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7話目 入学試験、始まる

俺たち受験生5人はゲストハウスの中で、勉強と訓練を行い、受験日に備えた。


約1名は寝ないでひたすら教科書を暗記を試みたが、2時間持たずに挫折したらしい。


その方は俺は来年があると開き直って、訓練で勉強のストレスを発散するように大暴れ。ボルガを槍で旋風しながら追いかけまわしていた。

それでも午後と夕食後はおとなしく教科書を読みこんでいたようだ。


他の受験生も、基本的には同じようなことをして明日の試験に備えた。


俺も、午前の訓練は皆と一緒に行い、午後の勉強はエリナに中学校の教科書から問題を出してもらってた。


このようにして、俺は受験生生活を終えることができた。


そして、試験当日。


試験当日はオオカミさんたちが俺たちに近づくことを職校長より禁止さんにれたたため、遠くから様子を伺う程度になった。また、今日は授業があるため、オオカミさんたちの数も昨日よりはぐっと減っていた。


エリナと生徒会長が一緒に朝食後に現れ、授業のため今日は付き添いができないが、これまでの努力の結果を十分に発揮してほしい旨の激励をもらった。


エリナからはさらに、ほっぺにチュウという破壊力抜群の激励をもらってしまった。


すごく、ドキドキした。当然、昨日暗記したことをすべて忘れた。


でも、思いっきりドキドキした、分ゲストハウスの玄関を出たときは受験への緊張感がかなり薄れて、落ち着いて受験に臨めそうだ。


それぞれの決意を胸に、俺たちは受験会場に指定された建物の玄関に到達した。


玄関の中では50代ぐらいの紳士ににこやかに出迎えられた。


「ようこそ、受験生諸君。

私が教会本山の職校長のゲーザです。


本日は聖戦士職校の入学試験です。

あまり緊張するなと言っても無理かもしれませんが、これまで鍛えてきた力を十分に発揮してください。」


何故がボルバーナだけが顔を引きつらせていた。


「まずは、筆記試験からです。


あちらの部屋に机があり、右上に君たちの名前が書いてあります。

そこがあなた方の席です。

まずは座って、もらえますか。」


「皆さん座りましたね。


筆記試験は前半と後半それぞれ1時間です。途中に休憩を15分はさみます。頑張ってください。


10分後に試験を始めます。

トイレに行きたい人は今のうちにどうぞ。

この部屋を出て、右のつき当りです。」


俺は途中でしたくなると困るので、とりあえずトイレに行こうとしたら、ボルガとアリーズもついてきた。

皆、緊張しているのかな。


「これで全員揃いましたね。時間ですので始めます。


裏返しにしてある問題を表にして始めてください。


終了した人は手を挙げて、退席してもかまいません。

控室はここを出て左側に行ったところに用意してあります。

そこで、試験終了時間まで待機していたください。」


試験が始まった。

まずは、予想通り歴史と計算問題だった。


両方ともそんなに難しくなく、わかるところから解き始めた。


30分ぐらい経過して、ボルバーナが退出した。

40分でペーテルが続いた。


俺も終わっていたが、勘違いがないか2度ほど見直していたら、試験時間が終了した。


トイレに行って、休憩後、次の試験をが始まった。


今度は魔法についての問題だ。


去年までと問題の傾向が違うが、ファイヤーボールの属性は何? 、ウインドカッターと相性の悪い属性フィールドは何? など聖戦士を目指すものなら知っていてもおかしくない簡単な問題で、こちらは全部解くことができた。


