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2話目 規則ですから!

いよいよ今日から、新しい生活だ。


俺はゲストハウスのベットから元気に飛び起きた。


さてっと、行きますか、軍の司令部に。

緊張するなぁ。ほんとは皆と一緒に職校に行くはずが、軍だもんな。

もうよくわからないや。エリナと一緒のことだけが救いだな。


俺はゲストハウスの部屋を出て、食堂に行く。

他の4人はもう席について朝食を取っていた。


ボルバーナがものすごい勢いでお代わりをしていた。

この勢いで俺の昨日の豪華ランチまで食らいやがったのか。

こいつ、心配事がなくなると、とことん接近戦と食欲に走るタイプだな。


「おはよう。みんな早いな。」

「おめーが、遅いんだよ。朝食がもうないかもな。

俺が全部食べてやったぞ。ガハハハハハッ。」


「ボルバーナ、太るぞ。確実に。

昨日の昼からどんだけカロリーを摂取し続けていると思っているんだ。」


「おめーは乙女に言ってはならんことを平気で言うんじゃねぇ。

エリナに嫌われるぞ。」


「エリナ先輩とボルバーナを比べるのは、月とすっぽんを比べるのと同じだと僕は思う。」


「ボルガ、そんな口をきくとは良い度胸してるじゃねぇか。

早く飯食いな。これから朝の訓練しようぜ。」


「僕まだ全然朝食が終わりそうにないので、訓練するならペーテル君とどうぞ。

もうお茶しか残っていないようなので。」


「俺は訓練してもいいが、やっぱりみんなと一緒にやりたいな。

早く食い終われ、ボルガ、アリーズ、シュウ。」


「ごめん、俺は08:00集合、厳守だ。

早めに行っておきたいので飯を食ったらすぐに出かけるよ。」


「私も朝から訓練して、大事な初日の遅刻は嫌だわ。」


「僕も、ボルバーナには付き合いきれない。」


「と言うことで、誰も訓練に行かないので俺もパス。」


「ちぇっ。とりあえずボルガは来い。いいな。」


そう言い放って、ボルバーナは食堂を出て行ってしまった。

ボルガはため息をついて、ごちそうさまをいって席を立ち、仕方なさそうにボルバーナの後を追った。

ボルガはなんだかんだ言ってもボルバーナに甘いよな。


俺は食堂の配膳口で朝食を受け取り、席に座った。

今の仲間とのこんなやり取りが、なんだか家族と一緒に居るような安らぎを覚えた。


俺は食事を終え、荷物を持って、ゲストハウスの玄関で待っている。

職校入学組はアリーズとペーテルが先に用意ができていて玄関で他の二人を待っている。


オオカミさんたちは相変わらず遠巻きに様子を伺っている。

明後日の入学式後の生徒会主催の歓迎会までは必要のない接触と露骨な勧誘は職校側から禁じられてしまったようだ。

違反した場合はペアとしての登録を認めないそうだ。


漸く、ぺーテルたちも多少は安心して外出できるようになった。

寮に入ったらどうなるか知らないけど。


「シュウ、もし今日の午後に時間があったら皆で門前町に行ってみない。

エリナ先輩も、もう職校生じゃないから先輩じゃないか、エリナさんを誘ってね。」


「アリーズ、いいねぇ、それ。

俺はここに来てから、ゲストハウスと入試会場、魔力溜施設しか行ってないよ。

門前町を見てみたいよ。

都会の店って、おしゃれだとエリナが言っていたし。」


「じゃぁ、決まりね。

職校組には私が言っとくから、エリナさんはシュウが誘ってね。

くれぐれも二人だけで先に行ってはダメよ。

エリナさんに町を案内してもらうつもりだから。」


そこに、スキップしながらエリナが登場。


「旦那様、お迎えに参りました。・・・・違うなぁ。メイドさんじゃないし。

あなた、やっと準備だ出来たのとっとと行くわよ。・・・・全然違う。こんなの新婚じゃない。

うーんとっ、シュウ、準備できたの。一緒に行きましょう。これだーっ。」

と言って、俺の腕に抱きつき、ニコニコしている。


はっきり言って、幸せです。ほんとに幸せです。

俺、今のテンションなら魔族の将官級を10体瞬殺できそうです。

その後すぐに退官して、エリナと二人で田舎の教会でのんびりしよう。


「じゃぁ、先に行くね。また後で。」

「また、後でね。」


「がんばれよう。」

「後でね、シュウ、さっきの話をエリナさんにしておいてね。」


俺はきっと、すごくにやけながら、エリナと一緒に軍の総務課に向かっていると思う。


俺たちはゆっくりと歩いて、軍司令部に到着した。

司令部は石造りの歴史を感じさせる厳かな建物だった。


玄関ホールにある総合受付のお姉さんに、例のお姉さんではないぞ、総務課の新人研修係の場所訊ねた。


新人研修係はこの建物の1階の奥、あそこを右に曲がって行けば看板が出ているとのことだった。

