の聖地の分社化事業を進めてよ。」
エリナは来た時と同じように風の様に去って行った。
「やっぱちょろすぎんだろ、エリナ。ボソ」雷ちゃん
"結果的に対決姿勢が高まったから良しとしましょう。"悪魔ちゃん
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
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本物語"聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます"も第620部分(3/25公開予定)でようやく終了を迎えます。
長い間、お付き合いをいただきありがとうございました。
3/27日より新しい物語、"聖戦士のめまい 肉壁狂響曲"を公開していく予定にしています。
こちらの作品も宜しくお願い致します。