この試験でもボルバーナが30分ぐらいで退席し、35分でペーテルが退席した。

残りは40分ぐらいでもう退出した。


試験が終了し、全員が控室に入ってしばらくすると職校長が入ってきて、次の試験について説明が始まった。


「これで筆記試験終了です。


次は実技試験になります。実技は3つの試験があります。


まずは聖戦士職校の教員と模擬戦をしてもらいます。全員同時に試験をするため、教員も5人です。


次は転写魔法を発動してもらいます。

これは転写魔法発動の経験があるかを問うだけですので、試験ではありません。

できなくとも問題はあません。

職校に入った後に学べばいいことです。


最後は魔力の測定です。

魔法溜めに魔力を注いでもらいます。

数に制限はありません、何基でも構いません。」


受験生たちは職校長の案内で実技会場に向かった。


実技試験会場は筆記試験会場の裏にある広場だった。


広場と言っても、公園の様な芝生がきれいに刈り込まれたようなところではなく、土が良く踏み固められた何にもないただの広場だった。


おそらく、職校生は普段ここで武道の訓練をしているのかもしれない。


そこには、すでに数人の聖戦士職校の教員と思われる人が待機していた。

テーブルがいくつか用意してあり、その上には訓練用と思える武器が何種類も置かれていた。


「それでは武器、と言っても刃はつぶしてありますが、好きな武器を選んでください。」


普段使っている武器はゲストハウスに置いてきた。

普段の武器と盾、吹雪はゲストハウスの俺の部屋に、うるさいさんはエリナに預けた来た。


当然、俺たちは自分の得意な武器を選択した。

俺はロングソードと少し小さめの盾。


「やっぱ、槍だよ、槍り。」と言って、ボルバーナは置いてある槍のすべてを手に取って頬ずりしていた。

一応、自分に合った槍を探しているのだろう。ほっぺの感触が良いものを選ぶのかもしれない。


ベーテルは大剣を一本一本振ってみて、感触のいいものを選んでいた。


俺を含めて残りの受験者もペーテルと同じように自分の感覚にあった武器を選んだ。


「それではそこにいる教員が名前を呼びます。

名前を呼んだ教員について行ってください。

そこで実技試験の模擬戦をしてもらいます。

それでは先生方よろしくお願いします。」


「よっしゃーっ、漸く俺の試験の始まりだぜ。

筆記試験の分を取り返すぜ。」


名前を呼ばれて、元気に飛び出すボルバーナ。武器を持った途端に筆記試験の記憶が頭からきれいさっぱりなくなり、通常モードに入ったようだ。


筆記試験終了直後は青ざめて、「これはやばい・・・・」とかブツブツ言って大人しかった。


控室でこっそり試験の出来をボルバーナに聞いたら、歴史は山が大当たり、算術はこれ以上聞くな泣くぞ、めそめそ泣くぞ、魔法は半分と言っていた。

思ったより、できているかもね。


それにしても、めそめそ泣くボルバーナの姿が想像できないのですが。


逆に、ボルガは短弓をもって、「実技試験なんてやめればいいのに・・・」とブツブツ言っている。


アリーズは鞭を地面に打ち付け、「おーほほほほっ、ぶって、ぶって、ぶってやるーっ。」とかなんとか言って、高笑いをしている。

この人が武器を持つと一番やばいかもしれない。


俺は最後に名前を呼ばれた。俺の名を呼んだ教員は・・・・・・・、最悪だな、ほんとに贅沢を言うつもりは全くございませんが、相手は人類に替えてもらえませんか。


熊が目の前にいた。

2mを超える、服着た大熊。


職校長、俺の相手だけ熊なんですか。

職校では教員に熊を雇用しているんですか、その上、大剣を持ってますよ。

クマのくせに道具を使うんですか、反則です。


「君がシュウか? よろしくな。

俺は聖戦士職校教員のイムレだ。

これから君の実技試験の担当となる。

まぁ、少しは打ち込んできて抵抗しろよ。ガハハハハハっ。」


クマがしゃべった。珍獣発見。

こいつをサーカス団に売れば新築の新居が買えるかも。

そうすれば、アルバイト生活からの脱却、つまーーーりっ。キャンプ飯とのお別れだ。


絶対に倒す。俺は心に誓った。


「おおっ。なんだか目に殺気が入ったな。

いいぞ、聖戦士はそうでなければ。

例え勝つ見込みが少なくとも相手を圧倒する気迫は劣勢をも覆す。」


俺に何をくだらないことを言っているのか、お前は俺の生贄、キャンプ飯からの脱却の生贄に過ぎないのだーっ。


「熊さん。ちょっといいですか。」


「誰が熊さんじゃ。」