俺たちは教えられた通りに進み、目的のドアの前まで来た。


ノックして、入るとまだ始業前のためかのんびりと雑談している軍の制服をきた人たちがいた。

カウンター越しに俺はここに来た目的を話した。


「シュウとエリナと言います。聖戦士の職校長よりここに来るように言われました。」


「ああっ、今日から特例で軍に入る特例のお二人ですね。聞いていますよ。

まずはあそこにかけて待っていてもらえますか。」


俺たちは少し離れた、打ち合わせ用のテーブルの椅子に座った。

少しして、先ほどのお姉さんがこちらに紙の束を抱えてやってきた。


「えっと、まずは事務手続きを始めますね。

まずはここにいる間のお住まいについて、ご希望はありますか? 」


「俺はできれば職校の寮・・「二人で夫婦官舎に住みます。ここは絶対譲れません。」」


「えっ、お二人はご夫婦なんですか。そんなことは聞いていないなぁ。

連絡ミスかなぁ。人事部も軍の再編があって徹夜続きだったからなぁ。


えっと、婚姻証明書かその類の書類を何か今、持っています?」


「今はまだ、持っていません。

持って来いというなら、今から籍を入れて、午後には持ってきます。」


「今持っていないのね。夫婦ではないと。

そうしますと、お二人の場合、職校の寮か、独身官舎になりますね。」


「夫婦官舎はダメなんですか。

こんなに仲良くて、こんなに愛し合っていてもですか。」


「規則ですから。ダメです。」


「そこをなんとかなりませんか? 」


「規則ですから。」


「お姉さんもうら若い乙女ですからわかりますよね、この気持ち。

好きな人と一緒にずっといたい気持ちを。」


「規則ですから。」


「エリナ、困らせてはまずいよ。ここは寮か独身官舎にしないと。

俺は職校の寮がいいな。ぺーテルたちもいるし。」


「えっ、寮に入ったら、完全に男女が別々になって、自由にシュウのところに行けなくなるわ。

シュウ、独身官舎にして頂戴。」


「独身官舎も男女別々ですし、職校の寮と同じように自由に異性の官舎に出入りできるわけではありません。

その辺は寮も官舎も変わりないと思います。


寮の場合は無料の代わりに料理以外は当番を決めて、自分たちで寮の雑務をこなす必要があります。官舎の場合は有料で、寮のような雑務はありません。


官舎の場合は、仲のいい友達以外は同じ官舎に住んでいても近所付き合いが少し希薄になります。

寮の場合は友人以外に同期や先輩、後輩とも仲良くなれる機会が多々あります。

そのような関係は職校を卒業してからも続きます。


私としては、職校の寮に住まわれた方がいいと思います。」


「エリナ、俺は田舎者だからここではエリナと入学試験を一緒に受けたぺーテルたちしか知り合いがいないんだ。

いろいろな人と話してみたいので俺は寮にするよ。」


「わかったわ。私も引っ越しがめんどいのでこのまま寮にいるわ。

でも、落ち着いたら籍を入れて、夫婦官舎に引っ越しましょうねっ、ねっ、ねっ。」


「まぁ、弟子のうちは無理かな。

頑張って、早く一人前になろうよ。

そうしたら、エリナとのことはきちんとけじめをつけるよ。」


「えーっ、そんなに待てない。

弟子の期間でも師匠と後見役の許可がもらえたら、いいでしょ。」


「まあっ、それでいいけど。」

「やったーっ。絶対だよ。

嘘ついたら呪ってやるんだから。五寸釘もって。」


俺が嘘を付くことはないと思う。

なぜなら、ソニア様が俺とエリナがいちゃつく時間を増やすようなことを認めるわけがないからだ。後見役もソニア様の意見を重視するだろうし。


「痴話げんかは終わったようですのね。

それでは、お二人とも職校の寮でいいですね。

後は今のところ必要な手続きは、制服の支給とお給料の振込先と魔力溜のお務めですね。


他は職校での手続きになりますので、ここでの用が終わり次第に職校の学生課の受付に行ってください。

先方には連絡を入れときます。」


俺たちはその他に必要な手続きも済ませた。

制服は寮に届けるとのこと、お給料は必要な分を引き出すためのカードをもらった。

これを出納所で提示して現金をもらうらしい。

アルバイト代もそこに積み立てられる。


しかし、俺はさっそくカードをエリナに取り上げられてしまった。

ちゃんとお小遣いは別に渡すとのこと。


確かに有り金全部を熊師匠に飲まれたのではたまらない。


魔法溜のお務めは訓練等で特別に消費しない限り、エリナは週に50基、俺は週に500基

と決められた。

それ以上はアルバイト代として積み立てられる。


次回はチャンネルわん・にゃんです。


生徒会長の思いを受け止めて下さい


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