「慣れない武器なので、少し振ってみたも良いですか。」


「んっ。しっくりこないのか? 別の武器に替えても良いぞ。」


「いえ、これが一番しっくりきますが微妙に違うので、少し慣れないと実力が出せません。」


「ふむ、良いぞ少し使ってみろ。」


「ありがとうございます。」


俺は普段やっているように型の練習を繰り返した。


「いい動きだ。

だが、お前だけが俺に手の内をさらすのは不公平だから、俺も俺の型をお前に見せてやる。」


熊さんが俺の前、4歩で剣が届きそうな距離で大剣を振り始めた。それにしても素振りだけで風圧を感じるなんて、なんて馬鹿力なんだ。


あっ、熊だからだ。


二人で剣を振り始めた直後、熊さんから殺気を感じた。

これは距離は離れているが、すでに模擬戦の開始らしい。

剣と剣がぶつからない、型による模擬戦。


俺はまずは足を狙って、剣で薙ぎ払う。

大剣を持つ器用な熊さんは軽くかわし、上段から全力で大剣を振り下ろす。

俺は盾で相手の大剣を受け流し、逆に、熊さんの脇腹に剣を水平に振る。


熊さんは余裕で今度は飛び抜き、剣を正面に構え、続いて素早く突いてくる。

俺は何とか大剣の勢いを盾で受け流した。


実際に相手の武器が届く距離ではないが、きっちり回避しないと切られてしまいそうだ。


熊さんの力量が俺より相当上だ。

悔しいが、俺はいくら踏み込んでも熊さんに剣は届かないが、おそらく、熊さんの大剣は踏み込めば届くのだろう。

届かないのは手加減されているからかもしれない。


そんなことを考えている間にも、熊さんの殺気が乗った攻撃は続く。

俺は何とか盾と剣で受け流しながら、熊さんへ反撃するスキを探す。


そのスキさえなかなか与えてもらえない。

俺はおばちゃんのペットになっている魔族と戦って以来の焦燥感を覚えた。

その間にも一方的な防戦は続く。

あのときはエリナの帰還と援助を待って一発逆転も狙えたが、この戦いではそれも期待できない。


幸い、相手の攻撃は何とかさばき切れていたため、相手が疲れたところを一気に攻めるしかない。

俺は相手の消耗を待って、攻撃をかわし続けた。


ふと、殺気が途切れた。少し疲れたな。


チャンスだ踏み込んで突こうと前に出ようしたとき、頭の中に警告が響いたような感じを覚えたため、攻撃するのではなく、盾を正面に構え、剣を引いて構えなおした。


熊さんが「ふむ。」と言って再び、殺気の乗った攻撃を仕掛けてきた。


何度がスキを見せることがあったが、俺はそれは誘いだと悟って、防御に徹していた。

そんな防御一方の戦を続けていると。パッコーン、いい音が熊さんの後頭部より聞こえできました。


「30分も剣を振るうだけで、いつ模擬戦を始めるんじゃ。

もうみんな試験が終わって、次の試験会場のコロシアムに向かい始めているぞ。」


「えっ。」「えっ。」


8歳ぐらいの杖を持ち、白いローブを羽織った、透き通るような白い肌をした美少女が熊さんの後ろから出てきた。あの杖で殴った音が聞こえたのか。


しかし、俺と熊さんはそんなに打ち合っていたのか。

あっと言う間だった。

何とか生き残れた気分だ。


こんな生きるか死ぬかの状況で剣を振るうのは久しぶりだ。

まぁ、実際は一度も剣同士は触れていないが。


「悪い、悪い。つい楽しくてな、型を合わせるだけで終わってしまったぞ。


まぁ、シュウの剣の実力はわかったので、模擬戦の試験はこれで終了だ。がはははははっ。」


「ありがとうございました。」


「お疲れ。ところでシュウは俺の弟子に決定な。

有無は言わさん。」


再び、熊さんの後頭部からバッコーンと言う、先ほどよりも大きな音がした。


「馬鹿たれ、勝手に弟子にするんじゃないよ。

まずは見習い剣士からだ。

見習いが取れたら師匠にしてくれと懇願するがよい。」


「シュウは見習いにならなくてもいいんじゃね。

もう卒業でいいよ。明日から俺の弟子な。」


再び、熊さんの後頭部からバッコーンと。


「お痛たが過ぎる熊公は、一度、川向うを見てみたいらしいな。三途の川の向こう岸をなぁ。」


凄い殺気だ、あまりの殺気に立っているのがつらい。

土下座したい気分だ。


「申し訳ありません。

模擬戦の試験は終了したので、次の試験会場に受験生をご案内いたします。」


熊公がおとなしくなり、かわいいくまの〇ーさんになった。

しかし、この少女はいったい誰だ。


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